今後はハードウェアとソフトウェアが別売りに
Teslaが実践するハードウェアに縛られない新しいビジネスとは
日常で使う製品が、IoTによって大きく変わり始めている。Tesla Motorsが取り組みを参考に、今後のデバイスの在り方を紹介する。
「IoT」(モノのインターネット)がもたらす新たな産業革命によって、私たちが毎日使うモノとの関わり方は一変することになるだろう。全てのモノがサービスとなる時代が始まろうとしている。
これまでの製品は、特定の用途に対し特定の機能を提供するために製造されていた。ニーズが変わればそれは用済みとなり、代わりの製品に置き換えなければならなかった。ところがデータを収集し続ける「インテリジェントデバイス」の登場でそれは変わりつつある。IoT時代に生まれた新しいパラダイムで、メーカーは1つのデバイスからカスタマイズやアップグレードが可能な製品やサービスを提供できる。消費者は、IoTデバイスをカスタマイズやアップグレードすることで、デバイスが提供する機能と価値を入れ替えることができる。
例えば、自動車メーカーのTesla Motorsは、3500ドルで自動車のソフトウェアアップデートを提供すると発表した。このソフトウェアアップデートをダウンロードすれば、現行モデルの自動車をアップグレードして自動運転機能(オートパイロット)を追加することができる。これでTesla車の所有者は新しい車種の発売を待たずに新機能を利用できるようになる。Teslaは自動車がもはや固定的なモノでないことを世界に示した。これからの自動車は、カスタマイズ可能な変わり続けるサービスとなり、常に新しい価値を顧客に届け続けるものとなる。運転に便利な新機能が欲しい顧客は、ソフトウェアアップグレードを購入すれば、新しい自動車に生まれ変わらせることができる。
Teslaが導入したこの新しい仕組みは製品の差別化を実現する。ソフトウェアの力を借りて既存顧客に新製品や新機能、機能改良を提供することで、次のことが可能になった。
- 現行モデルを自動的にアップグレードして、需要の高い新機能を追加する手段を提供することで、市場の他社製品から自社製品を差別化する。
- 自動運転ソフトウェアアップグレードのマネタイズによって新しい収益源を作り、新規顧客と既存顧客の両方から収益を得る可能性を高める。
- 物理的な新モデルを開発しなくてもソフトウェアで新機能を提供できるようにして製造コストを抑える。
- 消費者と直接つながる継続的な関係を築き、それを深める。
メーカー各社が新しい手法で顧客との関係を深め、利益を高めていくには、戦略的な転換が必要になる。Teslaのようにインターネットに接続するデバイスを製造するメーカーは、ハードウェアやソフトウェアアップグレード、アプリケーション、サービスから経常利益を獲得する方向へ進んでいる。そうした変革の源となるのがプラットフォームとアプリケーション、サービスだ。以下の組み合わせがこれを実現する。
- ハードウェアプラットフォーム(物理的なハードウェアデバイスとその構成部品)
- ソフトウェアアプリケーション(ハードウェアとソフトウェアとサービスの機能配信を制御)
- ソフトウェアマネタイズ(ライセンスと資格情報を管理することによって、顧客が購入して利用可能となるデバイスの機能やサービスを制御)
販売戦略におけるサービスの重要性が増せば、ソフトウェアマネタイズは収益成長にとって不可欠になる。
例えば、ビルディングオートメーションのメーカーがソフトウェアマネタイズプロセスを導入するなら、利用可能な機能とアップグレードを全て表示するコントロールパネルを用意し、顧客が購入したソフトウェアやライセンスに応じて各機能のオンとオフを切り替えられるようにする。
このようなアプローチを採用すれば、IoTデバイスメーカーは追加コストを掛けずに自社製品のあらゆる機能を収益化できる。
製造業界はこのトレンドで既に変わりつつある。従来のデバイスメーカーにとって重要なことは、自社製品を現時点の機能に固定したモノとして考えるのをやめることだ。これからは、サービスプロバイダーと同じように考え、行動し、既存顧客の変わりゆくニーズを満たす新しい価値を提供できるようにならなければならない。そのためには、新しい価値提案を収益に変える上でソフトウェアマネタイズが果たす役割を理解する必要がある。
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