HDD大容量化を目指すWD、Seagate、東芝【後編】
20TBのHDDを実現した「SMR」方式とは? 一部の企業に人気の理由
HDDはニアライン向けの需要が高まっている。このトレンドの背景にはHDDを大容量化するベンダー各社の新技術の採用がある。その一つが「SMR」方式を採用したHDDだ。
調査会社IDCのジョン・ライドニング氏によれば、コストをわずかに上乗せすることで、ディスク数とヘッド数を増やし、大幅に容量を増やして1GB当たりの容量単価を引き下げることが可能になるという。新しいタイプの大容量HDDであれば、1GB当たり1.7セント近くまで引き下げることが可能になるとライドニング氏は推測する。同氏は大容量のHDDほど需要が大きくなり、特に大規模なクラウドベンダーからの引き合いが高まるだろうと予測する。
調査会社TRENDFORCUSによると、2019年第2四半期に最も人気が高かったのは容量12TB、3.5インチ、1分当たりの回転数が7200rpmのニアライン向けHDDで、HDDの全出荷台数の約27%を占めた。ニアラインとは利用頻度が高く高性能を必要とするオンラインと、アーカイブ用など長期保存を目的としたオフラインの中間的な位置付けのストレージタイプを指す。2位は容量4TBのHDDで、全出荷台数の約16%となった。この容量のHDDは依然として人気だと、TRENDFORCUSのバイスプレジデントであるジョン・チェン氏は説明する。
TRENDFORCUSが報告した2019年第2四半期の統計によると、出荷台数において成長率が最も高かったのは容量14TBのHDDで、市場シェアは約14%だったという。チェン氏は、2019年第3四半期の統計では、容量14TBのHDDの出荷台数が最も多くなると予測している。
容量16TBのHDDは、2019年第2四半期の出荷台数は多くなかったが、Seagateによる生産台数は2019年の第2四半期から第3四半期にかけて増え始めているとチェン氏は説明する。さらに2020年半ばには、容量18TBの「CMR」(Conventional Magnetic Recording:従来型磁気記録)方式のHDDの出荷台数が増え始めると同氏は予想する。CMR方式は、記録領域同士が隣接した状態でデータを書き込む、以前から一般的に用いられている方式だ
成長トレンドにある「SMR」方式のHDD
Western Digital(以下、WD)が発表した容量20TBの新しいHDDは「SMR」(Shingled Magnetic Recording:シングル磁気記録)方式を採用している。SMR方式は、記録領域を屋根瓦のように重ね合わせて面記録密度を高めることができる。
SMR方式を採用したHDDは、データをシーケンシャル(連続的)に書き込むシステムに最適だ。ただしこれを使用するには、ホスト側(サーバ側)で調整が必要になる場合が少なくない。Dropboxは、SMR方式のHDDをいち早く使い始めるために、書き込みがシーケンシャルであるSMRに合わせて、HDDの管理用ソフトウェアに大幅な変更を加えなければならなかったと説明している。
WDでデータセンター向けHDD製品を担当するレニー・シャープ氏によれば、企業向けのHDDを製造するベンダー各社は、一般的にはソフトウェアに関与しないため、SMR方式のHDDにはあまり関心を示していない。一方で大規模なデータセンターを運営するWDの顧客の間では、1GB当たりの容量単価を引き下げる大きな目的のために、ソフトウェア側の変更に着手してSMR方式のHDD採用の準備を進める動きが目立ち始めたという。
SMR方式のHDDを必要とするWDの顧客は、非常に大量のデータを使用する。そのデータ保管にかかるコストは顧客のビジネスモデルにおいてどうしても必要なコストであり、「節約できる可能性があるなら見逃す手はない」とシャープ氏は指摘。大規模なデータセンターにおいて、SMR方式のHDDは「まさに成長トレンドにある」と語る。
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HDD大容量化を目指すWD、Seagate、東芝
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