GPU仮想化は何に役立つのか【後編】
Intel、NVIDIA、AMDの「GPU仮想化」技術を比較 それぞれの特徴とは
主要なGPUベンダーが提供している「GPU仮想化」技術。IntelやNVIDIA、AMDなど、ベンダーごとのGPU仮想化技術の特徴と、「vSphere」環境で仮想GPUを利用する方法を説明する。
CPUの負荷を軽減し、より良いエンドユーザー体験を提供するのに役立つ技術が、物理的なGPU(グラフィックス用プロセッサ)を抽象化して論理的に分割できるようにした「仮想GPU」だ。初期のGPU仮想化技術は画像描写の負荷が高いワークロード(アプリケーション)や高度な処理を必要とするVDI(仮想デスクトップインフラ)などに用途が限られていたが、VMwareやNVIDIAのようなベンダーが仮想GPUの関連技術を開発したことで用途が広がった。今では機械学習アプリケーションや一般的な従業員の仮想デスクトップ環境などにも利用できるようになっている。
前編「『GPU仮想化』とは? 使うべき用途、避けるべき用途の違い」の後編に当たる本稿では、主要ベンダーのGPU仮想化技術を説明する。
IntelとNVIDIA、AMDのGPU仮想化技術の特徴
IT担当者は、GPU仮想化技術を幾つかの選択肢から選択できる。その中にはIntelの「Intel Graphics Virtualization Technology」(Intel GVT)やNVIDIAの「NVIDIA Virtual GPU」(vGPU)、AMD(Advanced Micro Devices)の「AMD MxGPU」(AMD Multiuser GPU)などがある。
Intel GVTにより、仮想マシン(VM)は並列処理のためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)である「OpenCL」経由で仮想GPUコアにアクセスできる。Intel GVTは「Intel GVT-d」「Intel GVT-g」「Intel GVT-s」の3種類がある。Intel GVT-dを利用すると、Intel製の物理GPUを1つのVMに割り当てることが可能だ。Intel GVT-gは、ハイパーバイザーが各VMに物理GPUのリソースを直接割り当てることで、物理GPUを分割して複数のVMで共有できるようにする。GVT-sは、VMに仮想グラフィックスドライバを導入して、複数のVMでの物理GPUの共有を実現する。
NVIDIAのvGPUは、VMが物理GPUに直接アクセスするパススルー機能を備える。物理GPUにアクセスするVMが一度に1台のみとなるため、比較的パフォーマンスを維持しやすい。AMD MxGPUは、複数のVMがPCI(Peripheral Component Interconnect)デバイスを共有できるようにするための「シングルルートI/O仮想化」(SR-IOV)技術を搭載する、専用グラフィックスカードが必要だ。
「vSphere」にGPU仮想化を実装するには
VMwareのサーバ仮想化ソフトウェア「vSphere」で、仮想GPUを動作させる方法は幾つかある。例えば物理ハードウェアの機能を直接利用可能にする「VMDirectPath I/O」といったvSphereの機能や、NVIDIAの「NVIDIA GRID」といったGPU管理ソフトウェアを利用した方法だ。
VMDirectPath I/O
VMDirectPath I/OはPCIパススルー機能とも呼ばれ、VMが物理GPUを直接利用できるようにする。ただし制約がある。VMのライブマイグレーション(稼働中のサービスを停止しないで、他の物理サーバへVMを移行すること)を実現する「vMotion」や、VMのスナップショット取得といったvSphereの幾つかの機能が利用できなくなるのだ。
NVIDIA GRID
IT担当者はNVIDIA GRIDを使うと、複数のVMによる物理GPUの共有を実現できる。vMotionでVMを他の物理サーバに移行することも可能だ。ただし複数エンドユーザーによる物理リソースの共有は、IT担当者が他のIT担当者の実行しているVMを停止または再起動するときに、問題を引き起こす恐れがある。
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