少数のベンダーが支配するパブリッククラウド市場において、ユーザー企業がベンダーロックインの弊害から逃れるには何をすべきか。その現実解がマルチクラウドという選択肢だ。
「多数の購入者、少数の供給者」――。この言葉は、Amazon Web ServicesやMicrosoftといった一部のベンダーが牛耳るパブリッククラウド市場の現状を表している。
調査会社Forrester Researchが2017年8月に公開した調査報告書に示しているように、市場を少数の大手ベンダーが占有することには大きなリスクが伴う。顧客を強制的に特定のベンダーに縛り付ける「ベンダーロックイン」につながりかねないからだ。寡占化が進むパブリッククラウド市場だが、主要ベンダーは激しいグローバル競争を繰り広げており、結果としてコストの低下や地域市場の選択肢拡大といったメリットをもたらしている。例えばMicrosoftの「Microsoft Azure」はアフリカに進出し、中国のAlibaba Groupは世界中に新しいデータセンターを構築している。
報告書は、アプリケーションとデータの全てを1社のベンダーのパブリッククラウドに格納する企業は、非常に大きなリスクにさらされると続ける。例えばベンダーで停電が起きたら、企業のWebサイトがクラッシュし、業務が停止するだろう。これは、AWSで2017年2月に発生した障害後に、ユーザー企業が経験したことだ。またベンダーのセキュリティが侵害されたら、顧客データや知的財産が悪意のある人の手に渡る恐れがある。
こうしたベンダーロックインに対する防護策として、最高情報責任者(CIO)は複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウドのアプローチを導入する選択肢がある。ITインフラを複数のパブリッククラウドやプライベートクラウドに分散することで、統制力を維持できる。そうすれば、企業の命運が1社のパブリッククラウドベンダーに左右されることはなくなる。
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