管理の効率を上げ、マルチクラウドモデルの複雑さを減らすため、企業はリソースとオーケストレーションという2つの抽象化技法を利用できる。
クラウドは、基本的には個別のホスティングリソースの大きな集合体だ。こうした集合体は管理を難しくする。クラウドプロバイダーやプラットフォームを複数利用すれば管理はより難しくなる。マルチクラウド管理の複雑さを最小限に抑える最善の方法は抽象化を利用することだ。抽象化することで、異なるクラウドプラットフォームを1つのクラウドや1つのホストのように見せることができる。
マルチクラウドを抽象化するアプローチは主に2つある。1つはリソース抽象化だ。つまり、複数のクラウドリソースとクラウドプロバイダーの上位にレイヤーを作り、1つのリソース、または、1つのホストのように見せるアプローチだ。もう1つはオーケストレーションベースの抽象化だ。全てのホストでアプリケーションライフサイクルの各プロセスを同じ方法で運用できるという条件は付くが、この抽象化によって、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによる違いを、マルチクラウド環境全体で吸収できる。マルチクラウド管理にどちらのアプローチを選ぶかは、各企業の全体的なITインフラと戦略、そしてクラウドアプリケーションの性質によって決まる。
リソースの抽象化はシンプルな理論に基づく。それは、全てのアプリケーションホストが同じに見えれば、1つの単純なツールセットを使って、マルチクラウド環境にアプリケーションを導入して管理できるという考え方だ。マルチクラウドアプリケーションでは、リソース抽象化によって全てのパブリッククラウドプラットフォームを1つのクラウドのように見せ、プライベートクラウド内のデータセンターリソースを抽象化する。抽象化するリソースの範囲が広いほど、クラウドプロバイダー同士、またはパブリッククラウドとデータセンターの境界の重要性は少なくなる。
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