Oracleは顧客を「Oracle Cloud」へ移行させるための取り組みに、自社のデータベース製品を活用している。その戦略が成功する可能性はあるのか。
Oracleの最近のクラウド戦略は困難な状況にある。製品開発部門のトーマス・クリアン氏がGoogleのクラウド部門の責任者として移籍、さらにIaaS(Infrastructure as a service)製品「Oracle Cloud」の成熟度に関してはネガティブな意見も出ている。こうした状況において、OracleがパブリッククラウドベンダーとしてAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftに並ぶことは難しい、といった意見が聞かれる。
しかしこの見方をそのまま受け入れてはならない。Oracleがパブリッククラウドベンダーとして一流になる力に疑いはなく、ベンダー間の「クラウド戦争」に勝利したとしても驚くことはない。Oracleの前CEO(最高経営責任者)で現CTO(最高技術責任者)のラリー・エリソン氏が、2008年に「クラウド」という考え方をからかったことに始まり、Oracleはこれまでクラウドに関して困難な戦いを続けてきた。とはいえ、成功する可能性がある独自のクラウド戦略をOracleは掲げている。
サーバ、ネットワーク、セキュリティ、可用性といったクラウドの特性において、Oracleがパブリッククラウドベンダーの中で際立って最高水準にあるとはいえない。Oracleのハードウェアは汎用(はんよう)品をベースにしており、ネットワーク機能は他のパブリッククラウドベンダーが提供するものと同等レベルだ。可用性とセキュリティ機能においてはOracleもOracle以外のパブリッククラウドベンダーも等しく高水準だ。
Oracleのクラウド戦略の狙いを理解するには、Oracleが得意とする分野を理解する必要がある。Oracleが最も得意とするのはデータベース製品で、それが事業の根幹にある。Oracleがクラウド戦争に勝利するための武器は、まさにそのデータベースにある。
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