トヨタ自動車の事例も紹介
「iPad」やスマートフォンを“金のなる木”に変えた4つの事例
モバイルデバイスを本格的に活用するには、会社の業務様式を再考しなければならない。よく練られたモバイル化プロジェクトであれば、IT部門が会社の利益を増やし、従業員の生産性を高める後押しとなるだろう。
ほぼ全てのビジネス部門の責任者は、変革が必要不可欠なものだと認識している。製品、顧客、競合企業はいずれも変化する。ビジネスの世界は絶えず変化しているのだ。
この状況こそ、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを生かす適切なプロジェクトによって、ビジネスプロセスを変える好機になる。モバイル化プロジェクトで成功を収めるのは、単に既存のデバイスを新しいフォームファクター(規格や形状)に置き換えることではない。最良のモバイルエクスペリエンスは、従業員の働き方と顧客のブランドとの関わり方に変化をもたらす。
ビジネスプロセスを改善するために、位置情報ベースのサービスやカメラといったモバイルデバイスの機能を取り入れている企業もある。それ以外にもセンサーやウェアラブル端末を使って情報を収集し、ワークフローに新しい洞察を与えている企業も存在する。
本稿では、業務スタイルを変えるためにモバイル化プロジェクトを活用している企業を幾つか紹介する。
利益増加につながる強固なユーザーエクスペリエンスを作る
モバイル化プロジェクトでは、製品/サービスを新しい方式でより簡単に消費できるようにすることで、利益増加のチャンスが得られる。例えばカリフォルニア州サンタクララにあるリーバイススタジアムは、ファンがより便利にスタジアムを利用できるようにしたいと考えていた。チケットや駐車券の購入、飲食物の注文、スタジアムへのナビゲーション、開催するイベントの高画質な動画視聴のためにモバイルアプリケーションを活用している。このモバイルアプリのおかげで、ファンが早くスタジアムに到着できるようになっただけでなく、スタジアムでの飲食物の注文が増加した。
企業がモバイルデバイス向けの顧客関係管理(CRM)アプリや文書編集アプリを導入すれば、移動の多い営業担当者は、社外での契約獲得や商談成立をより簡単にできるようになる。
ワークフローを電子化して、従業員の生産性を向上する
紙の書類からの脱却は、企業が最初に採用するモバイル化プロジェクトのユースケースの1つだ。ペーパーレス化によりデータの精度が増し、従業員は新しいデータ(画像、時間、場所など)をキャプチャーできるようになる。
Samsung Electronicsのケーススタディーによると、サンディエゴに本拠地を置く廃棄物処理会社のDaily Disposal Servicesは、従業員による紙ベースの経路設定と記録の方法をタブレットアプリに切り替えることで、データの精度を4%向上したという。同社はペーパーレス化の取り組みを始めて間もなく、モバイルアプリの持つ新しい機能に気付いた。アプリによってトラックの移動ルートを最適化でき、車両当たりの移動時間を1時間近く短縮した。また1つの業務エリアで必要なトラック台数も削減できた。
コミュニケーションを改善する
幾つかの企業はモバイルデバイスを導入し、従業員がより簡単に会社の情報にアクセスできるようにして、顧客に対するサービス提供の効率化を進めている。例えば医療機関は、地図ナビゲーションや資産運用、患者エンゲージメント(最適な治療や医療の選択に患者が参加すること)などに関するさまざまな医療アプリを提供している。
一例を挙げれば、ボストンの研究医療センターBeth Israel Deaconess Medical Center(BIDMC)の研究者によると、同センターはAppleのタブレット「iPad」を使用して、緊急救命室や集中治療室(ICU)のオペレーションを変えたという。BIDMCは、ベッドの横で見られる記録やスタッフ呼び出し、画像のキャプチャー/検索を可能にするモバイルアプリを開発した。同センターは「MyICU」というWebアプリも開発した。このアプリは、患者とその家族が担当医の情報にアクセスしたり、治療や病室内の機器に関する情報について質問・確認できる。
新しい洞察から新たなデータを集める
センサーやモバイルアプリを接続することで、健康や機器の状態が、これまでにないほど目に見える形で示すことができるようになった。製造分野は「モノのインターネット(IoT)」とモバイルデバイスがビジネスの経済を変えている領域の1つだ。その要因は予知保全と高度な供給プロセスの追跡にある。例えば製造業界のベンダーが開発したモバイルソフトウェアによってプラント管理者は、設備や生産ライン効率に関するデータ、データ可視化ツール、アラートを確認できるようになる。これは従来のシステムより低コストで場所を選ばない。
調査会社Ropez Researchが2014年に発表したレポート「Building Smarter Manufacturing With The Internet of Things」によると、トヨタ自動車はアラバマのプラントでセンサーを使って、製品のエラーをリアルタイムで検知しているという。問題解決能力の向上により、同社は補修率と廃棄率を最小限にとどめている。その結果、55万ドルの年間コストを削減できている。
ほとんどの企業にとって変化は難しい。結果がどうなるか分からない急な変化であれば、なおさらだ。徐々に変化をもたらす潜在的なリスクを企業がゆっくりと受け入れていけば、その動きに加わっていない企業は取り残される。喜ばしいことにモバイル化プロジェクトを勧めた企業は、ワークフローを改善し、新たな市場定義のエクスペリエンスを作り出す唯一無二のチャンスを手にすることができる。
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