Salesforce Chatterでできること・できないこと【第1回】
Salesforce Chatterの基本機能とエディションによる違い
「Dreamforce 2010」で無償版が発表されるなど、話題を呼んでいるリアルタイムコラボレーションツール「Salesforce Chatter」。Chatterの基本機能、エディションによる違いを紹介する。
既に6万社以上が利用しているSalesforce Chatter
2010年6月23日に正式リリースされてから約半年が経過した企業向けリアルタイムコラボレーションツール「Salesforce Chatter」(以下、Chatter)。2010年12月に米国サンフランシスコで開催された米Salesforce.comの年次カンファレンス「Dreamforce 2010」で無償版が発表されるなど、各所で話題を呼んでいる。Chatterは全世界8万7200社のSalesforceユーザーのうち、6万社以上が既に利用していると発表されており(2010年12月現在)、大規模導入を実施した1社であるDellにおいては、全世界9万人以上の従業員が利用しているという(※)。
Chatterとは何か?
Chatterはさまざまな形で紹介されており、使い方次第でさまざまな側面を持つ。「プライベートSNS」や「企業向けFacebook」などと言われることもあるが、「リアルタイムコラボレーションツール」という紹介が最適だろう。ユーザーはChatterを利用することにより、同僚の近況や商談の進行状況、データや資料、またプロジェクトの最新の進ちょく状況などをリアルタイムに把握することができる。
もともとCRM/SFAツールとしてSalesforce CRMを展開していたセールスフォース・ドットコムだが、昨今ではそのプラットフォーム上でさまざまなエンタープライズアプリケーションを構築している。これまで培ってきたエンタープライズアプリケーションのプラットフォーム上でChatterが架け橋となることで、人と企業内情報の有機的な結合が活性化され、TwitterやFacebookのようにスピーディーで効率的なコミュニケーションとコラボレーションが実現される仕組みになっている。
本連載では全3回にわたって、Chatterの基本機能解説をはじめ、拡張性や技術的な制約の説明、ほかのコラボレーションツールとの比較を通して、Chatterというツールの実態を紹介していく。
Chatterの基本機能
1.フィード
Chatterでは、あらゆる情報をフィードを通して受け取る。フィードの設定はSalesforce内で管理されている各オブジェクト(データベース)を対象に行い、フィードが有効化されたオブジェクトはユーザーがフォローできるようになる。フォローしているオブジェクトのレコードにおいて、フィード追跡を有効化している特定の項目が更新されたときに、ユーザーのタイムラインに通知されてフィード更新が確認できるようになる。
また、設定したオブジェクト以外に、 “人”を対象にフォローすることも可能だ。人は自動的にフィード設定されるため、明示的にフィードを有効化する必要はない。
後述するが、フォローが可能なフィード/レコードは各ユーザー500までとなっている。がむしゃらにすべての情報をフォローするのではなく、自分が必要な情報を取捨選択する必要があるだろう。
2.タイムライン
タイムラインには、各ユーザーが登録しているフィードの情報が表示される。
3.プロファイル
プロファイルページで自分のプロファイルを登録/確認することができる。自分の発言、フォローしている(されている)状況、参加グループ、連絡先/自己紹介、所有ファイルなどを確認可能だ。
4.ドキュメント共有
Chatterのタイムラインには、テキストの発言だけでなく添付ファイル機能のようにドキュメントを投稿して公開することができる。例えば、作りかけのPPT資料などを投稿してほかのユーザーからヒントを募る、といった使い方が可能だ。投稿されたドキュメントはタイムライン上でプレビューすることもでき、概要を見るだけなら都度ダウンロードする必要はない。
5.グループ
各ユーザーはグループを作成して参加することができる。グループは公開/非公開を設定でき、非公開グループへのユーザーの参加は承認制になる。グループを作成するとそのグループ内で発言やファイルを共有でき、またグループ内の活動のダイジェストメールを受け取ることができる。
6.ハッシュタグ
Twitter同様、ハッシュタグを使うことができる。#半角英数字]と打つことで、そのコメントにハッシュタグを付与して発言[検索時に活用できる。
7.メールダイジェスト
メールダイジェスト機能を使うことで、その組織で投稿されたコメントやフォロー先レコードの更新状況が日次でダイジェストメールとして送られてくる。
8.Chatterレポート
Chatterで流通するさまざまな情報は、Salesforce CRM標準機能である「レポート」「ダッシュボード」で分析可能だ。また、AppExchangeで提供されている「Chatter Adoption Dashboard」を使うことで、コメント、グループ、フォロワー、フィードなどをさまざまな切り口で分析することが可能になる。
Chatterのエディション
Dreamforce 2010で発表されたものを含めると、Chatterには以下のエディションがある。
- Chatter.com
- Chatter Free Edition
- Chatter Edition(Chatter Plus)
- 既に利用中のSalesforce組織(※)もしくは新規契約したSalesforce組織
※Salesforce組織:Sales Cloud(Salesforce CRM)、Service Cloud、Force.comの1契約組織(契約単位)。
Chatter.comとChatter Free EditionはDreamforce 2010で発表されたばかりのエディションだ。両者に大きな機能差はないようだが、Chatter.comはSalesforceに関係なく完全にオープンなインターネットユーザーが利用できるのに対して、Chatter Free Editionは特定のSalesforce組織内のChatter環境に招待されて無償でChatterを利用できるものになるようだ。これらは現時点で詳細機能は不明であり、2011年2月以降に提供され始める予定だ。現状の情報のみでこれらをまとめると以下のような分類になる。
| Chatter.com | Chatter Free Edition | Chatter Edition (Chatter Plus) |
Salesforce組織 | |
|---|---|---|---|---|
| 提供機能 | Chatterのみ | 無料ユーザーはChatterのみ 有償ユーザーは契約Salesforce組織の標準機能 |
Chatterと一部のオブジェクト | Salesforce標準機能 |
| 価格 | 全ユーザー無料 | Salesforce組織1ライセンス以上の契約が必要 Chatterのみ利用ユーザーは無料 |
1500円/ユーザー | Salesforceのライセンス価格/ユーザー |
| アカウント | Chatter.comアカウント | 無料ユーザーはそのSalesforce組織のChatter Freeアカウント 有料ユーザーはSalesforce標準アカウント |
Chatter Editionアカウント | Salesforce標準アカウント |
既存もしくは新規のSalesforce組織には開発者向け組織であるDeveloper Editionも含まれるので、取りあえず触ってみたいという方は登録(無料)することで、今すぐにでも利用を開始できる。
阿部友暁
株式会社ウフル 取締役/最高技術責任者(CTO)
携帯着うたシステム開発、インターネットラジオサイト「ねとらじ」創設、デジタルサイネージシステム開発と、インターネット畑を転々とした後、現職。現在はクラウドシステム開発を通じて、インターネット技術の他分野への応用の可能性を追求中。Force.comを中心としたクラウド技術ブログ「deferloader」を執筆。
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