「オンライン診療システム」の選択肢が充実しつつある。市場の状況と診療報酬改定の影響、クリニックの導入事例について説明する。
さまざまなベンダーが「オンライン診療システム」の市場に参入し、新サービスを提供している。調査会社シード・プランニングによると、2016年から2018年までに、国内では新しいオンライン診療システムおよびサービスが複数登場しているという。
厚生労働省が2018年に発行したガイドライン「オンライン診療の適切な実施に関する指針」によると、オンライン診療とは以下の行為を指す。
遠隔医療のうち、医師−患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為
オンライン診療システムは一般に、PCやスマートフォンで動作するビデオ通話機能を搭載している。電子カルテとの連携機能や、共有した資料にマーカーを引いたり文字を書き込んだりできる画面共有機能を備えていることもある。
本稿ではオンライン診療システムの市場動向について、シード・プランニングの久保延明氏の話を基に説明する。
久保氏はオンライン診療システムについて「2017年はユーザー施設が増加傾向にあった」と説明する。その背景には2つの出来事がある。1つ目は、厚生労働省が同年7月に、禁煙治療において来院での診療を必要とせず、全ての診療行為を遠隔で完結させる完全遠隔診療を黙認する通知を発表したこと。2つ目は2018年度の診療報酬改定によって、オンライン診療が加算項目になることへの期待が集まったことによって、ベンチャーキャピタルや銀行がオンライン診療システムベンダーに積極的に出資したことだ。
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