業務アプリ開発の新常識
モバイルアプリ開発に成功した企業が必ず行ってきた4つのこと
モバイルアプリケーションの開発では、従来とは異なるアプローチが求められるだけではなく、その道のりには幾多の障害が待ち受けている。
多くの企業で不足しているモバイルアプリの開発スキル
スマートフォンやタブレット向けの使いやすいアプリケーションが普及してきたことに伴い、業務用アプリケーションにエンドユーザーが期待する内容も変化してきた。PC時代を支配した巨大なアプリケーションはこの新時代に必ずしもマッチせず、新タイプのアプリケーションを作成するのに必要なスキルが、企業の開発部門で不足しているケースも多い。
2013年6月にボストンで開催された「E2 Conference」に参加したパネリストたちは、モバイルアプリケーションの開発をめぐる課題について議論を交わし、4つのアドバイスを示した。
1.拡張性のあるアプリケーションを作成する
どれだけ綿密に計画を立てようとも、アプリケーションが失敗するか成功するかを予想するのは難しい。イスラエルに本社を置くアプリケーション開発プラットフォームプロバイダーのMagic Software Enterprisesのレゲブ・ヤティブ社長兼CEOは「アプリケーションが成功した場合のシナリオに備え、複数のプラットフォームとフォームファクターに容易に対応できるようにしておく必要がある」と語った。
米医薬品メーカーのSanofiでモバイル技術担当ディレクターを務めるブライアン・キャッツ氏によると、「アプリケーションの拡張性を高める方法の1つは、ビルディングブロックとして利用できる構成済みコードのパーツライブラリを作成することだ」という。「こうしておけば、社内のVPNに接続したり、決められたデータストアにアクセスするといった特定のタスクに新たに対応する必要が生じるたびに、一から開発を行わなくても済むからだ」。
2.ユーザーのニーズにフォーカスする
こうした柔軟性は、ユーザーの好みに合わせてアプリケーションを修正する場合にも役立つ。ユーザーの好みはすぐに変化する可能性があるからだ。米Citrix Systemsのシニアディレクター、トレントン・サイコル氏は、アプリケーションにおけるユーザーの好みをゲームに対する子どもの好みに例え、「ゲームは、はやりすたりが激しい。エンタープライズアプリケーションもそうなるだろう。使い捨てになるのだ」と話す。
ユーザーの関心を維持するには、仕事の効率化に役立つアプリケーションを提供することが重要だ。この目的を実現するには、設計、開発、導入の各プロセスにユーザーを巻き込むのがベストだ。
前出のキャッツ氏によると、「開発者はユーザーが気持ちよく仕事をし、問題を解決するにはどうすればいいかをユーザーと一緒になって考える必要がある」という。同氏の会社の営業スタッフは定期的に病院の医師を営業で訪問しているが、病院内ではプライバシーの懸念からネットワークに接続をすることはおろか、携帯端末の電源を入れることさえ禁じられている区域もあるという。「こうした事情はユーザーにしか分からないことであり、ユーザーの話はアプリケーション開発におけるさまざまな判断の参考になる」とキャッツ氏は語る。
ユーザーを巻き込むもう1つの方法は、どのアプリケーションを導入するかについてユーザーに発言権を与えることだ。モバイルエンタープライズアプリケーションプラットフォームの開発を手掛ける米Verivo Softwareの最高マーケティング責任者、クリストファー・ウィリス氏は「特定の業務用のアプリケーションの開発で複数の開発チームを競い合わせ、どれがベストかをユーザーに決めてもらうという方法もある」と話す。
3.バックエンドとの接続
モバイルアプリケーションには、ユーザーが誰であり、どんなデータを必要としているかを認識する機能も求められる。すなわち、「Mobile Backend as a Service(MBaaS)」(サービスとしてのモバイルバックエンド)と呼ばれる強力なサポートインフラが不可欠であるということだ。MBaaSはモバイルユーザーがエンタープライズシステムに接続することを可能にすると同時に、IT部門によるモバイル環境の一元管理とセキュリティ対策にも役立つ。
「バックエンドに接続されていないようなモバイルアプリケーションはだめだ」(ヤティブ氏)
4.フィードバックを得る
開発者の仕事は、アプリケーションがユーザーの手に渡るまで終わらない。何人のユーザーがアプリケーションを使っているのかをモニターするアナリティクス機能をアプリケーションに組み込んでおけば、修正の必要が生じたときに素早く対応できる。
キャッツ氏によると、「アプリケーションの新バージョンを長い間隔でリリースする時代は終わった」という。開発者と経営幹部はユーザーと定期的に意思疎通を図り、社内アプリケーションについてユーザーがどう思っているのかを把握する必要がある。
「フィードバックの中でもうれしくないのは『よく分からない』という反応だ。これはユーザーがそのアプリケーションを使っていないことを意味するからだ」(ウィリス氏)
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