「その功績を等しくたたえたい」
モバイルコンピューティングを変えた10台の「殿堂入り」ノートPC(4/4 ページ)
殿堂入りマシンその8:Dell「Latitude Z」
今なら16型ディスプレイ搭載のビジネス向けクライアントノートPCをニュースで大きく取り上げることはないだろう。だが、Dellは何の意味のなくモデル名にアルファベットの最後の文字を選んだわけではない。「Latitude Z」は、20ミリというボディーの薄さと重さ2.3キロの設計に加え、斬新な形でワイヤレス技術やタッチ技術を使ったことで話題を集めた。2010年初期における実売価格は3591ドルで、本体には十分な種類と数のインタフェースを備えていたが、バッテリー駆動時間はそれほど長くなかった。残念ながら、パフォーマンスも優秀とは言い難かった。
超薄型でありながら、Latitude Zには当時の最新技術がふんだんに詰まっていた。Latitude Zはワイヤレスドッキングに対応していたが、この機能はIntelの「WiGig」に先立つこと5年以上前登場したことになる。2016年時点でもワイヤレスドッキングは数が少ない。それ以上に先進的だったのは、Latitude Zがワイヤレス充電機能に対応していたことだろう。以上の2点において、Latitude Zは電源も含めてケーブルがいらない唯一のクライアントノートPCとして歴史にその名を刻んでいる。
ただし、ワイヤレス以外でも注目すべき機能があった。ディスプレイの縁にはタッチセンサーを内蔵した領域があり、ショートカットを実行するタップ操作や大きなスクロールホイールとして機能するように設定できた。また、音量調節もタッチセンサーを利用できた。この操作が優れていた理由はタッチ機能だからではなく、押したときに触覚フィードバックを利用できたからだ。
殿堂入りマシンその9:OQO「OQO model 01」
OQOの「OQO model 01」は10年以上前の製品で、クラムシェルスタイルのノートPCではない。だが、2004年に世界最小PCとして登場したOQO model 01は今でも欲しいと思うユーザーは少なくない。OQO model 01はMicrosoftの「Windows XP」を搭載した本格的なPCで、本体サイズは125(幅)×86(高さ)×23(奥行き)ミリ、重量はわずか400グラムと片手に収まるサイズだった。5型ディスプレイを下方向にスライドしてサムパッドキーボードに重ねれば、スレートスタイルのタブレットとして使えた。
CPUはTransmetaの「Efficeon TM8600」(動作クロック1GHz)、システムメモリ容量256MB、ストレージ容量20GB(耐衝撃対応のHDD)を搭載する他、IEEE 802.11b準拠の無線LANとBluetoothを利用できた。OSはMicrosoft「Windows XP Home」または「Windows XP Professional」のモデルを用意していた。スタイラスも付属して北米実売価格は1899ドルからとなっていた。
OQO model 01は「UMPC」という市場を生み出す1つのきっかけとなった。実質的にはOQO model 01とUMPCはどちらも失敗に終わっているが、デバイスの小型化という流れを後につなげる大きな動機づけとなった。その流れはタッチディスプレイ搭載のスマートフォンやタブレットに行きついたといえるだろう。
選外佳作:ソニーの「VAIO UX」と「VAIO P」シリーズ
2009年に発売したソニーの「VAIO P」は、UMPCの中で大きな成功を収めたモデルの1つだった。VAIO Pは2006年に発売した「VAIO UX」シリーズに続くモデルだった。ボディーデザインは2016年の今でも洗練されているが、処理性能やバッテリー駆動時間などが不足していて実用性に欠けていた。スマートフォンとタブレットによって、この2つのVAIOシリーズも過去の遺物となった。
殿堂入りマシンその10:Clevo「D900K」シリーズ
Clevoの「D900K」シリーズは、デュアルコアCPUを搭載した初期のクライアントノートPCだ。OEM向けモデルとして多くのノートPCベンダーが自分たちのラインアップとして販売した。リリース時期は、Intelの「Pentium M」「Pentium 4」やAMDの「Athlon」「Sempron」などのシングルコアタイプが主流だったが、Dellが「Alienware Aurora m7700」として販売していたモデルはAMDのデュアルコアラインアップ「Athlon FX-60」と「Athlon X2」を搭載したおかげで最速のデスクトップPCと同じ処理能力を備えていた。
NVIDIAのGPU「GeForce Go 7800 GTX」(グラフィックスメモリ256MB)を採用し、システムメモリがDDR400をデュアルチャネルで2GB、RAID 0構成のHDD(80GB、7200RPM)を2台、そしてWindows XP Professionalが搭載されていたD900Kシリーズは、2006年初期において市販のクライアントノートPCの中で最速だった。
だが重量は5.6キロ、ボディー厚さは約5センチ、220ワットの充電器が必要なPCはクラムシェルスタイルといえどノートPCというには無理がある。バッテリー駆動時間はたった1時間30分だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー