食品産業とブロックチェーン【中編】
食品の安全を守る「トラック&トレース」にブロックチェーン技術は役立つか
ブロックチェーンの特徴「デジタル署名されたトランザクションの不変性」を食品トレーサビリティに利用しようと考える食品製造会社の事例が増えつつある。
調査諮問会社Information Services Group(ISG)でディレクターを務めるアレックス・ポール・マンダース氏によると、ブロックチェーンを使ったフードサプライチェーン(生産者から消費者へと食品を届けるための一連の流れ)に参加する組織は、積極的に協力してデータ構造、ビジネスプロセス、連携手法を定義/設計しているという。サプライチェーン加入ベンダーは現在、分散台帳アプリケーションに記録されるデータを評価しているという。特筆すべきユースケースに「トラック&トレース」の用途がある。食品安全性に問題が発生した場合、リコールに必要な情報を得るために、製品の追跡と所在確認を可能にするトラック&トレースシステムが必要になる。
ブロックチェーンを使ったフードサプライチェーンのユースケースでは、食品のまとまり(バッチ)ごとに一意のデジタル署名を作成している。そうした食品のまとまりに関するデータは、RFID(無線ICタグ)、GPS(全地球測位システム)、IoT(モノのインターネット)、などを通じて収集される。
取引パートナー同士の協力によるデータ連携
Kudelski Securityでブロックチェーンセキュリティ部門の責任者を務めるスコット・カールソン氏は次のように説明する。「ブロックチェーンと、センサー、人間、企業のエコシステムとの間にはソフトウェアが必要になる。データはあらゆる場所から取得される可能性がある。可能性が高いのはWebインタフェース、API、製造現場にあるようなシステムからのフィードだ」
「これら全てのシステムは共通データ形式で統一し、計測のために一貫性のある情報源(時刻やGPS位置情報など)の要素を含む形で更新する必要がある。機械やIoTデバイスを利用できない場所では、人間がWebと同様のインタフェースにサンプルデータを入力してブロックチェーン内に格納する可能性がある」とカールソン氏は言う。
収集したデータは次の3つの方法でブロックチェーンに移動できる。
- データベースに保存してからブロックチェーンにアップロードする
- エッジデバイスやフォグコンピューティングデバイスを介して直接ブロックチェーンに移動する
- データソースから直接ブロックチェーンに入力する
ノースカロライナ大学グリーンズボロ校(UNCG)ブライアンスクール・オブ・ビジネス・アンド・エコノミクスの教授であるニール・キシェトリ氏は、3つ目の方法の一例としてBext360の「BextMachine」を挙げる。BextMachineはコイン換金機のような見た目の装置で、画像認識技術、画像センサー(マシンビジョン)、人工知能(AI)、IoT、ブロックチェーンを採用している。これがコーヒー豆を格付けし、追跡する。豆の外皮の3次元スキャンを撮影し、その情報がブロックチェーンに入力されるのだという。
後編では、ブロックチェーンを使ったフードサプライチェーンの課題である、データ連携にまつわる諸問題について解説する。
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食品産業とブロックチェーン
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