オンライン診療サービス3種を比較【オンライン診療ポケットドクター編】
“赤ペン書き込み”で患者の訴えをくみ取る「オンライン診療ポケットドクター」
オプティムとMRTによる「オンライン診療ポケットドクター」は、患者・医師間の認識の齟齬を軽減する機能や、血圧計などのヘルスケア機器との連携に強みを持つオンライン診療サービスだ。その機能と特徴を説明する。
PCやスマートフォンといった情報通信機器を利用して、医師が患者を遠隔かつリアルタイムで診察・診断する「オンライン診療」。その実現を支援するサービスが登場し始めた。一般的なオンライン診療サービスは、医療機関用のアプリケーションと患者用アプリケーションで構成されている。テレビ電話機能や予約機能など診療に必要な各種機能を備える(図)。
医療機関がオンライン診療サービスを導入することで、患者が医療機関に足を運んだり、長い待ち時間を過ごしたりする負担を減らすだけでなく、待合室の混雑ピーク緩和にもつながる可能性がある。医師にとっては、通院が困難な患者にも医療を提供できる他、医療機関ではなく普段過ごしている環境にいる患者を診察できるメリットがある。
本連載は主要な3つのオンライン診療サービスを取り上げ、サービスごとの特徴を説明する。第1回となる今回は、オプティムとMRTが提供する「オンライン診療ポケットドクター」について解説する。
製品の主な機能
オンライン診療ポケットドクターは一般的なオンライン診療サービスと同様に医療機関用アプリケーションと患者用アプリケーションを用意しており、それぞれPCとスマートフォンで利用できる。医療機関用アプリケーションと患者向けアプリケーションの主要機能は、それぞれ次の通りだ。
- 医療機関用アプリケーション
- 患者の予約状況と予約可能枠の管理
- ビデオ通話
- 処方箋や医薬品の配送管理
- 患者向けアプリケーション
- オンライン診療の予約
- ビデオ通話
- 医療費の決済
- ヘルスケア機器とのデータ連携(注1)
※注1:Appleの「ヘルスケア」またはオムロンの「OMRON connect」といったモバイルアプリケーションと連携可能な機器が対象。
保険診療としてオンライン診療を実施する場合は、診療報酬の算定要件を満たすために、原則として初診は対面診療でなければならない。オンライン診療ポケットドクターを導入してオンライン診療を開始する前には、医師が「ポケドクナンバー」という予約番号を発行し、患者に通知する。患者はポケドクナンバーをアプリケーションに入力することで、オンライン診療の予約が可能になる。医師は診療予約の入った時間に合わせて、医療機関向けアプリケーションを使い患者にテレビ電話をかけるという流れだ。
オンライン診療ポケットドクターはテレビ電話による診療機能の他、処方箋の発送と医薬品の配送作業を管理する機能などを備える。医師はこの機能を利用することで、オンライン診療で発行した処方箋や院内処方した医薬品の情報、その配送状況を確認できる。オンライン診療ポケットドクターの医療機関向け/患者向けアプリケーションはオプティムが開発し、サービスはMRTが運営している。
製品の特徴:画面への書き込み機能やヘルスケア機器との連携
オンライン診療ポケットドクターの特徴的な機能として、ビデオ通話のときに画面に指さしポインタや手書きの文字をオーバーレイする「赤ペン記入モード」がある(写真)。患部の映像に書き込みを加えることができ、やりとりの内容が分かりやすくなるようにした。「患者と医師間の認識の齟齬(そご)が少なくなるメリットがある」と、オプティムでポケットドクターシリーズの事業責任者を務める吉村英樹氏は説明する。
血圧計や体組成計、体温計などのヘルスケア機器から収集した数値の共有機能も搭載する。オプティムが提供するIoT(モノのインターネット)向けPaaS(Platform as a Service)の「OPTiM Cloud IoT OS」を経由して、これらのヘルスケア機器で取得した患者の血圧や体重、体温、などの数値を、オンライン診療ポケットドクターの医療機関用アプリケーションに表示できる。
累計で500機関以上の医療機関がオンライン診療ポケットドクターを利用してきた。吉村氏はオンライン診療ポケットドクターについて「基本的にはクリニックの利用が多いが、臨床研究における経過観察のために利用する大病院もある」と話す。自由診療がメインのクリニックを中心に導入が進んでおり、導入医院の利用回数データによると美容皮膚科の診療や、保険適用外の医薬品処方などの場面で使われることが多いという。
「患者側からは、治療後の経過観察などで通院の必要がなく、どこからでも診察が受けられる便利さや、目新しさを評価いただくことが少なくない」と吉村氏は説明する。
利用料は医療機関が月額3万円(税別)を負担する。2カ月間の無料トライアルプランも用意している。
変更履歴(2020年04月17日17時00分)
記事掲載当初、「現在、470機関以上の医療機関がオンライン診療ポケットドクターを利用している」と記載していましたが、正しくは「累計で500機関以上の医療機関がオンライン診療ポケットドクターを利用してきた」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。
服薬指導など、オンライン活用の可能性を探る
オンライン診療ポケットドクターはもともと、健康指導用のアプリケーション開発に端を発するサービスだ。2015年の厚生労働省が都道府県知事宛てに出した事務連絡で、遠隔診療の対象を離島やへき地の患者に限る必要がないことを明確化したことを機に、オンライン診療用のアプリケーション開発を進めた経緯がある。現在はオンライン診療ポケットドクター以外にも、一般消費者向けの健康相談サービスとして「健康相談ポケットドクター」を提供している。これはエンドユーザーが遠隔で提携医院の医師に健康相談できるサービスで、オンライン診療ポケットドクターとほぼ同じテレビ電話の仕組みを利用する(注2)。
※注2:健康相談ポケットドクターでは、診療行為に該当する内容はやりとりできない。
オプティムはオンライン診療ポケットドクターの開発で培った技術を基に、オンライン服薬指導や服薬管理用のアプリケーションも開発中だ。2018年には、愛知県北設楽郡豊根村におけるオンライン服薬指導の実証実験を実施している。薬局が一軒もない同村の村営診療所で診療を受けた患者に対して、遠隔地の薬局から処方箋を基に調剤した医薬品を郵送すると同時に、オンライン診療ポケットドクターを利用したオンライン服薬指導を実施するプロジェクトだ。薬局へのヒアリングを重ねながら、オンライン服薬指導用アプリケーションに実装する機能の検討を進めている段階だという。
吉村氏は「高齢者が日常的に利用するほどスマートフォンが広く普及すれば、患者のオンライン診療への障壁も低くなるのではないか」と予測する。オンライン診療ポケットドクターのアプリケーション動作の安定性を向上させつつ、オンライン診療が普及する環境が整うのを待つ考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
オンライン診療サービス3種を比較
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー