従業員向けのベストプラクティスも紹介
いまさら聞けない「メールセキュリティ」の7大基礎技術
メールセキュリティプロトコルの導入から、フィッシング詐欺の危険に関するユーザー啓発まで、企業のメールセキュリティに関するさまざまなベストプラクティスを紹介する。
ビジネスメール詐欺(BEC)などメールを使った詐欺の被害が広がり続ける中、企業にはメールセキュリティにおける自社のベストプラクティス確立が求められている。メールセキュリティを向上させるために導入できる技術対策は数多く存在する。メールセキュリティの重要性についてエンドユーザーを啓発することも重要だ。
技術的ベストプラクティス
企業のメールセキュリティ対策は、それぞれの側面において以下のような技術や機能が利用できる。
- スパムメール対策やフィッシング攻撃対策
- スパムやフィッシング攻撃の疑いがあるメールを監視し、ふるいにかける
- メール送信用のプロトコル「Simple Mail Transfer Protocol」(SMTP)のセキュリティ対策
- 暗号化通信のプロトコル「Transport Layer Security」(TLS)を使うことにより、HTTPS通信によるWebトラフィックの暗号化と同じような形で、SMTP通信を暗号化できる(SMTPS:SMTP over SSL/TLS)
- ドメイン認証
- 「DomainKeys Identified Mail」(DKIM)はメールの送信に使われるドメイン認証技術で、メール詐欺に対抗できる。「Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance」(DMARC)という認証プロトコルと組み合わせて使う場合もある
- 電子署名
- 暗号化方式の一つである「Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions」(S/MIME)を使って署名されたメールでは、送信側と受信側の両方でメールのデジタル署名と認証ができる
- モニタリング
- ハッキングされたアカウントが送信したメールを検出して遮断できる
- フィルタリング
- 不正なコンテンツを含む可能性がある特定の種類の添付ファイルを遮断できる
- メールクライアントに実装されたセキュリティ技術
- 適切な設定により、悪質なメールのリスクを低減できる
これらの対策の中には、リスクが高いメールに印を付けるものもあれば、件名に変更を加えて外部から発信されたメールであることを知らせるものもある。
たとえ会社がメールセキュリティを万全にしているとしても、従業員がメールを使用する際は注意が必要だ。添付ファイルを開く、リンクをクリックする、メールの文面に基づいて金融取引を開始するといった行動を起こすことが適切かどうかについては、依然として受信者が判断しなければならない。
従業員のベストプラクティス
エンドユーザーにHTMLメールの使用を中止させることは合理性を欠く。たとえそれができたとしても、ハッキング済みのアカウントを通じたフィッシング攻撃は防止できない。エンドユーザーはメールに対して疑い深くなる必要がある。
従業員向けのメールセキュリティのベストプラクティスには以下のような対策が挙げられる。
- 不審なメールの送信元アドレスが、返信用のアドレスの表示と一致しているかどうかを確認する
- メールに記載されたURLが、正規のWebサイトにつながることを確認する
- 多額の送金を促す「ホエーリング攻撃」のように、潜在的に危険な行動を受信者に取らせようとするメールについては、電話や対面などメールよりも信頼度の高いコミュニケーション手段を通じ、正規の要求かどうかを確認する
メールのエチケットや利用について、あるいは会社が使っている対策技術について、従業員を対象とした研修を実施することも有効だ。企業はセキュリティ啓発プログラムの一環として、メールセキュリティのベストプラクティスを自ら確立しなければならない。たとえ社内から送信されたものであっても、怪しいメールの添付ファイルやリンクをクリックしないよう、エンドユーザーを訓練することから始める必要がある。
もう一つのベストプラクティスとして、送金を求める不審なメールが正規のものかどうか見極めることがある。メールのヘッダ情報を全て参照する方法をエンドユーザーに教えるか、少なくとも会社のヘルプデスクに調査を依頼するよう教育しておく対策も検討に値する。
メールにまつわるリスクは、他のデジタルコミュニケーションにも当てはまる場合がある。インスタントメッセージやソーシャルメディアなどのコミュニケーションチャネルは、個人攻撃の手段としても利用される可能性がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー