「AI」を少ないデータでも生かせる企業が勝ち残るアンドリュー・ウン氏のAIプレイブック【中編】

AI活用が失敗する理由とは何か。データ量が限られる中で、AIをどう活用すべきなのか――。GoogleとBaiduで人工知能(AI)開発を手掛けた第一人者が、企業のAI活用のポイントを解説する。

2019年07月16日 05時00分 公開
[George LawtonTechTarget]

関連キーワード

データ分析 | 機械学習


写真 アンドリュー・ウン氏《クリックで拡大》

 前編「GoogleとBaiduで活躍した先駆者が語る、AI開発の正しい進め方」で紹介したように、人工知能(AI)テクノロジー開発の第一人者であるアンドリュー・ウン氏は現在、さまざまな業界におけるAI活用を支援している。

 企業がAIを利用するまでには困難を伴う。それを乗り越えるためのウン氏からの推奨事項は、以下の6つだ。

  1. ブレインストーミングから始める
  2. AIが新たな方法をもたらすことを理解する
  3. 少量のデータに備える
  4. 全社的な理解を得ることでAIパートナーシップを構築する
  5. AIの影響を測定する
  6. シンプルにする

 今回は2つ目と3つ目の推奨項目について紹介する。

2.AIが新たな方法をもたらすことを理解する

 AIプレイブックを軌道に乗せる上で重要なもう一つのポイントは、AIがどのように失敗するかを理解することだ。機械学習が抱える課題の一つは、ワークフローが異なることである。そのため、AIの研究員は、プロジェクトの失敗につながるシステムの状況をビジネス部門に伝達する方法を見つけ出せずにいる。プロジェクトの失敗は、かなり重大な結果を招くこともある。誤診や墜落事故などがその例だ。

 メディアは、新しいAIシステムが、どのようにして人間よりも正確にX線を評価するのかといったトピックをいち早く取り上げる。だが、こうした報道では、「最新のX線装置」と「完璧な状態で撮影した画像」を使用することが条件になる点が抜け落ちてしまいがちだとウン氏は指摘する。旧型のX線装置を使用した場合やAIシステムのトレーニングに使用した画像とは異なるアングルで患者を撮影した場合、AIより医師の腕の方が確かだ。

 このようにして、新しいAIシステムは実世界で機能せずに終わることになる。その理由は、事業部門がこのような「境界」条件に対処する適切なプロセスを用意していないことにあるとウン氏は話す。従来のソフトウェアエンジニアリングは、このような問題に対処するために「アジャイル」「スクラム」「コードレビュー」といったプロセスを生み出してきた。AIの世界は、同等のプロセスを導入する最善の方法を模索している段階だ。

3.少量のデータに備える

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

約80%の企業でAIが定着していない? その理由と成功させるためのポイントとは

生成AIを活用して業務や顧客体験の再構築を進める動きが活性化しているが、その多くが、PoCやラボ環境の段階にとどまっている。なぜなら、生成AIの可能性を最大限に引き出すための、インフラのパフォーマンスが不十分だからだ。

市場調査・トレンド グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

ソフトウェア開発ライフサイクルにおける、生成AI活用のポイントを考察する

昨今のソフトウェア開発では、AIコーディングアシスタントの活用が主流になっている。しかし、最適なコーディングアシストツールは、開発者や企業によって異なるという。導入の際は、どのようなポイントに注意すればよいのか。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

データベースをモダナイズし、生成AIを最大限に活用する方法とは?

生成AIの活用にはデータベースが重要となるが、従来のデータベースは最新テクノロジーに対応できないなどの課題がある。本資料では、データベースをモダナイズし、生成AIを用いてビジネスイノベーションを生み出すための方法を探る。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索体験と結果の質をどう高める? ユーザーに喜ばれる検索体験を実現する方法

ビジネスにおいて、検索体験およびその結果の質の向上が重要なテーマとなっている。顧客はもちろん、自社の従業員に対しても、実用的な答えをより迅速に、手間なく入手できる環境の整備が求められている。

事例 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索の効率化からデータ活用まで、生成AIの業務組み込み事例5選

登場以来ビジネスへの活用方法が模索されてきた生成AI。近年では業務組み込みにおける具体的な成功例が数多く報告されている。本資料では、5件の生成AI活用事例を交えて、業務に組み込む上での具体的なアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...