第一線のIT幹部へのインタビューによると、2018年もAI(人工知能)プロジェクトへの大掛かりな投資は継続し、企業全体のAI戦略を構築する上でCIOは重要な役割を果たすことになりそうだ。
2018年、企業はAI(人工知能)活用をどう展望するだろうか。2018年の構想についてDBS Bank & Bradstreet、State Street、ボストン市などのIT幹部にインタビューしたところ、特に一致した意見は「AIプロジェクトへの投資は増えることはあっても減ることはないだろう」というものだ。これは、企業のAI導入への機運が依然として高いことを示している。
Gartnerの最近の調査がこのトレンドを裏付けている。同社によると、わずか2年ほどで85%のCIOが購入、開発および外注などの業務を組み合わせて、AIプロジェクトを試験的に実施することになるという。2018年、「誰がAIに投資し、誰が投資しないか」ではなく、「どの会社がAIの拡大に巧みに対応し、そのための効果的な戦略を取るか」という話題が人々の耳目を集めることになりそうだ。
Gartnerは、AI戦略の立案が2018年のCIOにとってハードルとなると見ている。「2018年の予測:人工知能編」という記事で同社は、企業のAIスキルや効果的なAI戦略を練る能力の欠如がCIOにとって厄介なジレンマとなると認識している。
このレポートは「AIの戦略的開発プランの策定に当たっては、人員の採用に関する難題も伴う。なぜなら、AIに精通した従業員や幹部がいれば、戦略の構築に積極的に取り組んでいる企業が恩恵を受けるからだ」と説明している。「こうした難題への取り組みを見れば、その企業が、AIを何に最適なものと捉え、どのように導入すれば良いかの理解しようと努めているのかが分かる」というのだ。
Dun & Bradstreetの主任データサイエンティスト、アンソニー・スクリフィグナノ氏は、2018年のAI戦略の構築においては、AI技術が企業間でどのように導入されるのか、誰がそれを決めるのかを理解することが主なポイントになると語る。「AIがさまざまなところで連携して使用されることを考えずにAIの未来を思い描くことはできない。これらのツールや機能は、企業のあらゆるところで利用されるようになってきているからだ」とスクリフィグナノ氏は言う。
ここで、2018年に実施するプランを持っているIT幹部3人を紹介しよう。
ボストン市のCIOであるヤッシャ・フランクリン・ホッジ氏にとっての2018年のAI戦略は、AIが市の職員や有権者のために何ができるかを見極めることだ。その目的は、人員を削減する方法を見つけるといったことよりも、むしろAIを「人間には不可能なことを成し遂げる超人を生み出すための」ツールとして使用することにある。
フランクリン・ホッジ氏のITチームは、機械学習を使用して市民向けコールセンターに外部から掛かってくる電話を分類するなど、業務のプロセスを自動化している。このチームは、どのようにAIを使えば深刻な都市問題が処理できるか試行錯誤している。例えば、ドラッグ乱用者のグループの中から、市の調査に最も反応しやすい人物を特定したり、食の安全に対する違反が最も起こりやすい場所を特定したり、交通事故が起こりやすい場所や時間を予測したりする。これらのAIプロジェクトは、市の職員が自分の業務を計画する上で使用できるデータを生成する。
「最終的な目標は、AIが『この市は交差点だらけで複雑だ』と言えるようになることだ。傷害などの問題が起こる危険性が最も高い場所をより高い精度で把握して、市として効果的に介入する地点を見つけるためにどうすればいいか考えている」とフランクリン・ホッジ氏は言う。
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