インスタンス、データベース、AIなど
AWS、Azure比較の仕方 クラウド選定で確認すべき評価ポイント
クラウドベンダー候補を評価する場合、各ベンダーがインスタンスの種類をどの程度の範囲で提供するかだけでなく、新しい技術やデータベース機能などのサポートも調査する必要がある。
パブリッククラウドのIaaS(Infrastructure as a Service)選定は簡単に思えるかもしれない。だが急いで採用するものではないことも確かだ。
IaaSの機能評価には留意すべきことがある。それは、必要に応じてインスタンスをサイジングし、ストレージ機能を追加して、環境を拡張できる柔軟性が得られるかどうかだ。つまり、さまざまな構成を試して、自社のワークロードにとって最も性能が高く、コスト効率に優れた構成を見極めることが重要になる。IaaSにとって最も重要なのは、こうしたさまざまな構成に対応できることだ。
IaaSの性能は、サーバ、ストレージ、ネットワークに加え、それぞれの機能を支える各種ソフトウェアの組み合わせによってかなり変わってくる。企業は機械学習のような新しい技術の機能についてもベンダー候補を評価しなければならない。また、ハイブリッドクラウドや他の複数の要素をサポートできるかどうかも評価すべきだ。
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ハイブリッド/プライベートクラウド構築で選ぶなら
インスタンスの機能と性能
仕様上同等に見えるIaaSのインスタンスでも、実性能は異なることがある。これはささいな問題ではない。起動時間が遅くなることや、インスタンスの追加が必要になることがあるためだ。こうしたことは全てコストの大幅な増加につながる。
このような差が生じる原因は、アプリケーション構成にもある。そのため各クラウドベンダーから汎用的なベンチマークを入手することは難しい。代わりに全てのクラウド候補に対し、自社の一連のジョブについて社内でベンチマークの実行が必要になる。その結果がほとんど変わらない場合は、下記で説明する他の幾つかの基準に基づきクラウドプラットフォームを選ぶことになる。結果に差が生じる場合は、インスタンスの性能を重要な要素として選ぶべきだろう。だが注意すべきことがある。1社のクラウドベンダーがさまざまな種類のインスタンスを提供しているため、その性能を競合ベンダーと比較すると、多様な結果の対比となる可能性がある。従って、この作業は少し複雑になる。
ストレージの要件とデータアクセスのコストに加えてインスタンスコストも調査し、総所有コストを分析する必要がある。ワークロードが集中的に発生する場合は、基本とするインスタンス数を決め、それらを長期利用するインスタンスとして設定する。こうすることで、コストが削減されるはずだ。また、ワークロードのピークに対処するために短期利用するインスタンスも選ぶ。これにより、ベンダーのオーケストレーションAPIを通じて、需要の変化に合わせてインスタンスの追加や削減が可能になる。
使い勝手に関する潜在的な問題、管理用ダッシュボードやインタフェースの品質について洞察を得るには、サンドボックスを使用する。このような問題や品質は、エラー率を最小限に抑えて効率的な制御を確保する上で大きな差となる。
さらに、コンテナを採用する予定であれば、ベンダーのコンテナサポートサービスも評価することになる。コンテナのサポートはベンダーによって異なり、常に進化しているためだ。
企業によっては、これまで築き上げてきたベンダーとの関係があることで、クラウドベンダーの選択肢が限られることもある。既にバックアップストレージサービス用にクラウドサービスを利用している場合は、その関係性を基礎に事を進めるのが合理的だろう。管理ツールはクラウドごとに固有になる傾向が高いが、これまでの関係性から使いなれた管理ツールは利用し続けたいところだ。
業界別市場のサポート
市場には業界ごとにIaaSに対する特定の要件がある。例えば政府機関の場合、国ごとや、場合によっては行政のレベルごとに細分化された固有のニーズがある。このような政府機関では、優れた物理アクセス制御など、非常に高いレベルのセキュリティが要求される。また、従来のCOBOLベースのツールをクラウドへ移行することを重視する場合もある。政府機関に力を入れているクラウドベンダーにはCenturyLink、Carahsoft、CDWなどがある。また、他の多くのベンダーが実質的に、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」のサービスを政府機関に再販している。
医療機関にも特有のセキュリティニーズがあり、医療業界が直面するIT課題についての知識を備えたクラウドベンダーが必要とされる。特に「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令」(HIPAA)の順守と、そのセキュリティおよびデータライフサイクル管理の要件に関する知識が求められる。
新しい技術のサポート
企業がハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)をオンプレミスに実装しても、リソースの多くは十分に活用されていない。クラウドサービスなら、企業はHPC機能を導入しながら、必要に応じてその規模を拡大縮小できる。これにより、ほとんどの研究者がHPCを利用できるようになり、職務を経済的かつ迅速に実行できるようになる。
また、人工知能(AI)や機械学習の市場が急拡大を続けている。上位クラウドベンダーは、こうしたテクノロジーをサポートしている。例えばGoogleは処理を高速化する特別なインスタンスを用意しており、IBMには「IBM Watson」がある。
AI、機械学習、HPC用のインスタンスを評価する場合は、ソフトウェアの選択肢と特定のユースケースに細心の注意を払わなければならない。例えばアプリケーションによっては、特定のGPU構成や最小サイズのFGPA(Field Programmable Gate Array)を必要とする場合がある。
データベースとビッグデータ分析
クラウドデータベースは、多様な地域で利用できる機能が必要である。1つのアベイラビリティゾーンでダウンタイムが発生しても、数日間データが利用できなくなるという事態を避けるためだ。高いデータベース性能を求めるなら、ダイナミックRAM(DRAM)を大量に搭載した大型インスタンスを探すことが重要だ。主流データベースソフトウェアベンダーは、インスタンス構成について多くの支援をしている。ただ、こうしたベンダーは自社のクラウドプラットフォームに誘導しようとする場合があるため注意が必要だ。
一般的に、大手クラウドベンダーはいずれもビッグデータ分析を強力にサポートしている。データベースシステムや非構造化ファイルシステムなど、クラウドベンダーが提供するツールセットを使うことで、社内の取り組みを支援できる。また、処理を高速化するために、大型インメモリインスタンスと適切に統合されたデータベースも提供している。こうした大きめのインスタンスには、高速SSDによるローカルインスタンスのストレージ機能も付属する。並列処理にはGPUインスタンスも役に立つ。
ビッグデータをIoT(モノのインターネット)から取得している場合は、データの流れに後れを取らないストリーミングデータサポートを用意しているクラウドベンダーを探すべきだ。その場合、そのストリーミングデータサービスが自社のソフトウェアと簡単に統合できるかどうかを確認しておく必要がある。
Webサービスとメディア配信
Webサービスは小型のインスタンスで最適に処理できる。つまりDRAMが少なく、CPUコアを一部だけ使用するインスタンスだ。HDDローカルインスタンスメモリについては、ページの静止画像のサイズに応じて若干必要な場合もあれば、全く必要のない場合もある。Webサービス用のクラウドベンダーを評価する場合は安価なインスタンスを探すべきだ。そのインスタンスで他のインスタンスをレプリケートし、同じジョブを実行する。負荷の急増に対処するには、全く同じインスタンスを上乗せで追加する。その後、負荷が低下したら、それに合わせてインスタンス数も減らす。この場合も、基本とするインスタンスのセットを長期契約し、負荷のピークに対応する当座のインスタンスを採用すると役に立つ可能性がある。そのため、このような価格モデルを提供し、分単位や秒単位でもインスタンスを利用できるクラウドサービスを選択するのが適切だろう。クラウドでWebサービスを提供する1つのメリットは、各インスタントをすぐに利用可能なクローンとして使えることだ。それにより、オンプレミスハードウェアよりも大幅に高いアジリティー(敏しょう性)が実現する。
メディア配信でも小型インスタンスを多数採用することは理にかなっている。需要が安定しないためだ。ただし配信用アプリケーションがマルチスレッドで効率的にストリーミングするように設計されている場合は、大型インスタンスを使用する方が経済的な場合がある。少なくとも、トラフィック量が非常に多いコンテンツオブジェクトではそうなるだろう。大型インスタンスの制約となる要因には、ネットワーク帯域幅が考えられる。そのため、帯域幅に余裕のあるインスタンスを提供しているクラウドサービスを利用するのが適切だ。
メディア配信において軽視されている1つの領域に障害の検出がある。残念ながら、クラウドサービスのオーケストレーション機能は、障害が発生したインスタンスを素早く検出することには特に優れていない。
ハイブリッドクラウドのサポート
ハイブリッドクラウドを導入する見込みがある企業にとっては、オンプレミスのプライベートクラウドとパブリッククラウド間での相互運用性が鍵となるだろう。例えばMicrosoftは「Azure Stack」でAzureをプライベートクラウドでも利用できるように拡張している。一方、Amazon Web Services(Amazon)とVMwareは「VMware Cloud on AWS」をリリースした。このサービスは「VMware vSphere」をパブリッククラウドに拡張したもので、より一貫性のある環境をもたらす。OpenStackは3社の大手パブリッククラウドベンダー全てとの相互運用性に取り組んでいる。
これらのクラウド相互運用性の取り組みはどれもやや未成熟だが、購入を判断する上では重要な要素となるだろう。
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