データ保護の最適解「バックアップアプライアンス」の選定と比較【第4回】
【徹底比較】ターゲット型アプライアンス主要製品を比較、バックアップソフトとの接続性も
4つの主要なターゲット型バックアップアプライアンス製品を徹底比較。重複排除の範囲や接続プロトコル、価格などに着目した。連係するバックアップソフトとの相性など、製品選定時の注意点も解説。比較表は無料でダウンロードできる。
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Data Domain、StoreOnce、Quest DR、DXiといった主要なターゲット型アプライアンスの機能と価格を比較した(2016年11月時点、筆者調べ)。比較表は「主要ターゲット型バックアップアプライアンス、機能・価格比較」からダウンロードしてご確認いただきたい。
これまでは、2種類のバックアップアプライアンス製品「ターゲット型バックアップアプライアンス」(以下、ターゲット型)と「統合型バックアップアプライアンス」(以下、統合型)について、それぞれの違いと製品選定ポイントを解説してきた。ターゲット型はバックアップ保存先ストレージのみ、統合型はバックアップ保存先ストレージとバックアップサーバを組み合わせた製品を指す。
今回から2回にわたって、各ベンダーが販売するバックアップアプライアンス製品について比較し、特徴と選定時の注意事項を紹介する。今回はターゲット型アプライアンスを比較する。まずは第2回「既存環境を変えない、『ターゲット型バックアップアプライアンス』の製品選定ポイント」、第3回「1製品でカバーできる、『統合型バックアップアプライアンス』の製品選定ポイント」を読んだ上で、実際の案件においてターゲット型が要件に適切と判断した場合に、本稿を参考に製品を比較してほしい。またターゲット型と統合型の製品を混在して比較することは、くれぐれも避けるべきである。
企業がターゲット型を選択する際は、前提として「既存環境で使用している複数の異なるバックアップソフトを変更したくない」という要件があることが多い。ただし複数のバックアップソフトを併用し続けることで、日々の運用や復旧時の手順が複雑になることは再度認識してほしい。
今回は下記の流れで説明する。
- 比較対象製品
- 比較項目と比較表
- 各製品の特徴
- その他の注意事項
比較対象製品
比較対象は下記の4製品である。2015年9月に米国調査会社Gartnerが発行したベンダー評価レポート「マジック・クアドラント」(注1)で上位に位置付けた4社の製品だ。なおGartnerは同等のレポートの2016年版は発行していない。
| メーカー名 | 製品名 |
|---|---|
| Dell EMC | Data Domain |
| Hewlett Packard Enterprise(HPE) | StoreOnce |
| Quest Software | DR(以下、Quest DR) |
| Quantum | DXi |
※注1:Magic Quadrant for Deduplication Backup Target Appliances(Gartner 2015年9月25日)。
比較項目と比較表
下記の項目で製品を比較した。各比較項目の詳細については、第2回「既存環境を変えない、『ターゲット型バックアップアプライアンス』の製品選定ポイント」を参照いただきたい。
- 提供形態
- 重複排除の範囲
- バックアップ/アーカイブソフトとの併用/接続プロトコル
- バックアップソフトとの連係機能
- アプリケーション用エージェント
- ストレージと連係したバックアップ
- 価格
比較表を見てみよう。比較表はダウンロードしてご確認いただきたい。
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Data Domain、StoreOnce、Quest DR、DXiといった主要なターゲット型アプライアンスの機能と価格を比較した(2016年11月時点、筆者調べ)。比較表は「主要ターゲット型バックアップアプライアンス、機能・価格比較」からダウンロードしてご確認いただきたい。
サポート状況の最新情報は、下記の各製品のサポートマトリックス(サポート状況の一覧表)が参考になる。
参考:各製品のサポートマトリックス
Data Domain
「Data Domain」の項目を参照。
StoreOnce
「Data Agile BURA Compatibility Matrix」を参照。
Quest DR
「モデル」の「バックアップソフトウェアの認定」などの項目を参照。
DXi
「Software / Disk-Based Backup Systems」の項目を参照。
上記の表に記載の無い「バックアップソフト」「DB/アプリケーションのバックアップ機能」「OSのバックアップ機能」などを使用したい場合は、サポート可否をベンダーに確認してほしい。ファイル共有プロトコルCIFS(Common Internet File System)/NFS(Network File System)でターゲット型アプライアンスをマウントする場合、どのような書き込み方をしても技術的には動作しそうだが、サポート可否については厳密に規定されている場合もあるので注意が必要だ。
各製品の特徴
製品の特筆すべき点について記載する。
Data Domain
Data Domainは、ほぼ全てのバックアップソフトウェアと併用、連係できる。またクラウドストレージと階層化ストレージを構成する機能「Data Domain Cloud Tier」、アーカイブ製品と連係するWORM(Write Once Read Many)機能を有する。Dell EMCストレージの「XtremIO」や「VMAX」と連係しバックアップデータをData Domainに直接保存できる「ProtectPoint」、クライアントからData DomainをNFSマウントして書き込む際にクライアント側で重複排除する「BoostFS」は、特筆すべき機能といえるだろう。さらにData Domainは、VMwareのバックアップ機能「vSphere Data Protection」(VDP)のバックアップデータ保存先に設定できる唯一の外部ストレージである。
StoreOnce
StoreOnceは、従来「HP D2D Backup System」と呼ばれた製品の後継に当たる。ストレージと連係したバックアップ機能を持つ仮想アプライアンス「StoreOnce Recovery Manager Central」(RMC)によって、HPEストレージの「HPE 3PAR StoreServ」と連係し、バックアップデータをStoreOnceに保存できる。ただしStoreServからStoreOnceへデータが直接転送されるわけではなく、RMC仮想アプライアンスを経由するので、パフォーマンスを考慮し設計したい。
StoreOnceをCIFS/NFSマウントして使用する場合、OSのバックアップ機能についてのサポート範囲が厳密に定義されている。「Windows Backup」の保存先としての使用がサポートされない点は注意してほしい。使用できるツールは、tar(ファイルのアーカイブ・展開)、cpio(ファイルのバックアップ)、dd(ファイル/ディスクのコピー)といったUNIX/LinuxコマンドやUNIX標準のファイルシステム単位でのバックアップ機能に限定されている。これら以外のツールを使用したい場合は、HPEに確認することをお勧めする。
Quest DR
Quest DRは、元はDellの製品だったが、Dell Softwareが分社独立しQuest Softwareになる際に移管された。それによって、Quest Softwareはバックアップソフト「NetVault Backup」「AppAsure」「vRanger」に加え、ターゲット型のDRシリーズを持つことになり、バックアップのポートフォリオ(製品群)が拡充した。仮想アプライアンスの提供もあるが、現状は物理アプライアンスとの併用のみサポートしている。「Rapid CIFS」「Rapid NFS」という機能は、クライアントからQuest DRをCIFS/NFSマウントして、クライアント側で重複排除ができる。CIFSに対応しているのは特筆するべき点である。
また本体の費用に全機能のライセンスを含むので、大規模環境で多くの機能を使用したい場合は費用メリットが出るケースがある。
DXi
DXiは、仮想アプライアンスの無償版が15TBまで使用できる。ただ無償版はサポートがないので、Quantumは本番環境で使用することを推奨していない。仮想アプライアンスは、Amazonマーケットプレイスで「Quantum Q-Cloud Protect」としても販売され、クラウドをDRに活用できる。
また特筆すべき機能としては、DXiにQuantum製テープ装置を直接接続し、バックアップデータをテープに複製できる機能「ダイレクト・パスツーテープ」がある。本機能はNetBackupと連係し、ディスクへのバックアップとテープへの複製を一元管理できる。
その他の注意事項
下記の2点について、製品選定時の注意点を記す。
- バックアップソフトとの連係について
- アプリケーションエージェントについて
バックアップソフトとの連係について
ターゲット型アプライアンスとバックアップソフトは、連係できる組み合わせを選定するべきである。連係できると、「バックアップサーバでの重複排除」「バックアップソフトからのレプリケーション管理」などができるようになる。それにより、バックアップの高速化が実現でき、運用や復旧手順がシンプルになる。ただし連係できる製品の組み合わせでも、バックアップサーバとターゲット型アプライアンスをCIFS/NFSで接続してしまうと連係できない。製品選定をするだけで安心するのではなく、バックアップソフトとターゲット型アプライアンスの連係設定を熟知した作業者に作業を依頼するようにしよう。
バックアップソフトの観点から、連係できるターゲット型アプライアンスについてまとめると下記の通りである。
| バックアップソフト名 | 連係できるターゲット型アプライアンス名 |
|---|---|
| Veritas Technologies「NetBackup」 | Data Domain、富士通「Fujitsu Storage ETERNUS CS800」、StoreOnce、IBM「ProtecTIER」、NEC「iStorage HSシリーズ」(HYDRAstor)、DXi、Quest DR |
| Veritas Technologies「Backup Exec」 | Data Domain、Fujitsu Storage ETERNUS CS800、StoreOnce、DXi、Quest DR |
| Veeam Software「Veeam Backup & Replication」 | Data Domain、StoreOnce |
| VMware「vSphere Data Protection」(VDP) | Data Domain |
| Dell EMC「Avamar」 | Data Domain |
| Dell EMC「NetWorker」 | Data Domain |
| HPE「Data Porotector」 | Data Domain、StoreOnce |
| Quest Software「NetVault Backup」 | Data Domain、Quest DR |
Veritas Technologiesの「NetBackup」「Backup Exec」と連係できるターゲット型アプライアンスが多い。その理由は、最初に市場に投入されたバックアップソフト連係プロトコルがVeritasの「OpenStorage Technology」(OST)であり、多くのターゲット型アプライアンスとの連係を早期に可能にしたためだ。各社のバックアップソフト連係プロトコル「Data Domain Boost」「StoreOnce Catalyst」、Quest DRの「Rapid Data Access」(RDA)はOSTをベースに開発されたといういきさつがある。
NetBackupやBackup Execは、OSTによってターゲット型アプライアンス以外にも、多くのストレージと連係できる。興味のある人は下記のサポートマトリックスをご確認いただきたい。
参考:Veritas NetBackup/Backup ExecのOST連係ストレージ
NetBackup
Hardware Compatibility List(HCL)の「OST」を参照
Backup Exec
Hardware Compatibility List(HCL)の「OST-Appliance」を参照
同一のベンダーから、ターゲット型アプライアンスとバックアップソフトをセットで導入するのが良い選択と思う人もいるはずだ。しかし、ターゲット型アプライアンスとバックアップソフトを組み合わせた場合のバックアップ機能はバックアップソフトに大きく依存するので、同一ベンダーに固執しない方がいい。
同じターゲット型アプライアンスを採用しても、組み合わせるバックアップソフトによって使える機能が大きく異なる。例えばData Domainを採用した場合、バックアップソフトにNetBackupを使用すると永久増分バックアップが可能だが、NetVault Backupを使用すると永久増分バックアップはできず、定期的なフルバックアップが必要となる。
バックアップソフトとターゲット型アプライアンスの組み合わせの機能比較については、「【徹底比較】VMware環境でシンプルなDRを実現するには? 主要製品の違いを見る」も参照していただきたい。
アプリケーションエージェントについて
ターゲット型アプライアンスのアプリケーション用エージェントを使用することで、バックアップサーバを構築しなくても、アプリケーションのバックアップを取得できる。ただし「バックアップジョブのスケジュール管理」「バックアップデータの世代管理」については、エージェント側ではなくアプリケーション側にその機能があるかどうかに委ねられる。アプリケーション側にその機能がない場合は、別途ジョブスケジューラの導入や、バッチファイルの作り込みなどが必要になる。複数種類のアプリケーションがある場合は、全体の統合管理が困難になる。複数のシステムを統合バックアップする場合は、バックアップソフトは必須になるとご理解いただけるだろう。
各製品は、サポート構成の拡充や機能追加が随時行われている。そのため実際に製品選定をする際は、最新情報を確認していただきたい。複数のベンダーに確認するのは手間が掛かるので、複数ベンダーの情報をまとめて聞けるシステムインテグレーター(SIer)に確認を取るのもいいだろう。要件や予算は重要な選定材料であるが、日々新しい機能と技術が生まれているので、主要製品の最新情報を確認した上で、要件や予算を検討することを推奨する。
次回は、統合型アプライアンスについて各ベンダーの主要製品を比較する。
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