製品選定前に読んでおきたい基礎技術 ストレージ編【最終回】
フラッシュデバイスの選び方、I/O以外に注目すべきポイントとは?
フラッシュデバイスの実装方式とそれぞれの特徴、選定ポイントについて解説する。IOPSに注目が集まる中、見落としがちなもう1つの重要な選定項目とは。
ここまでの連載で、ストレージ分野の市場動向や、今後のストレージ選定に欠かせないフラッシュデバイスの特徴と親和性の高い機能を紹介してきた。ストレージ編の最終回となる今回は、フラッシュデバイスの実装方式とそれぞれの特徴、選定ポイントについて紹介する。
これまでの連載
連載インデックス:製品選定前に読んでおきたい基礎技術
フラッシュデバイスをITシステムに実装する方式は、大きく分けて3つある。
- ホストベース: I/Oを行うホスト(サーバ)本体にフラッシュデバイスを搭載するモデル
- 外部アレイ/ハイブリッド型: I/Oを行うホストの外部にストレージアレイを用意し、フラッシュデバイスとHDDを混載するモデル
- 外部アレイ/オールフラッシュ型: I/Oを行うホストの外部にストレージアレイを用意し、フラッシュデバイスのみを搭載するモデル
以下に各モデルの特徴をまとめた。
フラッシュデバイス、3つのモデルの適用分野
それぞれのモデルには適した利用分野があるので、導入を検討する際には次のような点を考慮することをお勧めしたい。
ホストベース
ホスト内部に積載するタイプのホストベースは、3つの実装方式の中で最高レベルのI/O性能を実現できる。ただしデータの読み書きはホストの中に限定されるため、ホスト障害が発生した場合に最も影響が大きい。
またデータ容量が他の方式と比べて小さくなるので、小規模で圧倒的なI/O性能が必要な用途に適する。
外部アレイ/ハイブリッド型
外部アレイ/ハイブリッド型は、ホストの外に設置するストレージアレイであり、フラッシュデバイスとHDDを混載する。HDDは一般的にフラッシュデバイスよりも安価なため、フラッシュデバイスのみで容量をまかなう他のモデルと比べて、容量単価が低く抑えられる。厳密には、フラッシュデバイスをキャッシュとして利用する方式と、階層化容量の一部として利用する方式の2つがある。
キャッシュとして利用する方式は、突発的なI/O性能の増加に効果的に機能する。これに対し階層化の一部として利用する方式は、利用頻度の高いデータをフラッシュデバイスに格納し、アクセスの少ないデータをHDDに格納することで、コスト効率の最適化を図れる。
それぞれの特性を適切に理解し、システムにより適した構成を採用することが望ましい。なお製品によっては、キャッシュ利用と階層化利用を両立できるものもあるため、そうした製品を採用するのも一案である。
また一般的に両機能を併用する場合は、キャッシュ用のフラッシュデバイスと階層化用のフラッシュデバイスを別々に用意することになる。ここでのコスト増加も考慮しておく必要がある。
外部アレイ/オールフラッシュ型
外部アレイ/オールフラッシュ型は、フラッシュデバイスのみを搭載した専用モデルのストレージアレイだ。設計やアーキテクチャがフラッシュデバイスに特化している機器が多く存在する。上述のハイブリッド型とは異なり、システム全体をフラッシュデバイスで構成しているので、システム性能が安定している。また第2回「フラッシュデバイスはどういう仕組みで動くのか? 特徴的な2つの動作を解説」の記事で紹介した重複排除や圧縮機能を実装している製品も多くあり、データ削減率が高くなる仮想デスクトップインフラ(VDI)環境などでは、容量単価を低く抑えられる。
フラッシュデバイス検討の際の指標として、IOPS(1秒間に処理できるI/O数)の値を利用するケースをよく見掛ける。しかし、このIOPS値は、測定時のI/Oサイズや読み込み/書き込みの比率、重複排除率、圧縮率などによって大きく変化する。各製品ベンダーがカタログなどで数値を示しているが、ほとんどのケースで測定条件が異なり、一概に比較することは困難だ。
またIOPSばかりに注目が集まり、もう1つの重要な選定項目である処理時間(Latency)を見落としがちである。フラッシュデバイスを採用することで、性能の向上を目指すケースは非常に多い。性能の向上には処理時間(Latency)が大きく影響する。例えば100回のI/Oを実施し、その結果を表示したい場合、そのうちの1回でも処理が遅くなれば、全体の性能向上は実現できない。単位時間内の処理回数を示すIOPSの値も重要ではあるが、併せて処理時間(Latency)にも注目してストレージを選定することが重要だ。
以上、3回にわたってフラッシュデバイスを中心にストレージ技術の基礎を解説した。製品選定の基礎知識として参考になれば幸いである。
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