最新のバックアップ手法を一気に解説
消えかけていたバックアップ技術がにわかに脚光を浴び始めた理由(1/2 ページ)
サーバ仮想化の増加により、データバックアップテクノロジーが進化している。その進化には、継続的データ保護(CDP)インスタントリカバリー、フラットバックアップ、バックアップアプライアンスが貢献している。
比較的最近まで、バックアップを実行したがるユーザーはほとんどいなかった。バックアップテクノロジーは陳腐で低迷しているというのが、バックアップに対する一般的なIT担当者の考えだったからだ。また、その上司もバックアップは保険のようなものだと考えていることが少なくなかった。災害が発生しない限りROI(投資利益率)に貢献しない必要経費という扱いだった。
ただし、この数年間で急速に起こったテクノロジーの革新によってバックアップは復活を遂げた。最新のバックアップ製品には、以前なら想像も付かなかった機能を搭載するようになっている。そのような新機能の中にはビジネス価値を提供するものさえ存在する。そのような機能のおかげで、今のバックアップ製品は災害が発生しなくても役に立つ。
バックアップテクノロジーの革新は、次の2つの傾向によるところが大きい。1つは、バックアップを処理できない時間帯が増え続けていること。もう1つは、サーバ仮想化の採用が増加していることだ。
バックアップ低迷からの脱却
従来の定期的なバックアップは他のビジネスプロセスに悪影響を及ぼすものだった。多くの企業では、バックアップを実行するのに適した時間など存在しない。夜間ならバックアップの予定を立てることが許可されていて、ビジネスプロセスに悪影響が及ぶ心配がないという場合でも、最終的にはバックアップウィンドウ(バックアップにかけることができる時間)自体が足りなくなる。
多くの企業はデータを毎日収集している。また、バックアップウィンドウが限られているため、バックアップできるデータ量はそれほど多くない。永久増分バックアップやグローバル重複排除などの手法を使えばバックアップするデータ量を制限できる。だが、バックアップするデータ量がバックアップウィンドウを上回るのは時間の問題だ。
バックアップベンダーは、バックアップウィンドウに伴う問題を解決するために「継続的データ保護」(CDP)を開発した。この方法では、まとまったバックアップを夜中に作成するのではなく、ブロックレベルのバックアップをかなり高い頻度で作成する。そのため、新たに作成または更新したストレージブロックを、数分ごとにバックアップターゲットにコピーする。通常はストレージアレイがコピー先になる。その結果、バックアップウィンドウは不要になった。
継続的データ保護では目標復旧地点(RPO)が大幅に短くなる。夜間に行う従来のバックアップなら約24時間だが、この場合、災害が発生すると企業は丸1日分近いデータを失いかねない。その原因は、バックアップ頻度が少ないことにある。一方、継続的データ保護なら、起こり得るデータ損失を5分未満に収めることができる。
バックアップの復活に大きく貢献した2つ目の傾向は、サーバの仮想化だ。仮想データセンターでは、物理サーバ環境で達成が難しかったり不可能だったりする方法でデータを保護および回復できる。実際、サーバ仮想化を利用することで実現しているテクノロジーがある。それが「インスタントリカバリー」だ。
インスタントリカバリー
バックアップと災害復旧をまとめることが、ここ数年のデータ保護における1つの大きな動きだ。バックアップは、特定時点のシステムやデータのコピーとして存在するもので、必要に応じて復旧できる。一方の災害復旧では、ビジネスの継続を重視する。データ損失が発生した後にデータ復旧を目指すのではなく、障害が発生した場合でもミッションクリティカルなシステムを稼働し続けることを目指すことになる。
インスタントリカバリーは、バックアップと災害復旧を統合して2つの長所を実現する。従来のバックアップで大きな問題となっていたのが、目標復旧時間(RTO)の長さだ。ミッションクリティカルなシステムにとって、復旧に時間を要する状況は許容できない。インスタントリカバリーはサーバ仮想化を活用することで復旧時間をわずか数分にまで短縮する。
インスタントリカバリーでは、次のような考え方が基礎になっている。ほぼ全ての継続的データ保護システムと同様に、ディスクベースのバックアップを使用している場合、保護している仮想マシン(VM)の完全なコピーをバックアップのストレージアレイに配置すればいい。復旧が終わるのを待たなくても、バックアップストレージアレイからVMを直接実行して即座に運用を開始できる。もちろん、VMのバックアップコピーを運用に使用することで問題は生じる。それは、バックアップを更新してしまうことだ。インスタントリカバリーでは、ハイパーバイザースナップショットで、VMのバックアップコピーを不要な更新から保護している。
ベンダーがハイパーバイザースナップショットを最初に導入した目的は、管理者がバックアップを復旧しなくてもVMを以前の状態に戻せるようにするためだった。管理者がVMのスナップショットを取ると、ハイパーバイザーによって別のディスクを作成する。全てのVMの書き込み操作の出力先はこの差分ディスクに変更するため、VMの仮想HDDは元の状態を維持できる。
インスタントリカバリー機能を備えたバックアップ製品では、ハイパーバイザースナップショットを活用する。VMのスナップショットを作成してから、変更していない状態のVMのバックアップコピーをオンラインに移行するという手法だ。VMを運用状態にしたら、従来型に近い復旧処理を開始する。この処理ではVMを元の場所または別の場所に復旧する。復旧が完了したら、作成した差分ディスクのコンテンツを新たに復旧したVMに結合し、新しいVMの運用を開始する。この時点でVMのバックアップコピーは運用から外し、作成した差分ディスクは破棄する。そしてバックアップ処理は通常の動作を再開する。
企業向けバックアップベンダーの多くは、仮想データセンターにインスタントリカバリー機能を提供している。こうした機能は、どのベンダーの製品やサービスでも範囲が非常に似ている。一般的に最もよくある違いはハイパーバイザーのサポートに関するものだ。例えば、Veritasの「NetBackup」はVMware用のインスタントリカバリー機能を搭載している。一方、AcronisとVeeam Softwareは、VMwareの製品とMicrosoftの「Hyper-V」の両方でインスタントリカバリー機能を使用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー