中堅・中小企業のための“脱Excel”ロードマップ【第2回】
データ分析はベテラン従業員の経験を否定するのだろうか?(1/2 ページ)
データ分析や人工知能(AI)が普及すると、人間の仕事が奪われるといわれています。企業の中で経験や技術、知識を蓄えた「ベテラン従業員」すら、居場所を奪われるような日が来るのでしょうか。
連載について
「Microsoft Excel」(以下、Excel)は、ビジネスにおいてなくてはならないソフトウェアとして、あらゆるビジネスシーンで長年広く利用されています。一方で、Excelがあまりにも普及してしまった“副作用”が少なからず見られます。ビッグデータブーム以降、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールがデータ分析ツールとして再び注目を集めましたが、いざ導入しようとすると現場の反対を受け、思うように導入が進まないといった問題も見受けられるようになりました。
「なぜ、ビジネスの現場でExcelの利用がやめられないか」――本連載では、その理由を検証し、どのようなプロセスでBIツールの導入を進めていくべきかについて解説していきます。
ある分野において、長い年月をかけて積み上げた経験やノウハウを持つ人のことを一般的に「ベテラン」と呼称します。例えばプロ野球のようなスポーツの世界で、体力的に全盛期を過ぎたベテラン選手が、経験やノウハウを駆使して勝利に貢献する姿は称賛の対象となります。
では企業におけるベテランとは、どのような従業員を指すのでしょうか。企業では、おおむね3つの意味でベテランという言葉を使っています。
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企業にとって「ベテラン」とは、どういう従業員なのか
1つ目は「勤続年数の長さ」という意味です。明確な定義はありませんが、新人、中堅といったカテゴリーに入らない勤続年数の長い従業員が「ベテラン」と呼ばれます。この意味でベテランという言葉を使われる場合、暗に社歴は長いが管理職になれなかったという意味が含まれることもあります。一方で、社内の人間関係や企業が属する業界の内情に精通していることも多く、職場の知恵袋的な存在ともいえます。
2つ目は「職種の長さ」という意味です。例えば人事や経理といった部門に勤務する人は、他の部門に移動することが少なく、同じ職種で経験を積み上げていきます。また営業職のように、所属部門が変わることはあっても、職種自体は常に営業という人もいるでしょう。勤続年数も長いことが多く、1つ目の意味も内包しますが、特定の職種に精通していることから、周囲からは頼れる存在として見られています。
3つ目は「技術などの専門領域に精通している」という意味です。2つ目の意味と重なりもありますが、より専門家としての意味合いが強くなります。工場において機械操作に精通している従業員や、マーケティング部門において、専門領域として市場調査に従事している従業員などが当てはまります。「職人」や「スペシャリスト」とも呼ばれ、企業内で尊敬の念を持たれる存在です。一方で日進月歩の最新技術に適応できなくなると、存在意義を示すことができなくなることもあります。
データ分析で何ができるのか
このような企業におけるベテランが持つ経験や技術は、データ分析によって否定されてしまうものなのでしょうか。それを論じる前提として、まずデータ分析によって何ができるのかを明らかにしておく必要があるでしょう。
企業におけるデータ分析というと、企業内に蓄積されるさまざまなデータをExcelなど報告資料を作成することや集計することを思い浮かべる人が多いと思います。この場合、データ分析は人が判断するために情報を可視化することが目的となるため、判断する人が分かりやすくなるように表やグラフの体裁や見栄えを整えることに重点が置かれます。脱Excelを考えるとき、企業内のさまざまな部門で行われているこのような業務が主に対象となります。
一方で、データを統計的に分析することで、人の判断を代替するデータ分析が存在します。例えばクレジットカード会社は、クレジットカードの利用者が気付かないうちにカードを盗まれたり、インターネット上でカード番号が第三者に取得され、不正に利用されることがあり、こうした不正を早期に発見するためにモニタリングをしています。しかしクレジットカードの利用者数は非常に多いため、人の目で一つ一つクレジットカードの利用履歴を確認し、不正利用されていないかどうか判断するためには相当な人数が必要になります。
そこでクレジットカード会社は、過去の利用履歴データを統計的に分析し、不正利用の可能性が高い順にリストアップします。可能性が高い順に確認作業をすることで、クレジットカードの不正利用を早期に発見すると同時に、確認作業を担当する従業員の数を必要最小限に留めることが可能になります。またカードローン会社でも、以前は、一つ一つのローン申し込み審査を人の手で処理していました。現在では審査情報を統計的に分析することで、審査業務の効率化を実現しています。
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