Microsoftなど競合もサービス重視へ
Appleは「iPhone」「Mac」の会社ではない? サービス事業急成長の意味とは
Apple、Microsoft、BlackBerryなど、名だたるIT大手はソフトウェア・サービス事業に注力し、ビジネス戦略を転換しようとしている。Appleの2017年第3四半期業績発表からも、その傾向を読み取ることができる。
Appleが2017年8月1日に発表した、7月1日までの第3四半期決算には、多くのIT大手がソフトウェアおよびサービスベンダーへと転換する傾向が表れていた。「Mac」「iPhone」「iPad」で知られる同社はこの転換の真っただ中にある。
同四半期の決算では依然として、iPhoneが圧倒的に最大の収入源になっている。だがiPhoneの売り上げの伸びは前年同期比でわずか2%にとどまることが、Appleの説明で明らかになった。IDCによると、スマートフォン市場全体ではこの3カ月で3.3%縮小した。
Appleは最大の製品分野の伸びが鈍化したにもかかわらず、売り上げは7%増の454億ドル に達した。これはサービス分野が前年同期比で22%増えて72億6600万ドルとなったことによる。これでサービスはMac(55億9200万ドル)とiPad(49億6900万ドル) を抜いて、同社で売り上げが2番目に大きい事業になった。
他のIT大手もソフトウェアとサービスに力を入れている。
ZK Researchの創業者で主席アナリストのゼウス・ケラバラ氏は言う。「業界が今向かっているのがこの方向だ。ソフトウェアを使いやすくするために、どれほどの手が掛かっているかが正しく評価されていない。Appleは他社にはまねできない体験を提供し、それが業界を変化させた」
さらに極端なケースを挙げると、BlackBerryのスマートフォン事業は2000代後半に失墜し、同社は蓄えで生き延びながら、ソフトウェア・サービス企業へと転換した。今、BlackBerryはまだスマートフォンも製造しているが、つけを払うことができているのはエンタープライズモバイル管理ソフトウェアと、コネクテッドカーのためのソフトウェア「QNX」のおかげだ。
事業モデルを調整したもう1つのIT大手がMicrosoftだ。同社は以前からソフトウェア会社だったが、今やサブスクリプション制の「Office 365」の収益が、オンプレミス版「Microsoft Office」のライセンス収入を上回る。ケラバラ氏によると、Microsoftはかつて、WindowsやOfficeのアップデートをリリースした際に、すぐに新バージョンを導入してくれる顧客が少ないという大問題に直面した。今、企業はOffice 365や「Microsoft Azure」といったMicrosoftソフトウェアのためにサブスクリプション料金を支払っている。
「同社はうまく転換した。(元最高経営責任者の)スティーブ・バルマー氏の下で死んだと思われたのが同社だった」とケラバラ氏は語る。
Appleのサービス事業は主に、App Storeのアプリおよびアプリ内購入の収益で成り立っている。また、カスタム版のiOSアプリを開発・導入する組織からの売り上げも含まれる。Appleは過去3年の間にSAPやIBMと大型提携を結び、組織がそうしたエンタープライズベンダーのバックエンドシステムを活用しながら、Appleのプログラミング言語「Swift」を使ってアプリを開発できるようにした。
Appleの決算発表では、SAPとの提携の成果に脚光が当たった。SAP初のiOS向け人事アプリは6月にリリースされ、世界で4700万人の従業員が利用する。
Appleのソフトウェア・サービス事業は、「ARKit」のような新製品のおかげでまだ多大な成長の余地がある。世界中のあらゆるiOSデベロッパーがこの開発者キットを使うようになれば、拡張現実(AR)アプリは近いうちに、Appleデバイスで当たり前の存在になるかもしれない。
「その可能性を考えるとワクワクする」とケラバラ氏は話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー