モバイルアプリ開発、鉄板の3ステップ
iPhoneを好き過ぎる人でも仕事では使えない、モバイルアプリから見たその理由は?
モバイル戦略を成功させるにはビジネスの中核プロセスを変えなければならない。この障害を乗り越えることは困難だが、不可能ではない。
2016年、世界中でモバイル化が加速している。大半の企業は電子メールへのアクセスを可能にし、少数ながら他にもアプリを提供している。正真正銘のモバイル企業であれば、業務用アプリケーションのほとんどを従業員自らが選んだデバイスで使用できる。だが、そのような本当のモバイル企業への移行に踏み切っている企業はごくわずかだ。
完全にモバイル化することは、なぜそうも難しいのだろうか。以前であればモバイルを活用することは二流と見なされていた。モバイルデバイスは処理能力が低く、画面が小さく、実際に仕事を遂行するための入力メカニズムもなかった。だが、今ではPCとモバイルデバイスの線引きは曖昧になっている。
企業はPC用のOSとモバイルOSでアプリケーションを個別に開発しなければならないが、このような問題も徐々に消えていくだろう。少なくとも1社は、この状況を実現するビジョンを示している。それは、Microsoftだ。同社の構想では、開発者はMicrosoftの「Universal Windows Platform」用にアプリを1回開発するだけで済む。そうすれば、そのアプリは全ての「Windows 10」デバイスで動作する。スマートフォン、タブレット、PCだけでなく、Microsoftの「Xbox」および「HoloLens」もその対象になる。
企業がモバイル化にしり込みしている最大の要因は、モバイル戦略を成功させるためにはビジネスプロセス全般を変更する必要があるからだ。PC用のアプリケーションを複製したり、拡張したりするだけでは済まない。モバイルアプリではそれどころか、デバイスに搭載されているあらゆる新機能を活用することになる。例えば、位置認識、メッセージング、画像の取り込みなどだ。
企業が最初にとるべき3つのステップを以下に示す。
まず第1のステップとして、モバイル戦略が企業の重要業績評価指標(KPI)にどのような影響を与える可能性があるのかを特定する。どの企業も運用コストや収益などの指標に関して、幾つかの年間目標を定量的に定めている。IT部門とアプリ開発チームは各事業部門と連携し、アプリのモバイル化によって、こうした目標の達成がどれだけ促されるかを把握すべきだ。具体的には、案内媒体の配布を改善することによる販売への影響、現場で使用するアプリのアップデートによる生産性の向上、請求ソフトウェアの改良による顧客から問い合わせ件数の減少などについて調査されたい。
企業に目立った変化を引き起こす可能性のある計画をIT部門が突き止めたら、第2のステップだ。次のような基準を元にランク付けが必要だ。
- KPIとビジネス価値への影響
- 技術的な実現可能性
- 企業の準備態勢
例えば、モバイルにおける販売時点管理を実現することで顧客サービスを改善することはアイデアとして素晴らしい。それによりビジネス価値も向上する。だが、それには特定システムのアップグレードが欠かせないため、このようなタスクに対応できるかどうかをIT部門が評価しなければならない。システムアップグレードの予算を企業が用意できなかったり、そのための計画がなかったりするのであれば、この取り組みがうまくいくことはない。
第3のステップ。企業はベンダー製アプリのモバイル版を導入したり、SaaSアプリを購入したり、社内で開発することになる。アプリ開発にこだわるなかれ。モバイルアプリを構築して導入する万能手段はない。こうしたアプリにはネイティブのものもあれば、クロスプラットフォームのもの、レスポンシブWebで用意されたアプリの場合もあるだろう。大抵の企業のモバイル戦略では、市販アプリと社内アプリを併用することになる。
重要なのは、各アプリでどのようなタスクを実行していて、どのようなデータへのアクセスが必要なのかを把握することだ。こうした問いに対する答えが分かれば、各アプリに最適なモデルを選ぶことが容易になる。例えば、固定スケジュールの表示であればモバイルのブラウザで十分かもしれない。だが、複数のバックエンドシステムのデータが必要なものならネイティブアプリを用意すべきだろう。
本稿で紹介したのは、企業が正真正銘のモバイル組織になるために達成すべきステップの一部にすぎない。成功の鍵は、モバイル戦略がどのようにビジネス価値をもたらすのかを明確にし、ユーザーの興味を促す成果を短期間で幾つかあげ、KPIを支えるアプリを絶えず繰り返し適用することだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー