コミュニケーションツールが抱える生産性の課題も整理
Slackから「Hangouts Chat」へ移るべき人、Slackのままでよい人を分ける条件
Googleはコミュニケーションサービス群を充実させることで、「Slack」との差異化を図る。同社の「Gmail」と「Hangouts Chat」の製品管理ディレクターと調査会社のアナリストに、Hangouts Chatの現状と展望を聞いた。
Googleがメールサービス「Gmail」のユーザー向けに、ビデオコミュニケーション機能「Hangouts」を提供し始めたのは2013年5月だ。同年8月に、Slack Technologiesはコミュニケーションサービス「Slack」の正式提供を開始した。それから数年がたち、新興コミュニケーションツールが登場し続けている。2018年には、GoogleはSlackと直接競合する「Hangouts Chat」を披露した。
Slackは誕生以来、ソフトウェアエンジニアなど新しもの好きの熱心なファン層に採用され、目覚ましい成長を見せてきた。セキュリティや検索といったエンタープライズ向けの機能を充実させてきた。ユーザー企業にはFox、Intuit、Targetといった大手企業が名を連ねる。
「Hangouts ChatとSlackは、ちょっとした連絡の域を越え、特定の目標に向けた常設チームルームのようなものへと発展している」。Googleで「Gmail」とHangouts Chatの製品管理ディレクターを務める、ジェイコブ・バンク氏はそう語る。
「メールは素晴らしいコミュニケーションツールだ。私はこれがいずれなくなるとは思わない」とバンク氏は語る。GoogleはGmailをはじめとした幅広いコミュニケーションサービスの選択肢を提供することにより、Slackとの差異化を図っている。「メールは長い文面と形式を重んじるコミュニケーションができるのが特徴で、世界中にいる、初対面の相手とも連絡を取ることができる。一方でチャットは、リアルタイムで手っ取り早く、形式にとらわれない」(同氏)
Hangouts Chatはチーム連携の強化でSlackと差異化
Slackは、特定のメンバーのみが参加可能なチャンネル(仮想的な会議室)である「プライベートチャンネル」を備える。GoogleのHangouts Chatも同様に、個人的な会話のための機能を提供する。更にバンク氏は、Googleのサービスの一つである「Googleグループ」を例に挙げ「あるプロジェクトのベストプラクティスや問題点に関する膨大なナレッジベースを構築でき、一つのコミュニケーション手段として運用できる」と話す。
コミュニケーションサービス群を含むGoogleのオンラインオフィススイート「G Suite」の方がSlackより有利だと想定できるのは、チームで協力してプレゼンテーション資料を作成するような場合だとバンク氏は言う。例えば「Googleドライブ」や「Googleドキュメント」「Googleスライド」といったGoogleのサービスを利用すれば、チャットを利用して遠隔でコミュニケーションを取りながら、チームメンバー同士でプレゼンテーション資料を作成できる。「これがG Suiteのメリットであり、われわれは目標指向のグループに重点を置いている」
一方でSlackもGmailやMicrosoftのオフィススイート「Office 365」などと連携でき、他のサービスから孤立させなくても運用できる点は特筆する必要がある。
Slackが依然Hangouts Chatをリード
それでもHangouts ChatはSlackのようには弾みがついていない。調査会社Creative Strategiesのアナリスト、ベン・バジャリン氏は言う。「Slackや『Microsoft Teams』と比べると、Hangouts Chatを使っている人はそれほどいない」
Microsoftは2019年7月 、Microsoft Teamsの1日のユーザーが1300万人に上ったと発表した。 Slack Technologiesは2019年1月の時点で、Slackの1日のユーザーは1000万人以上と報告していた。
バジャリン氏によると、Slackの人気の理由はユーザーエクスペリエンス(UX)が優れていて管理がしやすく、他のユーザーを簡単に招待できる点にある。「私は8つの異なるSlackチャンネルを別々の取引先用に使っている。自社用のチャンネルも1つある。TeamsやHangouts Chatでは、Slackのような形で複数の会話やスレッドを管理することが難しい」と同氏は言う。
イノベーションを目指すGoogle、コミュニケーション過多を解決するには
Googleはイノベーションと手持ちの資産の活用を続けている。メールは依然として同社のコミュニケーションサービス群の重要な一部だとバンク氏は話す。「もし何もかもがメールからリアルタイムチャットに切り替われば、手に負えなくなるだろう。30件の会話にリアルタイムで対応することは不可能だ」(同氏)。同社はGmailやHangouts Chatと連携できるユニファイドコミュニケーション(UC)の仕組みを構築することで、適切なコミュニケーション手段の選択を支援したい考えだ。
一方のSlack Technologiesは、メールなど既存のコミュニケーションシステムと連携させる必要性は認識しているものの、単独のサービスで十分やっていけると考えている。「Slackユーザーはチャンネルを活用して、メールよりもいい働き方ができると気付いている」。同社のセキュリティ製品マネジャー、マット・マレン氏はこう語る。チャンネルはチームやプロジェクト、トピックごとに用意でき、会話だけでなく日々の働く場にもなる。
短いメッセージやチャットによるコミュニケーションはメリットがある一方で、やりとりされるメッセージの量が多過ぎて、生産性の低下を引き起こすこともある。Googleは生産性の邪魔になる要素を減らす方法を探るために投資している。Gmailでは、エンドユーザーが通知をコントロールできるようにすることに力を入れてきた。
Googleは通知を出すべきメッセージかどうか見極める取り組みに「相当の力を入れている」とバンク氏は説明する。「職場の火災を知らせる緊急メッセージであれば、それについては通知が欲しいと思うはずだ」
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