AWS社のCEO、アンディ・ジャシー氏が、ブロックチェーンやAI、マルチクラウドといった話題のテクノロジーについてAWSの取り組みと今後の展望を語った。
驚きは全くないが、Amazon Web Service(以下、AWS社)のCEO(最高経営責任者)を務めるアンディ・ジャシー氏は、自身が率いる会社について非常に強気だ。同社が2017年11月に米国で開催したカンファレンス「re:Invent」の基調講演に登壇したジャシー氏は、その直後に記者会見に応じた。この会見は約45分に及び、同氏はここで、「Amazon Web Service」(以下、AWS)が最適なクラウドである理由を中心に説明したが、これ以外にも、AWSの将来の展望にも言及し、IT業界の現状に対する見解も明らかにした。同氏の談話の要点を以下にまとめた。
AWS社はブロックチェーンについて詳細に調査しており、AWS上にブロックチェーンを構築したいと考えている顧客やパートナーも多数存在する。IBMやMicrosoftなど他のクラウドベンダーはこの分野のサービスを自社のプラットフォームに既に加えているが、AWS社には今のところ、この分野に関するサービスをすぐに追加するつもりはないと、ジャシー氏は以下の通り暗に示唆した。
「今のところ当社としては注意深く動向を見守っている。顧客と話してみると、各社とも概念としてのブロックチェーンには非常に注目しているが、われわれとしては、分散型元帳の利用以外の幅広い用途で実用化するには、現段階では時期尚早ではないかとみている」
AWS社にとって自動化は最重要事項である。(事業運営のフローから)人間の介入が必要なプロセスを排除するというのも自動化の一環だ。従って、世の中から近いうちに消える職業や作業もある。AWS社は、翻訳や音声の文字起こしなど、従業員を配置転換できる、そしてクラウドのサービスで置き換えるAI(人工知能)サービスを既に自社のプラットフォームに追加済みだ。ただしジャシー氏自身は、この分野のイノベーションは、これまで働いてきた従業員から仕事を奪うレベルにとどまらず、全く別の職業を将来作り出す可能性を秘めていると考えている。
そもそもAIが登場する前、米国建国以来の歴史を振り返ると、親類縁者を頼って移住し、鉱山、工場、農場などで労働者となった人々は大勢いた。しかしやがてそうした製造業や農業は米国外に移ってしまい、今後すぐに米国内に戻ってくる可能性は限りなく低い。これは進歩であり、人々は世情を受けて行動を変化させる。その結果往々にして、新たな(職業の)機会が生まれる。
「社内にある職種の数を見ても、実に多くのポジションがあり、人手が足りているとはいえない。われわれは米国内で見ても世界的な視点で見ても、教育制度を変える必要がある。成り手がいなくて困っている職業に就ける人々を増やすため、その職業に必要なスキルが学べる機会を増やさなければならない」(ジャシー氏)
AWS社の年間売り上げは2017年第3四半期の実績で180億ドル、前年比で42%の成長率だ。アクティブユーザー数は数百万に上る。当然ながらジャシー氏は、同社にはまだまだ伸びしろがあると考えている。ただし同社の前途は「山あり谷あり」だとも予測している。大企業や公共機関は、体系的に(クラウドという)新しいテクノロジーを導入し、膨大なワークロードを移行させるだろうが、その移行を段階的に進めるため、(完了までに)何年もかかるからだと同氏は語った。
ただし、今よりもさらに大規模になるからと言って、親会社のAmazon.com(以下、Amazon)が子会社のAWSをスピンアウトさせることはないだろうと、ジャシー氏は言う。
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