2015年の“外れ予想”を振り返る
「Windows 10」が好調なせいで“Microsoft DaaS”の登場が遅れた?(1/2 ページ)
2015年には、DaaSに大きなニュースがあるはずだと予測した筆者。そのニュースの正体である、「“Microsoft DaaS”の登場」という予想は外れた。その原因は何だったのか。
新年の予測を立てるとき、昨年の予測について的中したものだけを振り返りたい気持ちはよく分かる。だが誰にでも空振りはある。
例えば筆者は、ネットワーク経由のサービスとして端末のデスクトップを提供する「Desktop as a Service」(DaaS)と「アプリケーションリファクタリング」(注1)に関して、大きなニュースがあるはずだと考えていた。だが主要なデスクトップ仮想化ベンダーは別の方向に注意を向けており、どちらのテクノロジーも予想より動きが少なかった。
注1 リファクタリングは一般的に、アプリケーションの入出力といった外部仕様を変えずに、ソースコードの構造を改善する手法のこと。本稿では、従来のアプリケーションをモバイル端末で操作しやすくするために、ユーザーインタフェース(UI)の一部を調整する技術を指して「アプリケーションリファクタリング」と呼ぶ。
加えて、Hewlett Packard Enterprise(HPE)の高密度サーバ「HPE Moonshot System」について、2015年に販売数が急増すると予測した。だがMoonshotが脚光を浴びることは基本的になかった。
DaaSとアプリケーションリファクタリングに大きなニュースがあるという予測は、2016年に持ち越すつもりだ。だが、なぜ2015年は予測が外れてしまったのか。その理由を考える。
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“Microsoft DaaS”はどうなるのか
MicrosoftはDaaSよりもWindows 10を優先
Microsoftは、2015年7月末にようやく新クライアントOS「Windows 10」のリリースまでこぎ着けた。同社にとって2015年の半分以上は、同社の命運を左右するこのOSで手いっぱいだった。そのためか、クライアント向けWindowsのデスクトップが利用できるDaaS基盤の構築には、時間が十分に取れなかったようだ。
「MicrosoftのDaaS」が持つ潜在的影響力は軽視できない。既存のDaaSベンダー各社は自社サービス基盤を微調整しているが、クライアント向けWindowsを実行できる場所についてMicrosoftが課している難解な制限が原因で、その作業は不必要に複雑になっている。
その気になればMicrosoftは、この規則をいつでも変えてDaaSの普及を促進できる。だが自社の戦略的優位性を浪費する理由はどこにもない。Microsoftが、自社のDaaS基盤を準備しないままライセンス規則を変えれば、競合他社が勢いづくのを許すことになる。
2016年、Microsoftはライセンス規則を緩和するタイミングで、クライアント向けWindowsのデスクトップが利用可能なDaaSをリリースすることが予想される。
アプリケーションリファクタリング企業はどこも買収されず
アプリケーションリファクタリングはデスクトップ仮想化の要素技術を駆使して、ソースコードを改変することなく、従来のWindows/Webアプリケーションをモバイル端末向けUIへ変換する。
このアプリケーションリファクタリング市場は今なお成長を続けており、突出している企業が幾つかある。具体的には、PowWow、Reddo Mobility、Capriza、StarMobile、hopToだ。このうちhopToは、従来型アプリケーションをモバイル端末ネイティブのUIに変換することよりも、ショートカットバーを作成してアプリケーションを使いやすくすることに重点を置いている。
デスクトップ仮想化の主要ベンダーであるCitrix SystemsやVMwareが2015年に、いずれかのアプリケーションリファクタリングベンダーを買収する機会は十分にあった。だがMicrosoftのDaaSと同様、予測は1年早かったようだ。
特にPowWowとReddo Mobilityのアプリケーションリファクタリング製品は、従来のWindowsアプリケーションであるWin32アプリケーションを主な対象にしている。このうちPowWowの製品は、リモートデスクトッププロトコルを介して情報を読み取り、アプリケーションが何を実行しようとしているのか判断する。
どちらのベンダーの製品も、仮想デスクトップインフラ(VDI)やリモートデスクトップセッションホスト(リモートデスクトップサービスの中核サーバ)と密接な関係がある。まだCitrixやVMwareによる買収検討の話を聞かないのは驚きだ。
Citrixは、Windowsアプリケーションのユーザーインタフェース(UI)をタッチ操作向けに変更する「XenApp Mobility Pack」によって、アプリケーションリファクタリングに似たことを5年にわたって試行してきたが、うまく普及していない。その理由は、XenApp Mobility Packでは、ソースコードにアクセスしなければアプリケーションを微調整できないだけでなく、対象のアプリケーションも限られているからだ。真のアプリケーションリファクタリングは、どのアプリケーションでも動作するものであるべきだ。
アプリケーションリファクタリングが市民権を得てからまだ日は浅い。だが製品が成熟して優秀なベンダーが台頭するにつれて、CitrixやVMwareが既存ベンダーのいずれかを買収することが予想される。
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