アンドリュー・ウン氏のAIプレイブック【後編】
「AI」の価値はどう測定すればよいのか?
GoogleとBaiduで人工知能(AI)開発を手掛けた第一人者が語る、企業のAI活用における6つのポイントを紹介する本連載。今回は残る3つの項目を紹介する。
人工知能(AI)テクノロジー開発の第一人者であるアンドリュー・ウン氏が、AI活用を進めたい企業に送るのが以下6つの推奨事項だ。
- ブレインストーミングから始める
- AIが新たな方法をもたらすことを理解する
- 少量のデータに備える
- 全社的な理解を得ることでAIパートナーシップを構築する
- AIの影響を測定する
- シンプルにする
前編「GoogleとBaiduで活躍した先駆者が語る、AI開発の正しい進め方」と中編「『AI』を少ないデータでも生かせる企業が勝ち残る」に続く後編となる今回は、残る4つ目から6つ目の推奨項目について紹介する。
4.全社的な理解を得ることでAIパートナーシップを構築する
多くの企業はAIの人材不足という問題に直面している。AIの基本をまとめたガイドを執筆することにした裏の理由には、AI人材不足が深刻化していることにある。特定のビジネス部門にAI開発がどのような価値をもたらすかを全社が明確に理解すれば、より多くのエンジニアが雇用されるようになると考えられる。「勤務先がAIを採用するようになるには、経営陣に『AI For Everyone』で学んでもらうことが最善策の一つだとエンジニアに伝えている」とウン氏は話す。AI For Everyoneは、同氏が開講した無料のコースプログラムだ。
5.AIの影響を測定する
オンライン広告の追跡は、感動的なAIの利用方法ではないものの、この分野ではAIの影響を簡単に評価できるとウン氏は語る。他のユースケースでAIの価値を評価するのは難しい。
企業は、さまざまなケースの指標を考えている。例えば、以下のような指標だ。
- AIを使用したコスト削減
- AIを使用した新しいビジネスサービスによる価値の創出
- AIを導入した事業単位における利益傾向の評価
ただし、このような重要なビジネス指標は簡単に追跡できないことを肝に銘じてほしい。例えば、AIがユーザーエクスペリエンスを向上させても、これを利益に結び付けるのは難しい。というのも、利益の変動には多くの要素が影響するためだ。
6.シンプルにする
量子コンピューティングや汎用人工知能(AGI)といった分野における最先端のAI研究の見通しについてウン氏は弱気な見解を示している。これらが実現するのは500年から50万年先のことになると同氏は予測しているためだ。その一方で、2020~2021年までにAIがビジネスへの影響を高められる機会は十分にあるとウン氏は考えている。そして、このような機会に力を注ぐことを決めている。「長期的で大きなAIの機会に勝る唯一のものは、短期的で大きなAIの機会だ。現在、このような機会はごまんとある」(ウン氏)
シリコンバレー以外の既存の業界が、ビジネスプロセスの効率化を図ることで、大きな経済的な利益を得るとウン氏は予測している。例えば、コーヒー会社は、SEO(検索エンジン最適化)対策ではなく、AI戦略を策定することによって多くの収益を得るだろう。
短期的には、どの企業も数名のエンジニアを抱えることで、10年計画の大規模プロジェクトではなく、小規模プロジェクトに取り掛かる方法を見つけるだろう。「このような取り組みは、企業がAIプロジェクトに取り組むことへの感触をつかんで、弾みをつけるのに役立つだろう」とウン氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
アンドリュー・ウン氏のAIプレイブック
企業が人工知能(AI)テクノロジーを正しく活用するには、どうすればよいのか。GoogleやBaiduでAI開発に携わってきた第一人者、アンドリュー・ウン氏が語る6つの推奨事項を確認しよう。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー