「データを無駄にしない」がテーマ
2019年のBI/アナリティクスのトレンドは、AI、グラフDB、マルチクラウド
BIとアナリティクスの主要なトレンドとして、機械学習、マルチクラウド、グラフデータベースの台頭が挙げられる。これらは企業にどのような影響を与えるのか。
機械学習、グラフデータベース、マルチクラウド――McKnight Consulting Groupの社長を務めるウィリアム・マクナイト氏は、これらが企業におけるBI(ビジネスインテリジェンス)とアナリティクスにおける現在の主要トレンドの一翼を担っていると考えている。
マクナイト氏は企業のIT担当者に対し、BIとアナリティクスの重要なトレンドをつかみ、その技術を利用して、将来的に高度なアナリティクスを実現するための取り組みを進めるようアドバイスする。
「企業経営者は、リーダーシップを発揮し、全社のベクトルを合わせてビジネスを前進させ、自社の経営資源を最大限に活用して利益の成長を達成する必要がある。今、意思決定を支えるBIやアナリティクスにかかる期待は極めて大きい」。マクナイト氏は、最近のウェビナー「Dataversity」の中でそう語った。
マクナイト氏は、自ら実施した幾つかの大規模調査と、顧客の観察から、トレンド予測を導き出した。以下で紹介する、同氏がウェビナーで解説したBIとアナリティクスのトレンドは、最先端にいるIT担当者にとっては驚きではないだろうが、既に大企業に確実に影響を与え始めている重要な要素だ。
BIからAIへ
マクナイト氏はウェビナーで、企業データの最も効果的な使い方は、AI(人工知能)アルゴリズムのトレーニングに使うことだろうと指摘した。
「AIアルゴリズムは重要になるだろう。従って、良質なデータでトレーニングしなければならないのは明らかだ。そこで私がスローガンとして提唱したいのが、『データを無駄にしない』だ。もしデータを無駄にしていれば、不完全なデータしか利用できなくなり、将来のAI活用の取り組みを台無しにすることになる」(マクナイト氏)
Forresterのアナリスト、ボリス・エベルソン氏は「マクナイト氏と同様の見解を示し、AI、特に機械学習は、間違いなく2019年のBIとアナリティクスにおける最大のトレンドの一つになる」と付け加えた。「機械学習により、BI担当者はあらゆるタイプのパターン、傾向、相関、予兆を発見し、特定することができる」
マクナイト氏によれば、これからのデータ管理環境の実現方法について顧客からよく尋ねられるという。今後はAIが主役になるのは確実と同氏は考えている。そして、この環境を実現する最良の方法は、強力なデータインフラを構築することだという。それには、データレイクやデータウェアハウス、データマートといった効果的なデータ活用の基盤が必要になる。
マクナイト氏は、「BIを掲げて展開してきた全ての施策を、AIの取り組みに移行させることも顧客に勧めている」という。
「レポートの生成や、KPI(主要業績指標)の開発といったこれまでBIの取り組みに位置付けていたものを、これまでの延長線上で進めてもAI時代に適応した取り組みにならない。レポート生成やKPI開発が必要な理由を突き詰めなければならない」(マクナイト氏)
「物事がなぜ実施されているのかを理解する必要がある。そしてほとんどの場合、その『なぜ』が分かれば、AIを活用することで、その物事に対してディスラプション(創造的破壊)を起こすことができる」(マクナイト氏)
だが、それは必ずしも、AIが今後数年間、BIとアナリティクスのトレンドを席巻するということではないという。「もっと適切に言えば、AIは、この分野の強化や改善に利用されていくだろう。例えば、『AIによってBI/アナリティクスを改善する』といった試みがなされるだろう」(マクナイト氏)
企業にAIを導入するには、AIによる自動化を導入するとよいと、マクナイト氏は付け加える。AIを使って、プロセスや洞察を自動化しているBIベンダーは少なくないという。
グラフの年
マクナイト氏は2019年を「グラフの年」と宣言し、IT担当者は、データベースで既に用意されているさまざまなグラフ機能を利用すべきだと語った。「今後数年で、企業はグラフデータベースをますます便利に使えるようになるだろう」。NoSQLデータベースの一種であるグラフデータベースでは、グラフを使ってデータの関係を導き出したり、マッピングしたり、クエリを利用したりできる。
さらにマクナイト氏は、「グラフデータベースは、社内で何が自分にとって、フォーカスすべき重要なものかを理解するのに非常に役立つ」と付け加える。
エベルソン氏もマクナイト氏と同じ意見だが、より広い視点からこう語った。「適材適所でツールを使い分けることがトレンドになっているといえるだろう。グラフデータベース管理システムを含むあらゆるタイプのNoSQLデータベースが、今後も広く普及していくだろう」
データ可視化の対象範囲が拡大
マクナイト氏によると、2019年のBIとアナリティクスのもう1つの主要なトレンドは、データ可視化の手法が進歩することだ。「データ可視化を既にある程度取り入れている企業が少なくないが、この技術は2019年、人気を博すだろう。大半の企業はレポート機能などの従来の方法を採用している」
従来のレポート機能が依然として有益な場合もあり、時にはそれが必要なこともあるとマクナイト氏は補足する。だが、顧客が従来のレポート機能の枠組みで物事を考えているときは常に、その代わりにデータの可視化という観点で考えるよう促しているという。
データの可視化においては、高度な手法を使う必要はない。企業はスパークラインや、ドットグラフ、散布図、ツリーマップ、インフォグラフィックスといったテクニックを使うことで、データ可視化の対象範囲を広げることができるという。
一方、エベルソン氏は、既に企業では、静的なレポート機能を超える「データ可視化革命」が起こっていると指摘する。「データを可視化できないBI/アナリティクスのプラットフォームはない。実際、Forresterは、もはやデータ可視化を個別の市場カテゴリーとは捉えていない。これはBI/アナリティクスの機能だ」
Ventana Researchのアナリストを務めるデビッド・メニンガー氏は、「データ可視化はコモディティ化しており、この分野ではさらなる改良が引き続きなされるだろう。そして自然言語処理のような別の技術が、アナリティクスの分野でホットトピックになるだろう」と述べる。
マルチクラウドが一般化
「企業はデータ管理プラットフォームを選択する際、多様なデータ目標やビジネス目標を達成するために、そのプラットフォーム上でさまざまなクラウドサービスのデータを管理することを望んでいる」(マクナイト氏)。これはマルチクラウドの考え方が支持されているということだ。
「シングルクラウド戦略では、状況変化に俊敏に適応しながら、データ関連のさまざまな目標を追求するのは難しい。そこでマルチクラウドが必要になる。プライベートクラウドの他、複数のパブリッククラウドが必要だ。クラウドで運用され、ユニークな機能を提供するSaaS(Software as a Service)も必要になるだろう」(マクナイト氏)
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