コンシューマーの「オムニチャネル」化が進行
オンライン売上高が感謝祭商戦で過去最高に、それでも「実店舗」がなくならない理由(1/3 ページ)
2016年ホリデーシーズンのオンライン売上高が過去最高を更新した。その背景には何があるのか。オンラインストアの今後はどうなるのか。専門家の話を基に考える。
Adobe Systemsの調査「Adobe Digital Insights」によると、ホリデーシーズンが幕を開けた2016年11月1日からの28日間、米国小売り業者のオンライン売上高は過去最高を更新し、前年比7.4%増の400億ドル近くとなった。感謝祭(11月第4木曜日)からサイバーマンデー(感謝祭休暇明けの月曜日)までの5日間には、オンライン売上高は前年比で15%増加。サイバーマンデーのオンライン売上高は34億ドルと、1日のオンライン売上高としては過去最高を記録した。だが、これはまだ序の口だ。
オンライン売上高が記録を更新している背景には、変わり続けるコンシューマーの購買行動がある。専門家によれば、小売り業者やその最高技術責任者(CTO)らはこの先、クリスマス商戦期を迎えるたびにコンシューマー行動の変化にかく乱されることになるという。
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“オムニショッパー”に変わるコンシューマー
コンシューマーは、オンラインショッピングをより気軽に利用するようになった。今では、すぐに欲しい商品の購入にもオンラインストアを活用するようになっている。例えばホリデーシーズンのギフト探しにはオンラインストアを便利に利用し、すぐに商品が必要だったり配送料を支払いたくなかったりする場合は、クリック&コレクト(オンラインストアで購入した製品の店舗受け取り)を利用するといった具合だ。
実店舗では、棚に並んだ商品だけではなく、全在庫から商品を選びたいという要望が増えている。実店舗ならでは体験型サービスも人気だ。スポーツブランドNikeの実店舗では、ランニングフォームの分析サービスを利用したり、店舗に設置されたハーフコートでバスケットボールを楽しんだりできる。化粧品ショップのSephoraは、Facebookのメッセージアプリケーション「Messenger」で予約した客に対し、マンツーマンのメークレッスンを提供している。
「オンラインの買い物客と実店舗の買い物客は別々の存在ではない」と、調査会社Forrester Researchのオンラインビジネス担当主任アナリスト、ブレンダン・ウィッチャー氏は指摘する。コンシューマーは、オンラインや実店舗などあらゆる販売チャネルを統合的に活用する“オムニショッパー”になりつつあるとウィッチャー氏は指摘。重要なのは、こうしたさまざまな販売チャネルでの体験をシームレスなものにすることであり、そのための適切な技術を導入する必要があるという。「小売りに関し、CIOはこうしたカスタマージャーニー(顧客が検討から購入に至るプロセス)に注意を払わなければならない」(同氏)
対話型のオンラインショッピング
さまざまなチャネルを通じて買い物をする「オムニショッパー」のカスタマージャーニーは始まったばかりだ。調査会社Gartnerのアナリスト、ジーン・アルバレス氏によれば、オンラインショッピングの世界では今、「対話型の取引」が始まりつつある。
既にAmazon.comの音声アシスタント「Alexa」は、「本日のお買い得品」を通知してくれる。またFacebookページを飛び交う何十億というメッセージには「購入する」(Buy)ボタンが表示されている。アルバレス氏によれば、こうした初歩的なデジタルアシスタントは、機械学習と人工知能(AI)の進歩によって「AIボット」へと進化する。例えば子どもの誕生日パーティーの手はずを整えたり、連絡先をスキャンして招待客リストを提案したり、電子招待状を送付したり、出席者の食べ物の好みを分析したり、彼らが気に入りそうなメニューを注文したりといったことを全て、AIボットがやってくれるようになるというのだ。
「商品やサービスの方から、コンシューマー側にやってきてくれるということだ」とアルバレス氏は話す。こうした販売戦略を支えるのは、取引を自動化することよりも、コンシューマーの問題を解決することに重点を置いた最新技術の存在だ。いうなれば、これはデジタル化の中心に人間を据えた「デジタルヒューマニズム」という概念に基づく考え方であり、効率化や自動化を重視する「デジタルマシニスト」の考え方とは対照をなす。
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