人工知能(AI)が製造システムに導入されるようになっている。その代表例がプリント回路メーカーのJabilだ。同社ではAIを利用して社内の製造工程と製品品質を改善している。
多くの業界に人工知能(AI)が浸透してきている。製造工程も同様で、業務効率と製品品質の向上にAIを役立てている。
世界最大級の委託製造業者Jabilは、AIや機械学習といった有望な次世代テクノロジーの機能をテストしている。同社は50年前に回路基板組み立て企業として創業し、本稿執筆時点では全世界に100を超える工場を構える。同社は世界でも著名な一部のブランド向けに、製品や部品を製造している。Jabilのデジタルエンジニアリングおよびテクノロジーサービス部門のバイスプレジデントを務めるダン・ガモタ氏によると、同社は2、3年前から従来の製造システムにAIを組み込んでいるという。同氏は、製造工程にAIを導入するという同社計画の立役者の1人だ。
「AIは、当社が全製品のライフサイクル管理を通じて実施している全工程の中で重要な要素になっている。その点からも、AIは1つのデジタル構成要素として至るところで使われるようになると考えている。当社では通常、AIを4つの用途に分類している。意思決定管理用、画像分析用、動画分析用、RPA(ロボットによる業務の自動化)用の4つだ。また、着手したばかりだが、機械学習プラットフォームも幾つかある」(ガモタ氏)
AIが登場してからそれなりの時が経過している。その間に、コンピュータシステムが小型化され、インフラコストが低下し、コンピュータの速度が上がった。こうしたことが重なって、製造システム向けのデータ分析機能が大幅に向上しているとガモタ氏は言う。「この機能は当社にとって重要だ。当社は常に問題を抱え、こうした一連の問題が大きく、複雑になり続けているためだ。そこで適切な解決策をできるだけ早く用意するために、この機能が鍵になる。解決策を編み出すにはコストがかかる。だが現在のデジタル改革によって、こうしたことが可能になる」
Jabilのガモタ氏を始めとする関係者は、製造工程のAIを数年にわたって監視してきた。だがエラーに対処する余裕がないため、AIを同社の工場に導入することには非常に慎重だ。AIに適切なプラットフォームを利用していること、さらにはAIが初日から明確なメリットを提供することを確認する必要がある。そのためJabilでは注意深く監視される一部のユースケースにしかAIを導入していない。こうした手順は成果が出始めたばかりだとガモタ氏は報告している。
Jabilでは、光学モジュールを積み重ねて非常に小さな部品を組み立てるケースがある。各モジュールには5つの異なる部品があり、これらの部品を厳密な許容誤差内で組み合わせる必要がある。AIは部品を精密に配置するツールに組み込まれている。このツールは、パフォーマンス要件を満たした精密さと許容誤差で各部品の配置方法を決定する。
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