素早い社内展開が可能に
こっそり知りたい「SaaS」の基本、「Office 365」が使いやすいのはなぜ?(2/2 ページ)
このように長所もあるが、独自の短所もある。例えば、次のようなものが考えられる
- SaaSはリモートでの利用が基本だ。そのため、主要拠点に堅牢かつスケーラブルなWANが必要になる。こうした環境を用意できなければ、リモートでの使用自体が業務の妨げになる。大量にデータを移動するアプリケーションでは特に、ネットワークのボトルネックが深刻化する。データベースやデータウェアハウス、技術コンピューティング、動画処理などのアプリケーションがその例だ。
- ユーザーアクティビティや、プロバイダーのネットワークによってパフォーマンスが変わる。これはSaaSがリモート共有システムでホストされるためだ。転送量の急増や一時的な負荷の増加に応じてプロバイダー側で動的にスケーリングできるかどうかにも影響を受ける。
- SaaSのユーザーは運用面を細かく管理できない。具体的にはインフラのバックアップや災害復旧、セキュリティポリシーなどには関与できない。こうした分野はこれまで多くのIT部門が抱いていた最大の不安要素だった。だが、クラウドインフラが急成長し、成熟度を高めてきたことで、こうした不安要素の大部分は解消されつつある。大半のクラウド事業者は、平均的企業よりも優れたセキュリティと信頼性を提供している。
- SaaSのユーザーには、アプリケーション仕様の管理に制限がある。例えばバージョンやサポート対象の機能、オプションのアドインなどは管理できない。その結果、SaaS製品と既存のオンプレミスアプリケーションやデータソースとの統合、他のSaaS製品との統合は難しい可能性がある。例えば、オンラインの顧客関係管理(CRM)製品をSaaSのメールとコラボレーションシステムに接続するのは困難な場合がある。
SaaSの例とIT部門での実装
SaaSの例を見れば、このテクノロジーがIT部門にとって強力なツールになり得ることが分かる。IT部門はSaaSを使用して効率を向上し、費用を削減して、その重点を戦略的な収益創出のチャンスに移すことができる。
SaaSが最も向いているのは、メールやコラボレーション、ファイル共有、事務処理、経費報告などのコモディティアプリケーションだ。また、SaaSは既存のバックオフィス分野でも適切に機能する。例えば、CRMや人事の他、カスタマイズを必要としないプロジェクトや予算管理などだ。また、SaaSを利用した新しいアプリケーションやサービスの評価、テスト、プロトタイプの作成も可能になる。特に、対象ユーザーが遠隔地にいる場合や、モバイルデバイスを使用する場合に役立つ。
SaaSは、高度なカスタマイズを必要とするアプリケーションには適していない。これは、そのようなアプリケーションを新規作成する場合も、既存のアプリケーションを置き換える場合も同じだ。例えば、多種多様なデータベースからデータを取得するバックオフィス機能や、多数の社内システムに情報を供給する機能などが、高度なカスタマイズを必要とするアプリケーションにあたる。SaaSを使用してデータ収集とデータ変換を連係する込み入った仕組みを構築することは可能だ。だが複雑になることで、SaaSのコスト面と手軽さといった長所が一部失われることになる。SaaSの長所と短所の検討は、IT部門が適切な選択を下す上で欠かせないステップだ。
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