落とし穴を回避
BIをクラウドへ、低コストで移行するための5つのヒント(1/2 ページ)
BIや分析をクラウドに移行するには戦略が必要だ。何を詳しく調査し、どのような点に注意して、どんなことに取り組むべきか、専門家やIT担当者からヒントを得る必要がある。
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールをクラウドに移行することで、非常に大きなメリットを得られる企業は少なくない。BIツールはクラウドで利用できた方が柔軟性や拡張性が高まる。社内のシチズンデータサイエンティスト(注)のためにセルフサービス機能を数多く用意しようとしている場合には特に実感できる。ただし従来のオンプレミスシステムからクラウドにBIツールを移行するプロセスは、必ずしも多くのベンダーが見せかけているほど単純ではない。
移行経路を慎重に計画しなければならない。想定外の移行コストや、クラウドで分析に時間をかけることで生じる隠れたコストなど、予期せぬ落とし穴にはまるのは避けたい。
※注:統計や分析を本業としないデータ分析人材。
ヒント1:課金モデルの理解
クラウド形式のBIツール(以下、クラウドBI)を利用する場合、万能のサービス課金モデルは存在しない。購入担当者は、データの管理方法や計量方法の細部を徹底的に勉強する必要がある。また、クラウドサービスの請求額のベースになるストレージや使用量の計測方法についても同様だ。
BIベンダーのInformation Buildersでマーケットインテリジェンス部門のディレクターを務めるリンゼイ・ワイズ氏は「例えば、定額サブスクリプション料金を請求するクラウドベンダーもあれば、ストレージ量や使用量に応じてサービス料金を設定するベンダーもある。こうしたサブスクリプションモデルはいずれもコストに影響する可能性があり、考慮が必要になる」と語る。
特に注目すべきは、クラウドBIが社内のビジネスシステムからデータを読み取る方法と、その方法の料金への影響だ。ITコンサルティングのSparkhoundでデータおよび分析プラクティス部門のディレクターを務めるラスティー・フリオークス氏は次のように話す。
「データを取り込んでキャッシュするクラウドBIもあれば、ユーザーが必要とするときにデータにクエリを実行するクラウドBIもある。ストレージに課金しないクラウドBIは、データの移動に課金することが多い。逆も同様だ。移動と保存をする予定のデータ量を把握し、それに応じて計画を立てなければならない」
フリオークス氏によると、これはオンプレミスシステムに慣れているビジネスアナリストなどのユーザーにとっては新しい概念かもしれないという。
「オンプレミスでしか作業しないユーザーは通常、データストレージやコンピューティング時間の増加に伴い請求額が増えていくことに慣れていない。この両方に課金されることをユーザー層に確実に指導する。その上で、その両方の監視に必要なツールを用意しなければならない」(フリオークス氏)
ヒント2:警戒すべき統合の隠れたコスト
クラウドへのBIツール移行に適したクラウドアーキテクチャを設計する際に、主にシステム間連携に見えないコストが潜むことがよくある。
フリオークス氏は次のように語る。「クラウドBIベンダーは多くの場合、包括的な月額サービス料金を用意している。これには『Sales Cloud』や『NetSuite』などの一般的なビジネスアプリケーションに対する事前構築済みデータコネクターも含まれる。だが、これらのデータコネクターでは不十分な場合がある。そうなれば、これらのシステムの自社での使い方に適したデータコネクターを構築するために、多額のサービス料金を負担することになりかねない。より柔軟性が高い別の手段を選んでデータフローを構築する方が優れた選択になることもある」
ただし同様に、これらのフローで発生する可能性のあるコストの落とし穴にも注意が必要だ。特にオンプレミスインフラとクラウドインフラを組み合わせたハイブリッドクラウドを選ぶ際は気を付けなければならない。例えばネットワーク分析ベンダーKentikで製品マーケティング部門の責任者を務めるジム・ミーハン氏は、通信経路によってコストが増える場合があることを警告する。この現象は、高速で安価な短いネットワーク経路を介して通信すべきサービスが、実際には遅延の多い、長い経路を介して通信されるときに発生する。
「一例として、Webフロントエンド、アプリケーションサーバ、データベースから構成されているシステムがあるとする。DevOps(開発と運用の融合)チームがアプリケーションサーバをクラウドに移動させた。だがWebフロントエンドとデータベースはまだ従来のデータセンターにある。このとき、全てのWebリクエストによって生じる一連の呼び出しは、クラウドとの相互接続を2回経由することになる。その結果、パフォーマンスが下がり、コストに影響を与える」(ミーハン氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー