Googleが「Android Pay」発表
Android、iPhoneのモバイル決済対応がショッピングをこう変える
2015年5月末に開催された開発者向け年次カンファレンス「Google I/O」で発表されたモバイル決済プラットフォーム「Android Pay」。Android Payの登場で、小売店の現場はどう変わる?
スマートフォンで決済を行う消費者の数は増える一方だ。米Googleは、そのような消費者のニーズに対応する用意があることを2015年5月末に明らかにした。その過程で天敵である米Appleの「Apple Pay」と対決することになる。小売業者に限らず、企業の最高情報責任者(CIO)はGoogleの「Android Pay」に注目すべきだとIT専門家は語る。
米サンフランシスコで開催された開発者向けカンファレンス「Google I/O」で、Googleは同社の新しい決済プラットフォームであるAndroid Payの詳細を開発者に発表した。Googleは、クレジットカード会社や小売業者、決済サービス提供会社と密接に協力し、各社がAndroid Payを活用した独自のアプリケーションを開発できるようにしている。そのため消費者はアプリケーションと店舗のどちらでもAndroid Payを利用することができる。Android Payは小売店のポイントプログラムとも統合可能で、小売店の顧客は購入のたびにポイントをためられる。また、小売店はAndroid Payを使った顧客について、詳しい情報を収集することが可能だ。
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Android Payの目標はクレジットカードに取って代わることではない。そう語るのは、米451 Researchでシニアモビリティアナリストを務めるラウル・キャスタノン・マルティネス氏だ。Googleの狙いは「小売業者にクレジットカード情報を渡さないことで、もめ事を減らすことだ。またセキュリティを向上することによって、さらに快適な操作性をユーザに提供すること」にあると同氏はメールで述べている。
GoogleやAppleなどの企業が購入プロセスを簡略化しながら安全性を高め、情報漏えいや盗難のリスクを減少させるという取り組みを続けた場合、その影響は消費者だけにとどまらない。企業とその企業のCIOは、上昇し続ける顧客の期待に応えるという大きな重圧にさらされることになる。そう語るのは、米Forrester Researchで主席アナリストを務めるジェフリー・ハモンド氏だ。
「消費者がデジタル決済にシフトするにつれて、消費者はデジタル決済に対応している企業や店を好むようになる。また、その利便性から、あっという間に消費者はデジタル決済への対応を店に期待するようになるだろう」(ハモンド氏)
決済に関する小売業者のCIOの役割
デジタル決済への重圧を最も感じることになるのは、小売業者のCIOだ。そのため、ビジネスパートナーとの密接な協力が欠かせないとForrester Researchで主席アナリストを務めるフランク・ジレット氏は指摘する。
小売業者の最高マーケティング責任者(CMO)は、顧客のためにできる限り決済プロセスをシームレスにしたいと考えている。ジレット氏によると、消費者の多くは、ハンドバッグや財布の中からクレジットカードを探すよりもモバイルデバイスを利用した決済の方が楽だと感じるようになるという。デジタル決済の導入によってカードを探す作業を一掃すること意外に、もう1つメリットがあると同氏は次のように語る。「デジタル決済方式によって、顧客を認証してポイントを提供するというプロセスが簡略化される日は遠くないだろう。現在の方式ではクレジットカードだけでなくポイントカードも探して提示する必要があるが、これではカードを探す作業の労力が2倍になる」
ビジネス部門の担当者は、トレーニングや運用改善も含めた「店舗内改革」を先頭に立って調整する役割を担うことになる。だが、IT担当者もこうした変化を支援する必要があるとジレット氏は言う。また、CIOにはCMOと連係する必要もあるかもしれない。というのも、CMOは、企業のポイントプログラムの一部を運用し、IT部門がそのシステムを運用している場合があるからだ。
また、最高財務責任者(CFO)は決済時のカード詐欺やデータ窃盗を減らすことを強く望んでいる。モバイル決済システムは、チップと暗証番号を利用するテクノロジーのため、このような問題に対処するソリューションとして期待されている。
CIOに関して言えば、この新たな決済デバイスの実装だけの責任を負うわけではない。「決済デバイスから、金融ネットワーク、さらには内部システム全体にわたって、エンドツーエンドのセキュリティを実装、管理、監視する責任も負うことになる」(ジレット氏)
全CIOに告ぐ:新しい決済方法に備えよ
モバイル決済を実装しようとしている企業では、IT担当者がデジタルに精通したパートナーと密接に連係する必要があるとForresterのハモンド氏は助言する。
「CIOは自社のデジタル部門またはカスタマーエスノグラフィー/ジャーニーマッピング(※)を実施している担当者と手を組むべきだ」とハモンド氏は話す。その際、顧客が企業と関わる上で利用するあらゆるチャネルにおける顧客体験を詳細に記録するプロセスに言及している。
※顧客と密着し行動を共にする中で、定性的に観察から分析を行いサービス利用時のユーザ体験を視覚的に表現すること。
Forresterで小売と決済のアナリストを務めるスチャリタ・マルプル氏は、Android Payのようなモバイル決済ソリューションは結局のところ実験的なものだという。そして、次のように警告している。「ビジネス部門のリーダーがモバイル決済の検討を望む場合、IT担当者はその実現手段を見つけるか、どの点が現実的ではないのかというもっともらしい理由を提示しなければならない」
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