「AWS Summit Tokyo 2016」レポート
AWSは大企業をどう変えたか――KDDI、キヤノン、ジャパンネット銀行に起こったビジネスインパクト(3/3 ページ)
ジャパンネット銀行――競争力強化の一環として選んだAWSの活用
「これまでの銀行の“当たり前”をなくし、ジャパンネット銀行だからできる、新しい価値を提供していく」――ジャパンネット銀行 執行役員 IT本部長(CIO) 出口剛也氏は同銀行が抱える使命をこう表現する。国内初のインターネット銀行として三井住友銀行とヤフーの傘下で金融サービスを提供するジャパンネット銀行は、IT戦略においても高い先進性が求められる。金融機関として「安心、便利、価値」を追求していくため同行では、
- スピード、低コスト
- 高いセキュリティ
- 24/365サービス
を前提にしたシステム構築が必須だ。
おわびと訂正(2016年6月15日12時30分)
以下の通りおわびして訂正いたします。
【訂正前】
国内初のインターネット銀行として三井住友銀行の傘下で金融サービスを提供するジャパンネット銀行は、
【訂正後】
国内初のインターネット銀行として三井住友銀行とヤフーの傘下で金融サービスを提供するジャパンネット銀行は、
このうち、「スピード、低コスト」を実現する手段として、近年、金融機関におけるパブリッククラウドの活用がクローズアップされるケースが増えている。特に国内事例として有名なのがソニー銀行でのAWS導入で、ジャパンネット銀行もこれを参考にしながら「パブリッククラウドをシステムの中にどう位置付けて活用していくかを2014年ごろから検討してきた」(出口氏)という。その結果、勘定系のようなコアシステムではなく、社内OAシステムや情報系システム、顧客向けのWebサイトなどチャネル系システムといったセミコアシステム/ノンコアシステムであれば、順次、適性に応じてパブリッククラウドを活用可能という判断に至った。また、金融業界全体の動きとして、2014年4月からFISC(金融情報システムセンター)による「金融機関におけるクラウド利用に関する有識者検討会」でパブリッククラウドの位置付けと考え方が示されており、委託先選定時の評価基準が既に策定されていたことも大きく影響していた。
「まずは更改時期を迎えるノンコア系のシステム(OAシステム)からの導入を図ることにした」という出口氏。だが、パブリッククラウドの導入経験を過去に持ったことがないジャパンネット銀行にとって、幾つか乗り越えるべきハードルが残されていた。ジャパンネット銀行 IT統括部 部長 二宮賢治氏は「導入に当たり、安全性や信頼性の確認、当行の規定にパブリッククラウド利用の想定がない、加えて社内外のステークホルダーの不安など幾つかの課題があった。特にクラウドに対する漠然とした不安にどう向き合うかは重要なポイントだった」と語る。具体的な施策としては、安全性や信頼性の確認には第三者認証をしっかりと確認することで対応し、パブリッククラウドの規定に関しては新たに関連規定の整備を図った。そして最大の難関だった社内外の不安に対しては「ひたすら関係者を説得して回ることで理解をしてもらった」(二宮氏)という。手間は掛かるが、この地道な実践なくして新しい技術の導入は難しいともいえる。
パブリッククラウドの中でもAWSを選んだのは、検討していた2014年において「デファクトスタンダードで国内金融機関での実績もあり、定価が安くて透明性が高い。さらに新サービスがどんどん出てくる。他社クラウドには勝ち目がなかった」(二宮氏)という理由からだった。
導入に当たっては、
- 短期構築
- コスト抑制
- 規模変化への柔軟な対応
- 災害対策の実現
という目標を打ち立てた。さらに2015年5月に起こった日本年金機構の情報漏えい事件を受け、セキュリティ対策への要求が高まった。「重要事項をクラウドに置くということを踏まえ、認証装置の追加、高頻度バックアップ、操作ログ強化、専任チェック体制と専用ツールの併用など、対策を強化した」と二宮氏。結果、目標はおおむね達成でき、特にコスト抑制に関しては「5年間でオンプレミスと比較して2割程度の削減が実現できた」(二宮氏)という。
セッションの最後、出口氏は「金融機関でもパブリッククラウドは活用すべきインフラとなったことを実感した。引き続き、常にパブリッククラウドを選択肢に入れ、積極的かつ適材適所に活用していきたい」と今回のプロジェクトを総括している。インターネット銀行として果たすべき新しい価値の提供に、パブリッククラウドはこれからも重要なパートナーとして活躍しそうだ。
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