Windows更新の新方針がもたらすセキュリティ問題【後編】
Windows 7からのWindows 10移行に“断固拒否”な人のもっともな言い分
Windows 10の更新プログラム適用プロセスは、従来と具体的にどう違うのか。企業はWindowsの更新にどう向き合い、どう対処すべきなのか。
前編「Windows 10の“勝手”更新プログラム適用で戸惑う人が続出?」では、Microsoftの新OS「Windows 10」の更新プログラムがセキュリティにもたらす問題について整理した。後編では、従来のWindowsとWindows 10の更新プログラムとの具体的な違いを紹介した上で、企業が取り得るOS更新の戦略を示す。
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Windows 10更新プロセスの謎
今までのWindows更新プロセス
「Windows 8.1」までのバージョンでは、どの更新プログラムを適用するかは顧客がコントロールできていた。全更新プログラムを自動的にインストールするオプション、更新プログラムをダウンロードしても自動的にはインストールしないオプション、Windows更新サービス「Windows Update」を実行してダウンロードを選択しない限りは更新プログラムを一切受け取らないオプションがあった。
企業で最も一般的なのは、一切の自動更新を無効にして、社内に更新プログラム配布ツール「Windows Server Update Services」を設定し、Microsoftの更新プログラムをそこに全て集める方法だ。更新プログラムは社内のIT担当者が全て検証してから端末に配信する。
多くの企業が自動更新を許可していないのは、更新プログラムの不具合によってクラッシュしかねないアプリケーションが大量にあるからだ。そうしたアプリケーションは非常に特殊だったり、専用に設計されたりしたものが多数を占める。
Windows 10更新のサービスブランチ
Microsoftの新しいアップグレードモデルでは、Windows 10の更新に関して3種類のサービスブランチを提供する。デフォルトの「Current Branch」(CB)、別名「コンシューマーアップデート」は、コンシューマー向けWindows 10を搭載したクライアントPCにとっての唯一のオプションだ。MicrosoftのOSやアプリケーションの更新プログラムは、Microsoftが望めば好きな時に、通知なしに配信できる。
Microsoftは法人顧客に対しては、更新プログラム管理に関して複数の選択肢を用意している。Windowsのビジネス・教育エディション向けの「Current Branch for Business」(CBB)では、組織は最大で8カ月までOSのアップグレードを延期でき、テストのための時間を確保できる。ただし、いずれはアップグレードがインストールされる。このアプローチの主な利点は、もしMicrosoftが不具合のあるWindows 10の更新プログラムをリリースしたとしても、顧客がインストールを強制される前に、問題の更新プログラムの撤回や修正が行われる点にある。
「Long-Term Servicing Branch」(LTSB)では、顧客が全ての更新を中止できる。ただし、利用できるのはWindows 10のEnterpriseエディションで、ボリュームライセンス契約「Software Assurance」を結んでいる場合に限られる。
Windows 10更新プログラムのセキュリティオプションと戦略
Windows 10では更新プログラム適用が必須となることから、レガシーアプリケーションをWindows 10に対応させるまでは「Windows 7」を使い続けることを望む組織もあるだろう。Microsoftは2020年1月14日まで、Windows 7のセキュリティ更新プログラムの無料提供を続ける方針だ。それまでは脆弱性が見つかれば、Windows 7/8/10向けの更新プログラムを同時に提供する見通しだ。
法人顧客はCBBを使って、Microsoftからの更新プログラム配信に最大8カ月間待ったをかけたいと考えるだろう。Windows 10では、レガシーアプリケーションが予告なく正常利用できなくなる可能性があるからだ。場合によってはWindows 10を一切避けて、自分たちで管理しやすいWindows 7イメージの方を選びたいと考える企業もあるだろう。
その場合でも、LTSBのプレミアム料金をMicrosoftに払う気がないのであれば、どんな顧客であれ、Microsoftの更新プログラムによるカスタムアプリやサードパーティーアプリの破損を回避できる保証はない。多くの組織にとって最善の解決策は、OSに依存するアプリケーションから離れることだ。新しいエンタープライズアプリケーションの大多数は、サーバで実行してWebブラウザ経由でアクセスできる設計になっている。そうすればいったん開発したアプリケーションは複数のデバイスやOSからアクセスでき、デバイスのOSの予期しない変更によって支障が起きることもない。
それでも会社保有のWindows端末でLTSBを利用しながら、従業員に対して私物Windows端末の業務利用(BYOD)を認め、かつ任意のアップグレードも認めている組織は、異なるOSが存在する環境への対応を強いられる。この法則はエンタープライズ全般に当てはまる。企業が数カ月足らずで全てのクライアントPCを全て新しいOSに切り替えることは不可能だ。グローバル企業であれば、移行に1年以上かかることもある。その後も大抵の場合、少なくとも一部のコンピュータで、「Windows XP」からWindows 10まであらゆる種類のWindowsが存在し続ける。
更新プログラムのインストールに関する選択肢が狭まったことで、現実のリスクがあると判断し、できるだけ長くWindows 7にとどまろうとする法人顧客の間では、Windows 10の更新が滞る可能性もある。予想外の結果をもたらしかねない更新ポリシーをMicrosoftが撤回してくれることを願う。
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