ネイティブか、サードパーティーか
API管理ツール比較:AWS、Microsoft、Googleの戦略と主要製品は
企業にとってAPIの重要性や、APIを適切に管理する必要性が増している。本稿ではクラウドサービスを利用したアプリケーション開発におけるAPI管理ツールの選び方について解説する。
APIは、クラウドアプリケーションの開発と連携に関する全ての戦略において重要な役割を果たしている。パブリッククラウドベンダーは、APIを開発・管理するためのツールを速やかに提供しているが、サードパーティーやオープンソースという選択肢を検討する価値もある。
クラウド開発者がどの種のツールを使用すべきかは、さまざまな要素に左右される。
ネイティブツールの場合
APIの管理とは、APIの開発・テスト・監視と、レスポンシブなホスティングフレームワークを管理してAPIベースのサービスをユーザーに提供することを指す。前者は開発プロセスに重点を置く。後者は作業の配分、または負荷分散やオーケストレーションのような機能の組み合わせに重点を置く。こうした業務は通常、運用スタッフが担当する。その際運用スタッフは、企業が使用する特定のホスティングリソースに合わせた調整をしなければいけない場合がある。
パブリッククラウドベンダーは、開発に関連するAPI管理ツールを、導入やパフォーマンス管理用のツールと統合する傾向がある。
そのようなAPI統合管理ツールの例として、Amazon Web Services(AWS)の「Amazon API Gateway」、Microsoftの「Azure API Management」、Google Cloud Platform(GCP)の「Apigee APIプラットフォーム」がある。これらのツールは、各クラウドベンダーの技術的なフレームワークと市場開拓アプローチの両方を反映している。特定のクラウドベンダーのAPIツールを採用することは、そのベンダーのクラウドアーキテクチャとAPIの構想全体も受け入れることを意味する。
このことが、マルチクラウドを導入する企業にとって問題になる恐れがある。各クラウドベンダーのAPIやサービス構造に関する戦略はそれぞれ異なり、それぞれのクラウドサービスをまとめて扱う際に大きな問題が発生する場合があるためだ。
AWS、Microsoft、Google各社のAPI戦略は次のとおりだ。
AWSは、開発から導入までの手順を支援するAPI管理スイート一式を提供している。加えて同社は2018年11月末に、AWSサービスを企業のオンプレミス環境で利用できる物理アプライアンス「AWS Outposts」を発表した。提供開始は2019年後半を予定している。これにより、開発チームはハイブリッドクラウドでのAPIの管理が容易になる。
Microsoftも完全なAPI管理スイートを提供する。Outpostsとよく似たメリットをハイブリッドクラウドにもたらす物理アプライアンス「Microsoft Azure Stack」も提供している。
Googleは、同社が買収したAPI作成・管理サービス「Apigee」をベースにAPI戦略を構築している。だがパブリッククラウドとオンプレミスのデータセンターの統合、あるいはAPI開発機能と運用機能の統合は、AWSやMicrosoftと同レベルには達していない。
オープンソースやサードパーティー製の場合
オープンソースやサードパーティー製のAPIツールは、開発面よりも管理面に重点を置く傾向がある。これらのツールは、API管理リソースの拡張性を向上させる目的から、クラウドでホストできる場合がある。各API管理ツールとオーケストレーションツールをうまく組み合わせれば、クラウドベンダーが提供するAPI管理スイートの安定した機能群に匹敵する可能性もある。採用したクラウドサービスとデータセンター間で一貫性が生まれることもある。そのため、特にマルチクラウド戦略を掲げる企業は、API管理用にクラウドネイティブなツールではなくサードパーティー製またはオープンソースのツールを選択している。
オープンソースのAPI管理ツールとしては「Swagger」「LoopBack」「Restlet Framework」「Tyk」「WSO2」などがある。これらのツールはクラウドの導入に利用できる。ユーザーはクラウドでこれらのツールをホストできるが、一般的なアプリケーションと同様に導入と管理を実行する必要がある。
これらのオープンソースAPI管理ツールでは、ユーザーが運用時の連携に対処しなければならない場合がほとんどだ。開発とテストに使うAPI管理ツールと、アプリケーションの導入に使用するオーケストレーションおよびワークフローのツールを連携させる必要がある。大半のオーケストレーションツールはオンプレミスシステムと同様、基本的には大手クラウドベンダーのクラウドサービスいずれに対しても移植可能だ。
サードパーティー製のAPI管理パッケージは守備範囲の狭いものが大半を占める。中には広範囲に向けた機能を持ち、APIベースのサービスを運用環境に導入できるものもある。例えばApigeeは、Googleのクラウドとは別に単独で購入できる。それにより、開発・テスト・運用の各段階において、ApigeeがAPIに関する課題を解決することに役立つ。Apigeeは全ての大手クラウドベンダー、そしてハイブリッドクラウドのオンプレミスシステムとも互換性がある。もう一つの選択肢として、クラウド管理ツールベンダーMuleSoftが提供するAPI作成ツール「API designer」とAPI管理ツール「API Manage」がある。これらのツールが持つ機能の対象範囲はApigeeと同じだ。
最適な選択肢は?
マルチクラウドではなくハイブリッドクラウドを採用する予定なら、APIの管理にはベンダーのネイティブツールを検討するとよい。マルチクラウドを導入している場合でも、拡張やフェイルオーバーの操作対象が複数ベンダーの製品にまたがらないのであれば、ベンダーのネイティブツールが適しているだろう。ただしベンダーごとのツールの相違点を幾つか受け入れなければならない可能性はある。
オープンソースのコンテナや、仮想マシン(VM)のオーケストレーションを細部まで理解し、複数のクラウドベンダー間でサービスのアジリティー(俊敏性)を維持する必要がある企業は、オープンソースのAPI管理ツールを検討してはどうだろう。それらのツールをワークフローの分散やオーケストレーションと組み合わせるとよい。ベンダーをすぐに変えられるようにしておきたい企業にも同じ事が言える。
同レベルのアジリティーを求めてはいても、オープンソースを導入した経験があまりない企業はどうすればよいだろうか。開発・テスト・デプロイ・運用の統合機能を持つ、サードパーティー製のAPI管理スイートを採用するとよい。
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