文字通りの「最高級」スマホ
Samsung「Galaxy Note8」徹底解説、スタイラスペンや音声支援に漂う王者の風格(2/3 ページ)
Sペン
Galaxy Note8と他社のスマートフォンが大きく違う点の1つはSペンの存在だろう。最初はちょっとしたアクセサリーにすぎなかったこのスタイラスは、瞬く間に状況を一変させた。今やSamsungのSペンは、0.7ミリのペン先と4096段階の筆圧感知によって非常に正確な操作を実現する精密なツールになっている。そのため、Sペンはメモを取るだけでなく、スケッチや描画にも最適だ。
だが、このスタイラスを実際に強力なツールにしているのは、これをGalaxy Note8と組み合わせて使う設計にある。例えば、テストで特に目を引いた機能に、画面オフメモ機能がある。技術的には目新しい機能ではないが、Samsungはこの機能を拡張し、最大100ページまでのメモを取れるようにしている。さらに、記述したメモは全て他のソフトウェアにオフロードすることも、後で編集したり読み直したりすることも可能だ。シンプルな機能だが、スマートフォンを現実のノートに一変させる機能といえる。この機能を使うのにメニューやアプリを選択する必要はなく、スタイラスをスマートフォンから取り外すだけで、メモを取り始める準備が整う。全てのメモはPDF形式で保存することも、同僚にメールで送ることもできる。この使いやすさとシンプルさがSペンを優れたものにしている。複雑な手順は必要ない。Sペンを取り出して、書き留めるだけだ。
Galaxy Note8のSペンの主要機能はどれも使いやすい。Sペンには小さなボタンが付いている。このボタンを押すとクイック起動メニューが表示される。このメニューから、メモの作成、画面の一部のスマート選択(画像とアニメーションGIFの両方を選択可能)、画面へのメッセージの書き込み、アニメーション化されたライブメッセージの書き込みや翻訳したテキストの書き込みを行える。クイック起動メニューには好みで他の機能を追加することもできる。テストした結果、どの機能も便利で、非常に好印象だった。簡単かつ直観的な操作で、画面に簡単なメッセージを書き込んだり、Webページや電子メールの一部を選択して、テキストメッセージの作成中に覚書を書き込んだりすることも可能だ。これらは優れたユーティリティーだが、新しく追加されたライブメッセージアプリでは楽しみながらメッセージを書き込むことができる。このアプリでは、短いテキスト画像をアニメーションにして送信できる。革新的とまではいかないが、メモに個性を出したり、テキストメッセージを飾り付けたりするのにはうってつけの方法だ。
こうした機能は全く新しいものではない。だが、生活の質を大幅に上げるだけでなく、実際にスタイラスを活用するその仕組みは、大半のスマートフォンにはまねできないものになっている。
OSとドッキングステーション
Galaxy Note8は、Googleの「Android 7.0 Nougat」を搭載したGalaxy S8とは異なり、「Android 7.1.2 Nougat」をベースにしたSamsungの「Samsung Experience」インタフェースを採用している。見た目はほとんど変わっていない。
ただ、新しく追加された同社の「App Pair」は画期的な機能だ。TechTargetがこれまでに公開したGalaxy Note8のプレビュー記事やGalaxy S8のレビュー記事では、「App Edge」について非常に好感的に紹介した。これは基本的には一種のクイック起動メニューで、使用頻度が特に高い連絡先やアプリに簡単にアクセスできるようにする。この機能のおかげでスマートフォンの操作が手早く済むため、日々の生活の質が向上する。App Pairは、このApp Edgeをさらに強化した機能だ。
App Pairは文字通りの機能で、2つのアプリケーションを選んで1回クリックするだけで2つを同時に起動できる。個別のアプリを手軽にペアリングできるだけでなく、画面スライダーを使って画面比率を手早く調整できるようになっている。動画を流し見しながらWebサーフィンをするのにとても便利だ。さらに通話アプリで通話しながら毎週の電話会議の予定を確認するような実用的な使い方もできる。Galaxy Note8は、いつも優れたマルチタスクをサポートしているが、実際のところこの機能によってトップに躍り出たといえよう。
Samsungのドッキングステーション「Samsung DeX」も帰ってきた。このアクセサリーは150ドルとかなり高価だが、ここにスマートフォンをドッキングして、標準デスクトップPCの多くの操作をモニターにミラーリングできる。また、接続前にBluetoothアクセサリーをペアリングする必要をなくし、マウスとキーボードのフルサポートやアプリケーションサポートの強化など、SamsungはDeXに多くの機能強化を施している。
Galaxy S8リリース当時のDeXは、中途半端な印象があった。少数の生産性向上アプリには有用だったが、多くの機能は、Galaxy S8のインタフェースをモニターにコピーして実行するだけだった。これに対し、Galaxy Note8では、マウスとキーボードがフルサポートされる状態でアプリやゲームを実行できる。多くのアプリケーションを同時に開いてマルチタスクにすることも可能だ。明らかにコンピューティング能力には制限があるが、Galaxy Note8にDeXのサポートがあれば、いざというときノートPCの代わりを果たすには十分だ。
Bixby
Samsungの「Bixby」は、Googleの「Google Assistant」やAppleの「Siri」に対抗して準備したもので、購入直後からすぐに使用できる。この音声アシスタントが登場したのは少々遅かったが、まだ開発が終わって数カ月ほどなのにその機能は将来有望だ。実際のところ、機能の好みには個人差があるが、テストしたかぎりではBixbyにはうれしい驚きを味わった。
Bixbyの音声機能「Bixby Voice」は、全てのタッチ操作をこれ1つで行えるというSamsungの主張に応えている。テストでは1つのコマンドで、Googleの「Play Store」を起動し、Primate Labsの「GeekBench 4」をダウンロードできた。ただし、他の音声支援ソフトウェアと同様に、Bixbyでもユーザーはその言語を覚える必要がある。つまり、Bixby固有のコマンドはたくさんある。それを知らなければ操作を実行することはできないだろう。ただし、Bixbyは他の機能とは異なり、聞き取った音声を理解できなければ、ほとんどの場合に説明を求めるようになっている。さらに一歩踏み込んで、Bixbyが聞き取った音声を誤って解釈したかどうかを明確にすることもできる。
Bixbyのテストで、AnTuTuのクロスプラットフォームベンチマークツール「AnTuTu Benchmark」の実行を試みたときの例を紹介する。この時、Bixbyは「AnTuTu」という発話を、「and to to」と解釈した。驚くことに、Bixbyに数回訂正を繰り返した後は、音声コマンドで同じアプリケーションを起動および終了できるようになり、何度行っても失敗することはなくなった。経験を積ませ、操作しながらレベルアップすることで学習するという、ユーザーが音声支援ツールをサポートするゲーム感覚の味付けがなされている。Bixbyの誤った解釈を全て修正できるとは言い切れないが、現時点では機能に全く問題はないように思える。
Bixbyはかなりの将来性を秘めており、現時点でも、同様の音声支援ソフトウェアに備わる機能の多くを水準以上の品質でそろえている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー