オールフラッシュ軸に進む業界再編
ストレージ業界で何が起きているのか? 巨額買収だけではない大激変の“予兆”(2/2 ページ)
データセンターは新技術を採用、そのしわ寄せがレガシーストレージに
フラッシュストレージは2015年、ニッチから脱却し、2016年も引き続き存在感を増すことになりそうだ。EMCの大ヒット商品となったオールフラッシュストレージ「XtremIO」は10億ドルの売り上げを達成している。NetAppはSolidFireを買収するまで、オールフラッシュストレージの新製品ライン「All Flash FAS」の販売に力を注いできた。2015年にはHPE 3PARのオールフラッシュモデルやIBMの「FlashSystem」などもよく売れた。ストレージ業界における2015年の買収で2番目に規模が大きかったのは、米Western Digitalによる190億ドルでの米フラッシュメーカーSanDiskの買収だ。こうしてフラッシュが躍進を続ける中、HDDもテープと同じ運命をたどるのではとの懸念も広がっている。
その一方で、オールフラッシュ市場の構築に寄与した先駆企業は不確かな未来に直面している。米Pure Storageは2015年、売上高を大きく伸ばし、新規株式公開(IPO)を果たした。しかしIPO後も赤字が続いており、2018年まで黒字化は望めそうにない。同じくオールフラッシュベンダーの米Violin Memoryと米Kaminarioにとっても、2016年の見通しは不透明だ。両社とも、SolidFireに続いて買収のターゲットとなるか、米Nimbus Dataのように廃業に追い込まれる可能性がある。
2015年にはクラウドストレージも多くの顧客を集め、幾つか興味深い新規参入組も登場した。2015年1~9月のクラウドの売上高は米Amazonだけで50億ドルを突破しており、米Microsoftの「Microsoft Azure」と米Googleの「Google Cloud」も加えれば、従来型のITストレージ製品の売り上げがかなりの規模でクラウド市場に流れたことになる。顧客がストレージをオンプレミスから移すタイミングに乗り遅れないよう、EMCとNetAppは目下、ハイブリッドクラウド戦略に注力している。フラッシュの普及が顧客のクラウド利用を後押しする中、2015年には米ClearSky Dataと米Velostrataもハイブリッドクラウド市場への新規参入を果たした。
2015年、クラウドはデータ保護リポジトリとしても存在感を増した。サービスとしてのディザスタリカバリ(DRaaS)とクラウド間バックアップの選択肢が急速に増加し、バックアップソフトウェアベンダーのVeritasと米Commvaultはクラウドを事業戦略の中心に据えている。
予想された通り、2015年はハイパーコンバージェンスが脚光を浴びる1年となった。米Nutanixと米SimpliVityはハイパーコンバージドインフラ市場で目覚ましい成長を遂げ、Nutanixは2016年に向けて新規株式公開(IPO)の申請を済ませている。IPO申請書によれば、NutanixはPure Storageと同様、売上高は右肩上がりだが、支出も多く、今のところかなりの損失を出している。さらに2015年、Nutanixはハイパーコンバージェンス市場へのVMwareの参入に対抗すべく、独自のハイパーバイザー「Acropolis」をリリースした。VMwareはストレージ仮想化ソフトウェア「Virtual SAN」の新版をリリースしたが、同社のハイパーコンバージド製品「EVO:RAIL」はまだあまり支持を得ていない。ハイパーコンバージド市場の新規参入勢の1社、米Nimboxxは2015年を完走できず、12月に事業を打ち切っている。
2016年もディスラプションの1年に?
2015年の主要な展開は2016年に持ち越される見通しだ。EMCのストレージ事業がDellの傘下でどのようなものになるのかは、2016年のいずれかのタイミングで明らかになるはずだ。HPEとVeritasの今後についても、いずれ詳細が明らかになるであろう。DellがEMC買収を発表した直後に多くが予想したように、この先、企業買収が活発化するかどうかも注目のポイントだ。2016年、新しいフラッシュ技術は引き続きストレージアレイとサーバベースストレージを促進し、企業はハイパーコンバージドシステムの新たなユースケースを生み出し、ストレージベンダーはクラウドのより良い活用方法を見つけていくことになるだろう。
2016年は恐らく2015年ほど変化の多い1年にはならないが、ストレージ業界で安定した状態が長らく続くことがなさそうなのは確かだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー