製品選定前に読んでおきたい基礎技術 NVMe編
脱SAS&SATAへ、フラッシュ業界期待の通信規格「NVMe」の魅力と普及の壁(2/2 ページ)
3.ストレージのこれから
今後NVMeの採用が進むことが見込まれるが、ストレージ側の対応は各ベンダーで進められているものの、HBAの方はなかなかめどが立たない。そんな中、筆者が注目しているもう1つのテクノロジーがある。
サーバ/ストレージ間の通信をNVMeで実現するためには、HBAの開発が必須であるが、それと合わせてNVMeでデータをやりとりするためのネットワークが必要になる。サーバ内蔵ドライブのように、サーバ/ストレージ間を1対1で接続するのであればよいが、現在のSANやNASのように複数台のサーバからストレージへの接続が必要な場合、そのネットワークを確立する必要がある。仮にこのようなネットワークが確立できたとしても、新しいストレージ用ネットワークを再構築する必要があり、採用の抑止力になってしまう可能性が残る。
そこで新しいテクノロジーの登場である。現在はSANという名称で市場に受け入れられているFC接続ネットワークで、NVMeの規格に準拠したデータ通信を実現するNVMe over Fabricsである。勘のいい読者ならIPネットワークでSCSI通信をするiSCSIとよく似ていると感じたのではないだろうか。お察しの通り、SANではなく、IPネットワークでNVMe通信をする規格として、NVMe over Ethernetという技術も存在する。いずれも既に確立されているネットワークを流用し、そこでの通信をNVMeに準拠することで、NVMe移行に伴うハードウェアの再構築を抑制するアプローチだ。
簡単にまとめると、ハードウェアは既存のネットワークを利用し、そこでの通信だけをNVMe準拠にすることで、採用を容易にしているのである。イメージしやすいように、現状の接続方式と、今後対応が期待されるNVMeを最大限に利用した場合のイメージを図に示す。
最後にフラッシュデバイスやNVMeのような高速なストレージアクセスを可能にする技術をどのように活用すべきかという疑問についても簡単に触れておく。
昨今、機械学習やディープラーニングといった言葉を耳にしない日はない。それらを支える学習部分には大規模データへの大量アクセスがある。ビッグデータ時代と呼ばれるデータそのものの肥大化もあり、これまで以上の大量データをよりリアルタイム(高速に)処理していくためには、デバイスそのものの高速化が必要不可欠である。
近年クラウドの採用が進んだことによって、データの発生スピードが以前よりも速まっている。今後、革新的な技術革新がなければ、発生したデータ全てをクラウドに格納することは難しいといえるだろう。リアルタイムの利用が必要なデータはその場で利用し、保存が必要なデータのみフィルタリングを掛けてクラウドに格納するといったアプローチも必要になってくると考えられる。
これらを支える上でも、インフラの高性能化は必要不可欠だ。今回紹介したNVMeを採用したフラッシュデバイスの活用方法に興味を持っていただけると幸いである。
國分 学(こくぶ・まなぶ)
伊藤忠テクノソリューションズ
ITサービスグループ 製品・保守サービス本部 ITインフラビジネス推進第2部
2000年伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)に入社。同年CTCテクノロジーへ出向。サーバ・ストレージ関連のソフトウェア、ハードウェア製品およびクラスタソフトウェアのテクニカルサポートエンジニアを兼任。2006年顧客担当システムエンジニアとしてCTCに復職。翌年テクニカルサポートの経験と顧客対応実績を生かし、コアテクノロジーエンジニアへと転向、現在に至る。仮想化には「Solaris Zone」の導入期から注目しており、長いキャリアを持つ。近年は、NANDフラッシュメモリを用いたオールフラッシュストレージや最新のNVMe関連情報などにも関心が高い。
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製品選定前に読んでおきたい基礎技術
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