IaaS市場の統合でこれから起きること
クラウドユーザーはベンダーロックインの悪夢をまた見るのか
IaaS市場は統合が続いており、クラウドユーザーは新しい難題と危機に直面するだろう。しかし悪いニュースばかりではない。
「IaaS(Infrastructure as a Service)」の分野は縮小しているように思われる。そして統合が続くことで、IaaS市場の力関係が変わるはずだと、ほとんどの業界関係者およびクラウドユーザーは見ている。
これらの変化が長期的に何を意味するかは現時点では不明である。しかし、少なくとも今の時点では、IaaS市場における統合は、選択肢が今より少なくなることにつながり、より多くのユーザーがMicrosoftやAmazon Web Services(Amazon)、Googleといった「安全な」プロバイダーに賭けるようになる。また、クラウドベンダーの束縛という新しい懸念を引き起こすだろう。
「激しい価格競争のため、IaaS市場が統合を続ける可能性は高い」。テクノロジーコンサルティング企業のTHINKstrategiesでマネージングディレクターを務めるジェフリー・カプラン氏は言う。IaaS市場の統合は、2つの点でユーザーに打撃を与えることになるかもしれないとカプラン氏は警告する。第1に、競合企業の数が減少するにつれ、ユーザーは価格の上昇に直面するかもしれない。第2に、これらのベンダーが自社のサービスを打ち切らざるを得なくなって契約先を失うか、他のベンダーに買収されて契約先を変更しなければならなくなる可能性がある。
それでも、全てのクラウドユーザーが心配しているわけではない。
「『Microsoft Azure』(Azure)ユーザーにとっては、IaaSでもPaaSでもコンピュート価格は下がり続けている」と、貴金属企業のDillon GageでCIOを務めるトム・グラウンズ氏は言う。いずれは3大サービスであるAzure、「Amazon Web Services」(AWS)、「Google Compute Engine」(GCP)に収れんされるだろうが、この市場において発生している統合から、グラウンズ氏の会社はあまり影響を受けていないという。
「われわれは2013年春にクラウド戦略の実行を開始し、プラットフォームとしてAzureを選択して、そこに全力を注ぎ続けている」とグラウンズ氏は述べる。
DevOpsにフォーカスしたコンサルティング企業Nebulaworksの創業者であるクリス・チボロフスキ氏によれば、IaaS市場における統合はユーザーの利益となるという。AmazonやMicrosoftのような主要なクラウドプロバイダーと競争しようとする小規模なプロバイダーは多いが、それらが提供するサービスは機能や堅牢性で主要プロバイダーにかなわない。IaaS市場の統合が進めば、小規模なクラウドプロバイダーも同等の機能を提供するか、サービスをより安価で提供せざるを得ないというわけだ。
「どちらにしても、『3大クラウドプロバイダー』による低価格競争か、または小規模なプロバイダーによる機能の増加という点でユーザーの勝利となる」とチボロフスキ氏は説明する。
IaaS市場での束縛を避けるプロバイダーの選択
データセンターの選定(それが実際のデータセンター、コロケーション設備、クラウドデータセンターのいずれであるかにかかわらず)と同様に、プロバイダーを慎重に評価することは重要なことだ。
「技術の積み重ねだけでなく、長い目で見たプロバイダーの生存能力も検討すべきだ」と、グラウンズ氏は述べる。ユーザーは、プロバイダーの潜在的なロードマップを調査し、将来的なIT計画と確実に合致するようにすべきだ。評価しているIaaSが大規模な組織の一部である事業単位から生じたものである場合、その親会社はIaaSの将来に投資していることを確認しよう。
「データセンターへの移行は、それが実際のデータセンターであろうとバーチャルであろうと、至難の業である。このため、賢明な計画を立てれば市場の統合はほとんど影響を及ぼさないだろう」とグラウンズ氏は述べる。
将来起こり得る統合の落とし穴を避ける最良の方法は、価格よりも品質に基づき、慎重にIaaSプロバイダーを選択することだ、とカプラン氏は言う。加えて、IaaS市場における潜在的なプロバイダーの競争力を評価し、クラウド撤退戦略の準備を常に整えておくことだ。
「また、その新しいプロバイダーに満足していない場合、プロバイダーの変更を可能にするために、クラウド撤退の適切な条項を整えて必ず保持しておくべきだ。そして他のプロバイダーに移行するための緊急時対応策も準備しておく必要がある」と彼は付け加えている。
プロバイダーの束縛に関して、リレーショナルデータベースやメッセージキューといった独自のサービスやツールを避け、インフラストラクチャ目的でIaaSを単独で使用することが重要だ、とチボロフスキ氏は言う。企業がクラウドプロバイダーと包括契約を結び、その結果として束縛リスクを受容しない限り、オープンソースの代替となるものを使用してアプリケーションやサービスを階層化することも良いアイデアだ。
「階層化アプローチを取ることは、抽象的な概念を提供し、束縛を軽減し、クラウドを越えたサポートと機敏性を可能にする」とチボロフスキ氏は付け加えた。
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