「クラウドDR」の基礎用語【前編】
「クラウドDR」4大基礎用語 クラウドバックアップやDRaaSとの違いは?
クラウドベースの災害復旧(DR)の計画を立てる予定があるなら、まずは「クラウドDR」の基本を理解する必要がある。知っておくべきクラウドDRの基礎用語をおさらいする。
災害復旧(DR)の取り組みを進める企業にとって、DRに関する機能をクラウドサービスとして提供する「クラウドDR」の導入は、ある程度の安心感につながる。ただし確立済みのDR構成がある企業は、クラウドDRを取り入れることで新たな厄介ごとを呼び込むことになると感じる可能性がある。
クラウドベンダーがDR関連サービスを提供するのには理由がある。主な理由は、DRに関するコスト抑制の手段として、クラウドが有効だからだ。一般的にDRの取り組みには高いコストが掛かる可能性がある。計画を整えなければ、そのコストはさらに膨れ上がることになる。クラウドは、バックアップとリカバリーの目的にとって利用しやすい手段で、料金も手頃だ。ニーズに合わせたカスタマイズもできる。昔のクラウドにはセキュリティの懸念があったが、今はその安全性を評価する声が目立つ。
クラウドDRの重要な側面は、データを外部ベンダーに委ねることにある。そうすることで負担やコストは幾分軽くなる。だが一方で、細則を読むことが重要な要件になる。データは安全か。クラウド保険とはどのようなものか。なぜそれが必要なのか。これらの点を把握することは欠かせない。このような基礎をまず理解するための、一般的なクラウドDR用語を詳しく解説する。クラウドDRを詳しく調査するときに参考になるはずだ。
併せて読みたいお薦め記事
クラウドを活用したバックアップ
「うちのバックアップは完璧です」という企業がはまるワナ
クラウドDR
最近はデータのコピーをクラウド環境に保存するクラウドDRが人気を集めている。コストと容量の調整が柔軟にできるため、従来型のDR構成に多額のコストを費やしたくない小規模企業にとって、特に優れた選択肢になる。ハードウェアやデータセンター、人員に割くべきコストとスペースを抑えられるためだ。既にDR戦略を確立している、比較的規模が大きい企業でも、クラウドDRはちょっとしたセーフティネットになり得る。データセンターが位置する地域に、自然災害などの脅威が発生しても、クラウドベンダーが同じ災害地域に拠点を置いていない限り、復旧への影響を最小限に抑えられる。
クラウドDRを利用していても、完全に信頼する形で利用しているわけではない企業もある。特にミッションクリティカルなファイルについてはそうだ。とはいえ、ハイブリッドクラウドDRは効果が高く、コスト効率も優れている。
クラウドバックアップ
「クラウドバックアップ」はクラウドDRと同義語ではない。ただし関連はある。クラウドバックアップは、データのコピーをオフサイト(遠隔地のデータセンター)に送ると同時に、そうしたデータを長期にわたって安全かつアクセス可能な状態に保つことを目的とする。クラウドDRは予期せぬ事故や障害への備えに役立つ。適切なDRには、プライマリーサイト(本番環境が稼働するデータセンター)へのフェイルバックプロセスを含めることが欠かせない。
クラウドDRを使うことを計画している企業は、災害に見舞われる前にクラウドバックアップ戦略を導入することが最優先事項になる。
Disaster Recovery as a Service(DRaaS)
「Disaster Recovery as a Service」(DRaaS)という用語は、クラウドDRと区別なく使われることが一般的だ。DRaaSとは、サードパーティーのサービスベンダーがデータのレプリケーションとホスティングをすることを指す。災害時にはDRaaSベンダーがユーザー企業のDR計画を実施し、ユーザー企業が所有するデータセンターが危機にさらされている場合でも、完全に機能が停止しないようにする。サービスレベル契約(SLA)で定められた条件によっては、災害時にDRaaSベンダーが独自のテストを実施し、顧客を支援する場合もある。
DRaaSを使用する主なデメリットは、主なメリットに似ている。つまり復旧プロセスをサードパーティーに委ねることにある。データを別の企業に預けることには常にリスクが付きまとう。そのため、DRaaSの使用に伴うメリットとデメリットの評価は、それぞれのユーザー企業によって異なる。
DR計画
クラウドDRのユーザー企業は、災害発生前に実施する全ての評価と分析、テストにクラウドを含める必要がある。クラウドDRを利用することでもたらされる一連の固有のリスクを計算し、リスク評価の際にはクラウドの使用を考慮に入れるべきだ。
ビジネスへのインパクト分析を実行する場合、クラウドDRはシステムの復旧時間や継続性に直接影響する。クラウドはセキュリティが懸念事項になることがいまだにあるため、テスト時にはこの点を必ず監視する必要がある。
災害発生後には、DR計画がどのように機能したか、どのような点を変更する必要があるかを評価することが重要になる。こうした評価においては、クラウドDRのパフォーマンスを調査する。例えばダウンタイム(システム停止時間)やフェイルオーバー/フェイルバックの成否、データのセキュリティと可用性などが調査対象だ。問題がある場合は自社のDRチームとクラウドベンダーが連携して対処する。
後編では、クラウドDR市場を見回すときに目にするだろう用語や、DRに適したクラウドベンダー選びを左右する用語を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「クラウドDR」の基礎用語
クラウドサービスを利用して災害復旧(DR)の計画を立てるには、まず複雑な専門用語を正しく理解しなければならない。計画策定とベンダー選びの際に必ず目にすることになる用語を解説する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー