Slack、Skype、Teamsなど
たくさんのチャットアプリで消耗していない? メッセージ共有はいつ可能になるか
企業でチームチャットアプリケーションの利用が広がっている。社内と社外で異なるアプリケーションを利用する従業員にとって、両者の間に相互運用性のないことが課題になりつつある。
複数の拠点に散った従業員同士で構成されるチームにとって、仕事にメールや電話しか使えないのは不便だ。ここ数年間で登場した各種のチームチャットアプリケーションは、業務用のコミュニケーションを改善する可能性がある。こうしたアプリケーションを使えば、従業員同士がメッセージの送信やファイルの共有、リアルタイムの動画チャットなどを1つのチャネルで実行することが可能になる。
一方、チームチャットアプリケーションの普及は、一度に複数のアプリケーションを使う環境を生み、場合によってはエンドユーザーを困惑させる懸念もはらむ。ある企業の従業員が同僚とのコラボレーションに使うアプリケーションと、社外の相手とのチャットに使うアプリケーションが異なる場合も、珍しくはない。
スマートフォンで使うチームチャットアプリケーションと社用PCで使うチームチャットアプリケーションに相互運用性が欠けている場合も、エンドユーザーにとっては厄介だ。調査会社The Nemertes Research Groupのアナリスト、アーウィン・レイザー氏によれば、これは多くの企業の従業員が共通して抱いている不満だという。
Slack Technologiesの「Slack」、Cisco Systemsの「Cisco Spark」、RingCentralの「Glip」、Facebookの「WhatsApp」など、自身も複数のチームチャットアプリケーションを使っているというレイザー氏は、「最大の難題は、企業側が非常に多くのアプリケーションを監視しなければならないことだ」と語る。相互運用性の欠如は大きな問題となりつつあるが、今のところ、ベンダーはこの問題の解消に取り組んでいない。
併せて読みたいお薦め記事
チームチャットアプリケーションの業務利用についてもっと詳しく
- Slack vs. Microsoft Teams以上に注目したい「働き方の劇的変化」
- Slack打倒を狙う「Microsoft Teams」の侮れない強み Office 365+チャットは魅力的か
- チャットが電子メールをゼロに? 「Slack」「Microsoft Teams」で変わる“未来の仕事”
社内のユニファイドコミュニケーション(UC)についてもっと詳しく
企業の生産性を阻害するリスクとは
企業のIT部門の従業員向けにオンラインコミュニティーを提供するSpiceworksが、448人の会員を対象に調査を実施したところ、「社内でチームチャットアプリケーションを使用している」と回答した人の割合は、全体の42%に達した。この比率は今後、さらに増加する可能性がある。エンドユーザーの数が増加すれば、アプリケーション間の相互運用性の欠如から生じる問題も大きくなっていくだろう。
「拡大・分散を続ける情報の管理やアプリケーションの混在などの問題に取り組むIT担当者にとって、アプリケーション間の相互運用性の欠如はストレスになり得る」と、調査会社Forrester Researchのアナリスト、クレイグ・ルクレア氏は語る。IT部門は、社外チームのセキュリティ確保やコンテンツ監視など、さらに多くの課題にも直面している。
チームチャットアプリケーションの導入を成功させるには、同アプリケーションを主要なコラボレーションツールと位置付け、エンドユーザーに日常業務の中で優先的に利用してもらう必要がある。そう指摘するのは、コンサルティング会社Frost & Sullivanのアナリスト、マイケル・ブランデンブルク氏だ。
「複数のツールを使い分けなければならない場合、エンドユーザーは、どのツールにも熟達しない」と同氏は語る。生産性を上げるべくチームコラボレーションを導入しても、期待したほどの成果は得られないという。
ベンダー間の協業が進まない理由
ルクレア氏によれば、コミュニケーションツールをクラウドに移行することで、相互運用性の問題を軽減できる可能性がある。ただし複数のクラウドを利用する場合は、かえって相互運用性を妨げかねない。「それぞれのクラウドが孤立することで、データのやりとりが難しくなっている」(同氏)
レイザー氏によれば、ユニファイドコミュニケーション(UC)やチームコラボレーションのアプリケーションベンダーは、アプリケーション間の相互運用性の問題を解消したがらない。そうしたベンダーにとって、競合相手との協力は、自社の利益にならないからだ。
「大半のベンダーは、企業内でのチームコラボレーションのニーズについて、自社UC製品を売り込む新たなチャンスと考えている。それを競合相手に委ねるようなことはしないだろう」とブランデンブルク氏は指摘する。
UCaaSに見る解決策のヒント
相互運用性の問題を解消するためのサービスが、幾つか登場している。UCaaS(サービスとしてのユニファイドコミュニケーション)事業者である8x8の子会社LeChatが提供する「Sameroom」は、異なるチームチャットアプリケーション間の相互運用を可能にする。同様の分野では、Cloudpipesが、クラウドアプリケーションを連携させて企業のワークフローを自動化する同名サービスを提供する。
8x8は2017年3月、Sameroomを展開していたLeChatを買収し、子会社化した。レイザー氏は、チームコラボレーション用アプリケーションを提供していない8x8にとって、この買収が、同社サービスの利用者に私用のチームチャットアプリケーションの業務利用を可能にしたと指摘する。
Sameroomは、チームコラボレーションベンダーのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を活用し、botを使ってチャットルーム(注)間の橋渡しをするサービスだ。同サービスは、30種類以上のチームチャットアプリケーションをサポートする。相互運用性のレベルは、アプリケーションとAPIによって異なる。同サービスのユーザーは、異なるチームチャットアプリケーション間でコンプライアンス要件を満たすメッセージやファイルを共有できる。
※注:チームチャットアプリケーションでエンドユーザー同士がチャットをするための仮想的な空間。
「ベンダーがアプリケーション間の相互運用性の実現に消極的であるために、エンドユーザーが不便を強いられている」と、LeChatの共同創業者で8x8の製品戦略ディレクターを務めるアンドレイ・ソロカー氏は指摘する。
もっとも、相互運用性の実現を求めるユーザーの声が高まれば、状況が変わる可能性はある。「SameroomやCloudpipesなどのサービスを活用し、他社のチームチャットアプリケーションとの連携を一定のレベルで実現しようという事業者が増えるだろう」とブランデンブルク氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー