トレーニング不足や料金見積もりの失敗など
オンプレミスから「クラウドデータベース」への移行を失敗させる10大ミス
データベース管理システムをオンプレミスからクラウドへ移行するときに、IT部門が犯しがちなミスがある。移行の失敗につながりかねない、主要な10個のミスを紹介する。
より高速かつスケーラブルに導入でき、運用コストが低いデータベース管理システムを求めて、クラウドに目を向ける企業は少なくない。クラウド形式のデータベース管理システム(以下、クラウドデータベース)の選択肢も充実している。
データベース管理システムを初めてクラウドに移行するときには、勘違いや見過ごしといったミスを起こしがちだ。ただしクラウドへの移行経験が何度もある企業も、こうしたミスの影響を受ける可能性がある。
クラウドへの移行時に犯しやすい10個のミス
データベース管理システムをオンプレミスからクラウドへ移行する場合、早い段階で問題を特定して対処することが重要だ。そうすれば問題の影響を最小限に抑えることができ、新しいデータベースシステムの稼働時に想定外の問題が起きにくくなる。本稿は、ITチームがクラウドデータベースへの移行時に犯しやすいミスのトップ10を紹介する。
1.クラウドデータベースへの移行とサポートコストの過小評価
クラウドデータベースを新たに導入するということは、新しいアーキテクチャを導入するということだ。自社システムの構築やアクセス、管理、監視、保護の方法を変えるような、大きな影響力がある。移行コストにはトレーニングとドキュメントの作成、組織の変化に伴うコストも織り込む必要がある。コスト管理については「4.ベンダーの課金体系への理解不足」も確認していただきたい。
2.組織の役割変化の過小評価
移行によって既存のスタッフには新たな任務が生まれ、クラウドデータベースを管理するための新たな役職を設けなければならない組織もある。クラウドデータベースはオンプレミスのデータベース管理システムと仕組みが大きく異なる。そのため新しい変更管理プロセスの策定と、サポートドキュメントの更新が必要だ。こうした作業にかかる時間は、自社が変更管理プロセスやドキュメント、監査の要件を、どの程度厳密に定める必要があるかに左右される。
3.社内トレーニングの不足
管理者は、クラウドデータベースのプロビジョニング(利用可能な状態にすること)や管理、監視、回復などの方法を学ぶ必要がある。こうした管理業務の基本的な役割が、全てのデータベース管理システムで共通していても、管理者はそれぞれ異なるユーティリティーやコマンドの使用が求められる。
4.ベンダーの課金体系への理解不足
クラウドデータベースのインフラは所有するものではなく、利用するものだ。クラウドインフラの利用料金は、ベンダーや仮想マシンの構成、扱うデータ量によって異なる。課金体系もベンダーによってさまざまだ。複雑な料金モデルを採用するベンダーもある。利用料金を正確に見積もるには、各ベンダーが定めるコスト計算の基準を理解することが不可欠だ。
5.仮想マシンのリソース設定が不適切
クラウドデータベースへの移行を始める前に、管理者はオンプレミスのデータベース管理システムのリソース使用量を測定して、仮想マシンのリソース構成と月額使用料を見積もる必要がある。設定すべきリソースには、CPUやメモリ、ディスクストレージ、I/O、データ転送量などがある。
6.従来使用していたデータベース管理システムの機能との不一致
オンプレミスのデータベース管理システムの機能と、移行先のクラウドデータベースの機能は大きく違う可能性がある。ベンダーによってはオンプレミスのデータベース管理システムとクラウドデータベースの機能の比較表を用意している。こうした表を基に、2つのデータベース管理システムにある機能の違いを特定する。機能の不一致の中には、解決し難いものがあることに注意が必要だ。
7.普段使用しているシステムが機能するかどうかの確認不足
クラウドデータベースにアクセスするには、社内で使用しているシステムの変更が必要になることがある。最初から新しいシステムで機能するように設計された代替のデータベース管理システムを探した方が、既存システムを変更するよりもコストを抑えられる可能性がある。
8.クラウドデータベースの孤立
データベース管理システムが他のシステムとどのように相互作用するかを把握していないミスは起こりがちだ。システム間の連携について、以下の観点から再確認した方がよい。
- 日常業務では、オンプレミスのデータベース管理システムとクラウドデータベースの間でどのようなデータを転送する必要があるか。
- クラウドデータベースとオンプレミスのデータベース管理システムを連携させるのかどうか。
データの伝送時間に厳しい制約がある場合は、オンプレミスとクラウドとの間で大量のデータをやりとりするのは難しい。
9.クラウドサービスのコンプライアンスが不十分
クラウドサービスは、基盤となるアーキテクチャをユーザー企業に公開していないことが少なくない。そのためIT利用に法規制の要件がある組織は、クラウドサービスが要件を満たしていることを十分に証明できないことがある。こうした証明を求めるのは、企業の監査部門だ。移行計画には、コンプライアンスにのっとっていることを証明するために必要な項目について、監査部門との協議を含める必要がある。
10.テスト計画と移行計画の策定が不適切
ここまで話題にしてきたように、クラウドデータベースへの移行には、検討すべき要素がたくさんある。全ての新しいアーキテクチャへの移行と同様、移行のチェックリストは細部まで入念に計画しなければならない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー