社内アプリの開発、配布、監視の手法とは
モバイルアプリを社内開発してみない? 失敗を避けるための4つのポイント
モバイルアプリ開発は、十分に練られた計画があって、はじめて最良の結果が得られる。アプリケーションの開発と配布のプロセスを最適化する方法を紹介する。
モバイル技術による新たなビジネスの変革や創出を求める企業経営者が、モバイルアプリケーションを開発してすぐにも成果を得たいと焦る気持ちは分からなくもない。だが、社内でのアプリ開発は長く険しい、そして多くの場合において費用の掛かるプロセスである。その道のりを進める前に、企業はアプリ配布までの一連の明確な道筋を描く必要がある。
しっかりとした開発戦略を準備できれば、従業員の生産性を向上させるアプリと、優れたモバイルエクスペリエンスを実現する幾つかの方法が見えてくる。本稿では、そうした社内アプリケーションの開発、配布、監視の手法について考察する。
開発プロセスの標準化
アプリケーションを社内で開発する場合、自社のITスタッフが設計・構築を行う。多くの企業は、大小の規模は別として、ある程度そうした開発能力を有しているものだが、今日では、さらに多くの企業がモバイルデバイスを利用する従業員向けカスタムアプリの開発を望むようになった。
アプリケーションを社内開発すれば、企業はそれにどのような機能を持たせるか、いつ変更するかなど、完全にコントロールすることができる。プログラマーはアプリ開発プロセスにサードパーティーを関与させる心配をする必要はなく、さらに、社内の特定のニーズに合わせてユーザーインタフェースを仕立てることが可能になる。
社内アプリケーション開発は、しばしばコスト高となり、時間も余計に取られる。だが、アプリケーションの開発および配布に関する次の4つの領域に適切に注意を払えば、最終製品はそれに見合う大きな価値をもたらすだろう。
- ユーザーインタフェースおよびスタイルガイド
- 開発環境
- アプリケーション検証の署名および認証のプロセス
- モバイルアプリのパフォーマンス監視
大企業をはじめ、さまざまな事業部門に複数の開発チームを置いている組織に共通する問題は、社内共通のユニバーサルな標準が確立されていないことだ。
例えば、財務や収益に関係するアプリを担当するグループでは「iOS」用のアプリを開発し、別のグループではアプリを「Android」向けに標準化しているというケースもあり得る。両方のアプリとプラットフォームに利用する必要のあるマネジャーを想像してみよう。もし双方に全く統一性がなければ、利用者はそれぞれのアプリの使い勝手に失望し、生産性は決して向上しないだろう。
企業はモビリティチームを結成して、社内専用のスタイルガイドを作成し、ユーザーエクスペリエンス(UX)分析のための標準を設定しなければならない。“アジャイル”や“スクラム”、あるいは“リーンUX”といったアプリケーション開発手法から選ぶことができるが、いずれにしても社内の全ての開発者が同じ戦略で進めることが重要だ。
加えて、エンタープライズモビリティ計画に責任を持つ人々は、どのタイプの開発環境を選択するか判断しなければならない。アプリケーションはネイティブにするか、HTML5ベースにするか、それともハイブリッドにするか? それは誰がどんな目的でそのアプリケーションを利用するかによるが、社内ネットワークへの接続性やセルラー通信網の信頼性といった他の要素も関係してくる。
検証、配布、継続的な監視
妥当性確認(バリデーション)と証明手続きは社内アプリケーション開発のもう1つの必須要件である。このプロセスはボトルネックになりかねないとする意見もあるが、筆者はアプリケーションを一元管理するチームの設置を強く推奨したい。このセンターが従業員に安全にモバイルアプリを配布するためのグループやプロセスを割り当てるとともに、品質保証の標準も確立する。
また、社内にApple担当の管理者を置き、「iPhone」や「iPad」で利用されるアプリについては全て、その担当者にデジタルで署名と認証を行わせる。中央の管理チームが、そのプロセスに責任を持つことになる。
エンタープライズモビリティチームを設置すべきもう1つの理由は、社内のアプリケーションデリバリーの構造を管理するためだ。アプリストアを使って、アプリやアップデートをモバイルデバイスにプッシュ配信したり、市販のスマートフォンのようにユーザーにアプリを選択させダウンロードさせたり(プル配信)もできる。
IT部門は、社内アプリストアをモバイルデバイス管理(MDM)システムで管理することも、Apple iTunesストアやGoogle Playストア、あるいはWindows Marketplaceなど、外部のサービスを利用して管理することも可能だ。筆者はどちらかといえば、社内で管理するアプリストアを好む。全ての従業員が、1つの場所で生産性アプリを見つけることができるからだ。外部のアプリストアを利用する場合、従業員がアプリを探して複数のサイトを行ったり来たりするなど、混乱が生じる可能性がある。
社内アプリストアはまた、ターゲットユーザーごとに管理者がアプリケーションをセグメント化することが可能になる。例えば、経営陣や管理職が必要とする特定のアプリには、エントリーレベルの従業員がアクセスすべきでないアプリが含まれているだろう。
社内で開発したモバイルアプリを立ち上げたら、企業はアプリケーションのパフォーマンス監視技術を用いて、開発者がトラブルやクラッシュに迅速に対応できる態勢を整える必要がある。
米Appceleratorや米New Relic、米Aternity、米Crittercismなどの監視ツールは、アプリコードベースに常駐する統合API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を提供する。管理者はアプリのパフォーマンスの状況をリポートでチェックすることが可能だ。
これらの監視ユーティリティは、サービスやトランザクションコール、携帯電話の帯域幅の問題といったボトルネックを明らかにしてくれる。また、クラッシュを見つけ、アプリがいつどこで動かなくなったかも報告してくれる。これらの情報を基にIT担当者が問題を素早く解決できるだけでなく、将来の最適化のために、どのコードがトラブルの原因になっているか判別する機能もある。
社内アプリ開発は必ずしも手軽なものではない。だが適切な方法さえ取れば、従業員の生産性を向上させるカスタムアプリケーションの開発と配布に失敗する理由は何もない。
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