セルフサービス型インフラ、AIで変わる仕事
攻めのIT運用自動化が進展、運用担当者の今後の役割は?(1/2 ページ)
管理・監視ツールが自分の代わりに考えてくれて、セルフサービスITインフラが、ボタンを押すだけでデプロイされる環境の中で、IT運用担当者は何をすべきだろうか。
絶えずサーバを減らしたり、増強したりする作業に追われたままでは、腰を据えた分析を基にセルフサービス型のITインフラを構築することはできない。
人工知能(AI)で強化されたIT運用の自動化は、管理者のやるべき仕事を大幅に減らしてくれる。デジタルトランスフォーメーションの波に飲み込まれることなく、これを捉えるには、IT運用担当者は、高度な監視・管理ツールを実装してセルフサービス型のITインフラを実現し、データをビジネス価値に転換する必要がある。
「もしIT運用担当者が自動化の優れた価値を理解していないなら、担当者として失格だ」。Quocircaでアナリストを務めるクライブ・ロングボトム氏はそう語る。
ITチームは宣言型のプロビジョニング・管理ツールにより、アプリケーションの要件に対応し、オンデマンドでスケーリングできるインフラのテンプレートを作成できる。このテンプレートは鋳型に似ている。各ユーザー用にクレート(枠箱)を手作りするところと、鋳型に金属を流し込んで新しい同一のクレートを何度も繰り返し作るところを想像してみていただきたい。構成管理・自動化ツールは、ITインフラの射出成形プラットフォームといえる。
機内インターネットやエンターテインメントを提供するGogoは、開発者が開発成果の運用も自分で手掛けられるようにすることを目指し、一連のセルフサービス型ITインフラテンプレートとカスタム監視ダッシュボードを作成した。従来は運用チームが、コードをデプロイするサーバを立ち上げ、幾つかのアプリライフサイクルにわたってデプロイを調整し、ビルドの一部を毎回カスタマイズしていたと、GogoのクラウドDevOpsエンジニアを務めるニラブ・シャー氏は説明する。
今では開発者が、Gogoの「Amazon Web Services(AWS)」ベースのIaaS(Infrastructure as a Service)環境から必要なインスタンスを選択し、コードをデプロイして本番環境にリリースしている。管理者はリソース要件を見直すことができ、柔軟性を確保するために、本番稼働前に、コードをデプロイしたインスタンスをAWSのAuto Scalingグループに追加する場合もある。
ライブインスタンスは、APIによって自動的に、使用状況に関する指標データを監視・分析ツールの「Graphite」や「Sumo Logic」に提供している。指標がしきい値を超えると、これらのツールは自動的に「VictorOps」に情報を伝える。VictorOpsは、状況に応じて適切な対応やエスカレーションパターンが取られるようにアラートを配信し、経過を追跡する。レポートが「Graphana」で生成される。
「われわれは、開発者ができるだけシームレスに仕事ができるようにしている」(シャー氏)
VictorOpsや他の監視ツール群がなければ、ユーザーは1カ所で全体像を把握することはできず、各種システムに個別にログインして傾向を発見するにとどまっていただろう。そうした全体的な状況認識が可能であれば、ユーザーは、さまざまなシステムからのどのようなアラームに相関がありそうかが分かる。
求む、コミュニケーション力のあるITエンジニア
受け身の管理からIT運用の自動化へのこうした進化を実現するには、何を、どのような理由で監視するかをしっかり把握しておかなければならないと、Gartnerのリサーチディレクターを務めるケネス・ゴンザレス氏は指摘する。同氏はITチームが、ITの目標に基づいて理論的な監視対象リストを作るのではなく、経験に基づいて監視および管理戦略を構築することを提唱している。
ITの観点とビジネスの観点の違いを前提にした議論をよく見かけるが、実際に有効なのはビジネスの観点だけだと、ゴンザレス氏は語る。このため、IT担当者は皆、ITのどのような取り組みに関しても、ビジネス価値について明確に考え、話さなければならないという。
オーストラリアのある法律事務所のIT運用マネジャーを務めるアダム・ファウラー氏も同意見だ。「ユーザーに影響する個々の変更は、何らかの根拠に基づいている必要があり、計画されていなければならない」
多くのIT担当者は、ビジネス部門の担当者との効果的なコミュニケーション方法が分からずにいると、ゴンザレス氏は語る。例えば、「何がうまくいっていないのか」と質問されると、たくさん説明するが、「それは往々にして、IT担当者以外は気にしない、アプリケーションやインフラの細部の不備をくどくどと話していたり、IT担当者以外から見ると抽象的な、ITプロビジョニングや運用の自動化技術について延々と解説していたり、といった具合だろう」(ゴンザレス氏)
ゴンザレス氏は、ITパフォーマンスとビジネス目標を関連付けることを勧めている。「企業ミッションを支える中核的なビジネス価値は何か、例えば、コストの削減か、リスクの軽減かを調べる。そして、ITサービスはそうした価値をどのように支えるかを考え、サービスがビジネスニーズを満たしていることを確認するには、具体的にどの指標を追跡すべきかを見極める。そうすれば、ビジネスドリブンのITサポートを提供する上で、何を目指すべきかが分かる。そして、監視・管理ツールをその実現に役立てることができる」(ゴンザレス氏)。
こうしたプロセスに取り組むことを通じて、IT運用エンジニアは、ビジネス担当者と共通の言語を話せるようになる。例えば、ゴンザレス氏がコーチングを行った航空宇宙企業では、IT運用チームがビジネス継続性チームとともに、ビジネス効果分析レポートのレビューを行った。この作業を経て、ITチームはディザスタリカバリー計画を刷新した。この計画では、多数のアプリやサービスの復旧方法を説明する必要はなく、どのアプリやサービスが最も重要かを明確にする必要があることが分かったからだ。
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