パブリッククラウド市場シェアはAmazon Web Services、Microsoft、Googleといった大手ベンダーが占める。だがそれ以外の企業も逆転のチャンスは残されているという。
真の競争力を持つパブリッククラウド事業者の顔触れは、まだ完全には固まっていない。だが野心を持つ企業がその顔触れに加わるためには、先行企業に比べてかなり大きな優位性を持つ必要がある。
Amazon Web Services(AWS)とMicrosoftは、拡大を続ける「ハイパースケール」と呼ばれる規模のパブリッククラウドベンダー2大勢力である。両社のサービスはITの新しい分野にまで広がりを見せており、Googleもこの分野に参画している。だが、それ以外のベンダーとなると途端に数が少なくなる。何年間もパブリッククラウドとプライベートクラウド大手ベンダーたちが激しい浮き沈みを繰り返した。その中で生き残り、世界規模での競争に挑むことができている企業は一握りだ。
業界関係者は、限られた少数の企業には、今からでもAWSに挑戦する余地があると見ている。だが残された時間は少ない。では、どの企業が一流のスタープレイヤーになれるのか。レガシーベンダーのIBMやOracleには、当然ながら可能性があるが、それぞれの長所と短所がある。一部の新興ベンダーもこうした勢力に加わりたい意向だ。ハイパースケールのクラウドベンダーの“まね”ではない、他の手段で生き残る道が見つかるかもしれない。
中国のクラウドベンダー大手Alibaba Cloud(以下、Alibaba)は業界のダースホースとも呼べる存在で、売上高はAWSなどの最大手には程遠いものの、この数年の間に著しく成長した。同社は2009年に開設し、世界16地域にまたがって100万以上の顧客を抱える。特に自国である中国では強力な地盤を築き、2016年11月には欧州に初のリージョンを開設した。
IT専門調査会社であるIDCのアナリスト、フランク・ジェンス氏によると、純粋にインフラのみで判断した場合、AlibabaはIDCのクラウドベンダーランキングで4位に位置する。Alibabaはまだ北米では競合を脅かす存在にはなっていないが、サービスを向上し、高水準のサービスを実現すれば、大手にとって脅威になる可能性はある。
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