自動更新、余計なソフト、互換性……
社内PCなのにゲームがプリイン――専門家が語る「Windows 10」の困った話
「Windows 10」は、エンドユーザーだけでなくIT管理者もてこずることがあるOSだ。3人のエキスパートに、Windows 10の管理で苦労する問題を聞いた。
IT担当者はコンピュータの問題に精通しているが、「Windows 10」では厄介な難題に直面している。
Windows 10の問題は、テストが不十分なまま強引に実行される自動更新、余計な付属ソフトウェア、アプリケーションの非互換など多岐にわたる。本稿は3人のIT専門家が、Windows 10の管理で最も手を焼いている問題について解説する。
話を聞いたのは、ITサービス企業Emmanuel Technology Consultingでオーナー兼コンサルタントを務めるウィリアム・ウォーレン氏、マサチューセッツ大学ローウェル校で副CIO(最高情報責任者)を務めるスティーブ・アサナス氏、ITサービス企業TNTMAXで技術ディレクターを務めるダニエル・ビート氏の3人だ。
理解できない「企業利用なのにゲームを押し付け」
ウォーレン氏 最大の問題は、最近目立ってきた品質管理の甘さだ。Windows 10では、アップデートが再三問題を引き起こしてきた。Windows 10のQA(品質保証)テスターは、ユーザーなのだ。そしてアップデートに伴って生じた問題は、ユーザーが十分に大きな声を上げないと修正されない。
半年ごとのWindows 10アップデートは、ほとんど新バージョンのWindows 10になる。Windowsを上書きインストールするのは決して賢明ではない。私は自分のコンピュータで「新しい機能更新プログラムがある」という通知を見ると、マシン全体をフォーマットし直して、再インストールするようにしている。企業は少なくともある程度の管理権限を持っているから、こうした機能更新プログラムのインストールを遅らせることは可能だ。
企業向けの「Windows 10 Pro」を採用している企業でも、余計な付属ソフトに煩わされる羽目に陥る。MicrosoftがWindows 10 Proユーザーにスタート画面のタイルで、「Candy Crush」のようなゲームを薦めるのは理解できない。彼らはWindows 10 Pro以下のエディションで、公式アプリケーションストア「Windows Store」で配信しているゲームも宣伝し始めている。
IT管理者はグループポリシーを使って広告をオフにしてきた。だがMicrosoftはこのグループポリシー機能を、大企業向けの最上位エディション「Windows 10 Enterprise」でしか使えないようにした。小規模企業の管理者がどれだけがっかりしたか想像が付く。Windows 10 Enterpriseを購入するのは、一般的には大企業だからだ。通常、ユーザー数が10~15人の企業はWindows 10 Proを使っている。
Microsoftはゲームや広告、余計な付属ソフトを顧客に押し付けている。私は自動更新をオフにしており、正直なところ、それは私だけではない。他の多くのIT管理者もそうしている。
アプリケーショントラブルに苦労するアップデート
アサナス氏 Windows 10の管理で苦労することの一つは、アップデートの提供頻度だ。Microsoftのビジョンは、PCのアップグレードサイクルを「iPad」並みにすることだと考えている。Microsoftはそのビジョンに向けて目覚ましい前進を遂げているが、アプリケーション開発者もそうとは限らない。
われわれがWindows 10を更新したところ、問題のあるアプリケーションが幾つか見つかった。こうした場合、一般的にはアプリケーションベンダーが修正プログラムをかなり迅速に提供する。だが全てのアプリケーションでそうしたサポートが提供されるわけではない。
あるメジャーなアプリケーションが問題を引き起こしたとき、そのアプリケーションベンダーは、次の日くらいに修正プログラムを公開した。一方で小規模なアプリケーションは、ベンダーと特別な契約を結ばなければ実用的なサポートが受けられない。
Windows 10への移行で問題が発生するアプリケーションのために、われわれはユーザーに仮想デスクトップを提供している。ユーザーは仮想デスクトップからそうしたアプリケーションを実行できる。このように、アプリケーションベンダーが修正プログラムを公開しない場合、われわれは大抵、仮想デスクトップインフラ(VDI)やリモートデスクトップなど、通常とは異なる方法でそのアプリケーションをストリーミング配信している。
われわれは全てのユーザーに同じ環境を提供するために、積極的にアップグレードをしている。デプロイ(展開)はこれまでより、かなり楽になっている。イメージやアプリケーションパッケージがシンプルになったからだ。われわれは更新プログラムをインストールすることを以前ほど怖がらなくなった。数年前は「テストにテストを重ねてから展開する」というのが基本方針だった。今では更新プログラムがリリースされると、ざっとテストして社内に配布している。更新プログラム未提供の脆弱(ぜいじゃく)性を狙ったゼロデイ攻撃のリスクが、以前よりはるかに高くなっているからだ。
Windows 10以外に問題があるケースも
ビート氏 ユーザーが「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」の頻繁なアップデートを好まない場合がある。そうした意向に合わせて最新バージョンのアプリケーションを使っていない企業で、アプリケーションに問題が発生する場合、それはWindows 10に不備があるせいではない。企業がアプリケーションに十分な投資をしないことが、ほとんどの原因だ。10~12年前のアプリケーションがいまだに使われているケースもあるかもしれない。こうした企業はまずベンダーに連絡して、ロードマップを入手する必要がある。
アップデートは必須であり、われわれがパラメーターを設定しなければ、避ける方法はない。間もなく正式提供が開始される機能更新プログラム「Windows 10 May 2019 Update」(Windows 10 Version 1903)について調査して、自社のアプリケーションは互換性がないという理由で、すぐにはアップグレードしたくないという人もいるかもしれない。実際、Microsoft側はアプリケーションの互換性テストをあまり実施しない。
ユーザーにしてみると、業務時間中にいきなり機能更新プログラムのインストールが始まると仕事にならない。コンピュータの再起動を含めて、アップグレードには1~2時間もかかってしまう。それでもわれわれはユーザーに、更新プログラムを常に適用するよう呼び掛けている。サイバーセキュリティ侵害の圧倒的多数は、更新プログラムが適用されていなかったために発生しているからだ。われわれは最低でも、ユーザーのマシンに最も新しい機能更新プログラムの1つ前のバージョンが適用されている状態を維持しようとしている。
プリンタもWindows 10の大きな問題となる。従業員がリモートで働いていて、リモートサーバに接続するときは特にそうだ。Windowsプリンタドライバの新バージョンは、プリンタのリダイレクトなどで多くの問題を引き起こす。プリンタとの互換性に問題があり、一部のプリンタは動かなくなってしまう。
余計な付属ソフトも頭の痛い問題だ。こうしたソフトは一掃したいところだが、新しいマシンが支給されたユーザーに話を聞くと、どのマシンにもユーザーが絶対使わないゲームがプリインストールされている。余計な付属ソフトを削除するには、事前にコンピュータで作業しなければならない。これは大変な手作業だ。(談)
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