体験版で知るWindows Server 2016操作テク【第10回】
Windows Server 2016の新機能をチェックする──コンテナ編(1/2 ページ)
「Windows Server 2016」の新機能で多くの関係者が関心を寄せているのがコンテナ機能の導入だ。ほぼLinux環境限定だったコンテナ機能をWindows Server 2016で使うために確認しておきたいポイントを紹介する。
この連載は
新世代Windows Serverとして2016年9月に正式登場した「Windows Server 2016」。フリーで導入できる体験版を使って、新しいセキュリティ機能やコンテナ関連機能の設定など、新しく登場した“操作テクニック”を紹介する。執筆はIT関連媒体で長らくWindows Serverの解説連載を手掛けてきた塩田紳二氏だ
「コンテナ」とは、OSでアプリケーションが動作する独立した環境を作る技術だ。仮想マシンと似ているが、仮想マシン支援機能は使わず、OSのレベルでシステムを抽象化し、独立した環境を作り出す。
このため、仮想マシンと比べてシステムリソースの消費量が小さく、また、ハイパーバイザーやホストOS、ゲストOS間の遷移などもないため負荷が小さい。
「Windows Server 2016」(以下、WS16)最大の改良点の1つが、このコンテナへの対応だ。WS16には、2つのコンテナ機能がある。1つは、「Windows Serverコンテナー」で、稼働中のWS16がそのままコンテナを動かす。もう1つは「Hyper-Vコンテナー」で、仮想マシン支援機能を使う。
そもそもコンテナは仮想マシン機能のオーバーヘッドを解消するのが目的なのに、Hyper-Vコンテナーも追加しているのはなぜだろうか。今回の新機能ツアーでは、WS16最大の特徴ともいえるコンテナ機能について解説する。
併せて読みたいお薦め記事
Windows Server 2016、導入すべきか待つべきか
Windows Server 2016、注目の新機能
Windows Server 2016で導入したコンテナ機能とは
コンテナは、OSの中に独立した実行環境を作り出し、ソフトウェアとその実行環境をファイルとして保存かつ復元ができるようにする。いわゆる「仮想化」と大きく違うのは、仮想的なマシン(ハードウェア)を作るのではなく、OSに「独立した環境」を作り出す点だ。
OSが管理している情報を仮想化してコンテナの外の環境が見えないように分離し、コンテナ間で同一のパスや名称などが衝突しても、影響が出ないようにするのがコンテナの役目だ。簡単にいうとコンテナ内では、動作しているソフトウェアは、自分自身と関連ソフトウェア、OS以外は最初から存在していないようにしか見えない。その意味では、実行環境であるOSのレベルで「仮想化」されているともいえる。
実行環境が仮想化されているため、コンテナは、注意深く作れば、異なるマシン間で同じアプリケーションを同じ環境で動作させるために利用できる。もちろん同種のマシン間であっても可能だ。また、ある時点でコンテナを停止し、ファイルとして保存しておけば、任意のタイミングでこれを再開できる。
なお、コンテナで動作させるアプリケーションは、マイクロサービス型などと呼び、複数のソフトウェアが連携して目的を達成する複雑な処理を想定している。例えば、設定や利用がWebサーバを介して行われるようなアプリケーションでは、Webサーバや処理機構、データベース、ユーザー管理など複数のソフトウェアが連携して動作する。こうしたアプリケーションをコンテナ化すれば、あらかじめ設定を済ませ動作を確認した状態で、複数のマシンで同時に配置と展開が可能になる。
コンテナには、さらに「クラウド化」を容易にするメリットもある。ローカルのサーバシステムでコンテナ化したアプリケーションは、同じコンテナを稼働可能なクラウドにそのまま移行できる。WS16を「クラウド対応」と呼べる理由の1つがコンテナ機能といってもいい。
コンテナという仕組みは、仮想マシン環境と違いOS自体を含まないため、OSのライセンスとは無関係というメリットがある。WS16のWindows Serverコンテナーは、ライセンスによる同時実行数の制限がない。
もう1つは、システムリソース(メモリ、処理時間、ストレージなど)の効率的な利用だ。コンテナ自体は通常のOSのプロセスであり、OSがリソースを管理している。メモリは仮想メモリを必要に応じて割り当て、リソースをプロセス間で共有する。これに対して仮想マシンでは、事前に実メモリ占有量などのリソースを割り当て(必要量の指定)、実行中は、割り当てたリソースを占有する。実行中の要求に応じて割り当てる場合もあるが、割り当てたリソースを占有してしまう。
なお、WS16のコンテナ機能は、構成と機能を最小限に抑えたインストールオプションの「Nano Server」(ナノサーバ)でも利用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー