先行事例に見る「SD-WAN」の導入成果【後編】
歯科支援企業が「SD-WAN」導入に踏み切った理由
ネットワークトラフィック増大に直面した歯科医院支援企業Pacific Dental Servicesが、解決策として注目したのが「SD-WAN」だった。同社はSD-WANで、この課題にどう対処したのか。
中編「急成長のバイオテクノロジー企業が『SD-WAN』を必要とした理由」では、バイオテクノロジー企業のBioIVTが、「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)を導入して新しい事業所のネットワークを短期間で構築した事例を紹介した。後編はネットワークトラフィックの増加という事態にSD-WANの導入で対処した事例や、SD-WANを導入する際の注意点を紹介する。
歯科医院向けの支援サービスを提供するPacific Dental Servicesは、ネットワーク老朽化の問題を抱えていた。カリフォルニア州アーバインを拠点とする同社は、スイッチング(トラフィックの中継・転送)技術のMPLS(マルチプロトコルレベルスイッチング)をベースとするネットワークを介して単一のデータセンターに接続するという、典型的なレガシーネットワークを運用していた。「ビジネスの成功のために、最新のネットワークを導入しなければならない時期に差し掛かっていた」。同社のインフラ部門でディレクターを務めるリッチ・ブラウンリー氏はそう語る。
Pacific Dental Servicesはオンプレミスのデータセンターに見切りを付けて、クラウドへ移行した。そして同社が支援サービスを提供する歯科医院に、遠隔治療、ビデオ会議、3次元(3D)パノラマX線装置を導入した。これらの最新技術は申し分のない機能を備えていたが、ネットワークの通信容量をこれまでの4倍に増やす必要が生じた。このトラフィック増に対処するためにMPLSを増強するには、高額の費用が必要だった。ブラウンリー氏は「古いネットワークでは不十分だということに気付いた」と言う。
ネットワークトラフィック増にSD-WANで対処
この課題に対処するにはSD-WANが適切だった。Pacific Dental ServicesはVeloCloud Networks(現在はVMwareの一部門)が提供するSD-WANサービスを導入した。
Pacific Dental Servicesは現在、SD-WANのアプライアンスを設置し、歯科医院から発信するネットワーク接続に複数のパス(経路)を利用できるようにした。つまり同社のネットワークは、単一のベンダーや回線の種類に依存しない。これによってネットワーク障害が発生したとしても、その影響を最小限に食い止めることができる。対象となるネットワークには無線ネットワークとVoIP(Voice over Internet Protocol)接続も含まれる。
SD-WANに関するIT専門家のアドバイス
SD-WANの導入を検討している企業に向けて、各社のIT部門のディレクターが語ったアドバイスを下記にまとめた。
- 概念実証(PoC)は非常に有益である
- ネットワークチームは変化にしり込みする可能性がある。新しいテクノロジーを使ってネットワーク担当者を“何でも屋”に成長させるとよい
- SD-WANベンダーによってはIT部門のスキル習得を支援してくれる
- ネットワークチームが小規模な場合、SD-WANベンダーへの依存度が高くなるのは避けられない
- 古いネットワークサービスをSD-WANと銘打っているベンダーには注意が必要になる
- 自社が重視していることと、ベンダーが販売しようとしている製品やサービスを比較して製品を吟味することが重要になる
- SD-WANに切り替えることで失う要素も考慮する
- 導入前に、プロジェクトの成否を測定するコストなどの基準と、ベンチマークを確立する
- 自社の事業戦略に対してSD-WANがどのように成長に関わるのかを理解することが重要になる
- 自社の経営陣を相手にするときは、あまりテクノロジーの詳細に深入りしないように話を展開することが重要になる
- 現状のネットワークが問題なく稼働している場合は、SD-WANが必要な理由を改めて整理する
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先行事例に見る「SD-WAN」の導入成果
SD-WANの機能はテクノロジーの進化とともに変わり続けている。実際にSD-WANを導入した企業の事例を取り上げ、SD-WANによるネットワーク構築の利点を紹介する。
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