電子カルテや検査機器にアクセスできず
「身代金は9000ビットコイン」、ハリウッドの大病院がランサムウェア被害
米連邦捜査局(FBI)とロサンゼルス市警は、ハリウッドの大病院が受けたランサムウェア攻撃の捜査に乗り出した。この攻撃によって病院では、過去の患者データにアクセスできない事態に陥った。
ハリウッドの大病院Hollywood Presbyterian Medical Centerが、ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)の攻撃を受け、病院と患者が被害に遭った。米連邦捜査局(FBI)とロサンゼルス市警(LADP)がこの事件について捜査している。
報道によると、同病院は2016年2月5日(現地時間)に攻撃を受け、コンピュータシステムがダウンした。同病院のアラン・ステファネック病院長はNBCロサンゼルス放送局に対し、職員が「重大なIT問題に気付き、院内非常事態を宣言した」と語っている。
併せて読みたいお勧め記事
ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)について
医療施設とクラウドストレージの付き合い方
患者の診療においては、ランサムウェア攻撃の影響は出なかったとステファネック氏は説明する一方で、患者が別の病院に搬送されたことは認めた。この病院のある医師は匿名で、影響を受けたコンピュータは、患者の診療記録の文書化や、X線検査・CTスキャンなどの検査のデータ送信に欠かせないものだったと打ち明けている。攻撃によって、保存されていた過去の患者の診療記録にアクセスできなくなり、一部の外来患者は診療を受けられなかった。
同病院がランサムウェアの攻撃に遭ったことは複数の職員が確認し、システム復旧のための暗号鍵と引き換えに、9000ビットコイン(現在のレートで約360万ドル)の身代金を要求されていると証言した。どの種類のランサムウェアが使われたのかは分かっていない。
ステファネック氏は、「攻撃は無差別に行われたもので悪意はない」と主張し、FBIとLADPが調査に乗り出したことを明らかにした。この攻撃で、個人情報や患者の機密情報が盗まれたのかどうかについては現時点で分かっていない。
同病院がどのような形でデータのバックアップを取っていたのかも不明だ。多くの専門家の意見は、「暗号化されたクラウドベースのストレージを使って機密性の高いデータをバックアップすれば、ランサムウェア攻撃のリスクは大幅に低減できる」との見解で一致している。加えて専門家の多くは組織に対して、潜在的リスクについての従業員研修に力を入れるよう助言している。大きな問題は多くの場合、フィッシングのような小さな攻撃から始まるからだ。
セキュリティ企業TripwireのITセキュリティ&リスク戦略担当ディレクター、ティム・アーリン氏は、今回の事件にもそれが当てはまると解説する。
「今回の攻撃は、この病院に狙いを定めていたわけではないという意味では無差別だった。標的型攻撃には、組織や個人に関連した特定の手口や目的がある。ランサムウェアは攻撃側にとって新しいツールではない。その目的は、貴重なデータを暗号化して、復号鍵と引き換えに身代金を要求することにある。こうした攻撃は、病院から警察署から平均的な消費者まで、機密データを持つあらゆる組織に対して通用する」(アーリン氏)
「問題になるのは単なるサイバーセキュリティではなく、サイバーセーフティだ。病院にとって効率的な電子通信がどれほど重要か、平均的な消費者には理解できないかもしれない。その通信が妨害されれば診療に遅れが出て、人命に真のリスクが生じる。攻撃側は、医療機器そのものを直接攻撃することなく、病院の診療能力に深刻な打撃を与えることが可能だ。病院のディザスタリカバリー(DR)計画には、そうしたサイバー攻撃も盛り込む必要がある」とアーリン氏は話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社kickflow] 2社の事例に学ぶワークフロー改革:属人化解消や年数万件の申請書類削減のコツ -
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
2
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
5
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
6
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
7
音声もFAXもメールで確認――ユニファイドメッセージの業務効果
-
8
AI活用か新たな脅威か OpenAI自律エージェントがRubyGemsを急襲
-
9
IT予算が10%増えたら何に使う? 著名企業のCIOが明かす「最優先の投資先」
-
10
APIキー奪取から3時間でクラウド掌握 Anthropicが暴いた「バイブハッキング」の現実的な防御策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
8
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー